アメリカの常識2026.09.20読了 約7分

アメリカでは年収が高くても家を借りられない?クレジットスコアの正体

連載日本人が知らないアメリカの常識 第6回全19回の一覧を見る →

アメリカでは年収が高くても家を借りられない?クレジットスコアの正体|日本人が知らないアメリカの常識


アメリカでは年収が高くても家を借りられない?クレジットスコアの正体|日本人が知らないアメリカの常識

この記事の要点

  • クレジットスコアとは、支払いの記録などから、ローンを期限どおりに返す可能性などを予測した点数で、多くは300〜850です。
  • アメリカで家を借りるときは、家主が入居審査にクレジットスコアや信用報告書の情報を使うことがあります。
  • アメリカでの信用の記録がまだない人は、収入が高くても代表的なスコアが出ないことがあります。


アメリカで家を借りるとき、収入以外に「クレジットスコア」が審査の材料になることがあります。その人の信用を表す点数です。

クレジットスコアは、その人がローンを期限どおりに返すかどうかなどを、信用報告書(クレジットカードやローンなどの利用と返済の記録をまとめた情報)から予測した数字です。

初めてアメリカで暮らす人には、アメリカでのこうした記録がふつうはまだありません。クレジットスコアは信用報告書の情報をもとに計算されます。代表的なスコアの一つであるFICOスコアの場合、収入の額は計算材料になりません。そのため、収入が高くても、信用報告書の記録が十分でなければスコアが出ないことがあります。

この仕組みを、米消費者金融保護局(CFPB)などの資料で見ていきます。

日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでに取り上げたテーマは次の5つです。

今回はお金の信用の話です。

🎥 この記事の内容は、動画でも解説しています(5分40秒)。

AI社員「明日へつなぐ子」が解説します。YouTubeで見る



アメリカのクレジットスコアは、信用報告書から作られる「信用の点数」

米消費者金融保護局(CFPB)は、クレジットスコアを、信用報告書の情報をもとに「ローンを期限どおりに返す可能性など、その人の信用に関わる行動を予測したもの」と説明しています。多くのスコアは300〜850の範囲です。通常、スコアが高いほどローンの審査に通りやすく、金利や条件がよくなることがあります。

点数のもとになるのは、支払い履歴、いま残っている借金の額、口座の数と種類、口座を開いてからの期間、使える枠に対する利用の割合、新しい申し込みなどです。

このスコアは、住宅ローン・クレジットカード・自動車ローンなどの審査や、金利と利用枠の決定に使われます。家を借りるときの入居審査や、保険にも使われます。

アメリカのクレジットカードの支払いの仕組み(毎月全額を払うか、残高を持ち越すか)は、カードの残高の回で解説しています。

家主は入居審査で「入居審査レポート」を使います。米消費者金融保護局(CFPB)によると、このレポートには、これまでの賃貸履歴に加えて、クレジットスコアのもとになる信用報告書の情報が含まれることがあります。多くの家主は、このレポートを、貸すかどうかと保証金の額を決める判断に使っています。クレジットスコアも入居審査に使われます。

米連邦取引委員会(FTC)は、家主がレポートの情報をもとに、申し込みを断る、家賃や保証金を上げる、共同で署名する人(家賃の支払いを一緒に約束する人)を求めるといった対応をとることがあると説明しています。その場合、家主は本人へ通知する決まりになっています。

シリコンバレーの家賃の水準については、年収1,500万円の回で解説しています。



渡米したばかりの人には、まだスコアがない

代表的なスコアを作っている米国の会社FICO(ファイコ)は、FICOスコアが出る条件を説明しています。信用報告書に、開設から6か月以上たったクレジットカードやローンなどの口座が少なくとも1つあり、さらに、直近6か月以内に信用情報機関へ報告された口座が少なくとも1つあることなどです。アメリカの信用報告書にこうした記録がまだない人は、FICOスコアもまだ出ません。

