アメリカでは有給休暇が0日でも違法ではない?|日本人が知らないアメリカの常識
2026年9月16日

この記事の要点
- アメリカの連邦の公正労働基準法は有給休暇の付与を義務づけておらず、有給休暇が0日でもこの法律には反しません。
- それでも、民間の労働者の80%には有給休暇が用意されています(2025年3月)。
- カリフォルニア州では、会社は原則として、年に5日以上(最低40時間)の有給の病気休暇を与える決まりです。
アメリカの会社の求人票には、日本の求人票では見慣れた項目が載っていないことがあります。有給休暇の日数です。書いてあっても「会社の方針による」「PTO 15日」「無制限」など、会社ごとに書き方がまちまちです。
日本では、有給休暇を何日与えるかを法律が決めています。ところがアメリカでは、連邦の労働時間と賃金の基本法である公正労働基準法(FLSA)は、有給休暇の付与を義務づけていません。有給休暇が0日の会社でも、この法律には反しません。
この違いを、米労働省