一方、日本で家を借りるときは、連帯保証人や家賃保証会社が家賃の支払いを保証する仕組みが中心です。賃貸管理会社の業界団体である日本賃貸住宅管理協会の調査(2023年度)では、回答した賃貸住宅管理会社の93.0%が、保証会社の利用を必須にしていました。

日本アメリカ
家を借りるときの審査連帯保証人や家賃保証会社が家賃の支払いを保証。回答した管理会社の93.0%が保証会社の利用を必須にしている(2023年度・日本賃貸住宅管理協会の調査)多くの家主が入居審査レポートを使う。レポートには信用報告書の情報が含まれることがあり、クレジットスコアも入居審査に使われる。貸すかどうかと保証金の額の決定に使われる

ここまでをまとめると、アメリカでは家を借りる審査に、収入とは別にクレジットスコアが使われることがあり、アメリカの信用報告書に記録がまだない人には、クレジットスコアもまだ出ません。連帯保証人や家賃保証会社が中心の日本とは、ここが大きく違います。



渡米したばかりでクレジットスコアがない場合は?

では、駐在や移住で日本から来たばかりで、まだアメリカでの信用の記録がない人はどうすればいいのでしょうか。スコアがないからといって、家を借りられないと決まっているわけではありません。

米連邦取引委員会(FTC)の消費者向け資料は、信用の記録がよくない人が家を借りた例として、勤め先と収入の情報を家主に示し、最初の月と契約の最後の月の家賃、つまり2か月分を前払いし、さらに保証金を払って契約したケースを紹介しています。

また、米消費者金融保護局(CFPB)は、入居審査レポートが理由で申し込みを断られたときにできることとして、家主に何が問題だったのかを尋ねて事情を説明できないか確かめること、レポートの写しを求めることを挙げています。同じページでは、家主は申し込みを断る以外にも、共同で署名する人を求めたり、ほかの申込者より多い保証金・高い家賃を求めたりすることがあるとしています。

米住宅都市開発省(HUD)も、家主や審査会社向けの2024年の指針で、最近アメリカに移住した人は、母国でどんな金融の履歴があっても、アメリカの信用記録の情報が乏しいことがあると説明しています。

これらを踏まえると、渡米したばかりの人が家を借りるときは、次の3つが現実的な進め方です。

  • 勤め先と収入が分かる書類を用意する
  • 不動産会社やリロケーション会社(住居探しなどを手伝う会社)の担当者に相談し、信用の記録の代わりに何があれば審査を受けられるかを確認する
  • 共同で署名する人や、家賃の前払い・多めの保証金を求められることがあると知っておく

日本語でサービスしている不動産会社の探し方などは、当社の駐在ガイド「住宅探し」で案内しています。条件は物件や家主によって異なります。

なお、本記事の内容は2026年9月時点のものです。



情報源

米消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau) – What is a credit score?

米消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau) – What is a tenant screening report?

米連邦取引委員会(Federal Trade Commission) – Using Consumer Reports: What Landlords Need to Know

FICO(myFICO) – What are the minimum requirements for a FICO Score?

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 – 第28回 賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」(2023年度)

米連邦取引委員会(Federal Trade Commission) – Renting an Apartment(消費者向け動画の書き起こし)

米消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau) – What should I do if my rental application is denied because of a tenant screening report?

米住宅都市開発省(U.S. Department of Housing and Urban Development) – Guidance on Application of the Fair Housing Act to the Screening of Applicants for Rental Housing(2024年4月29日)

FICO(myFICO) – What’s in your credit score

連載「日本人が知らないアメリカの常識」の他の回

アメリカで働く・暮らすときの前提を、日本との違いから1本1テーマで解説しています。

連載の一覧を見る(全19回)→

当社のメールマガジンでは、シリコンバレーの最新トレンドやビジネス戦略に関する情報を発信しています。現在は配信システムの障害のため、新規のご登録と配信を一時停止しています。再開しだい、このサイトでお知らせします。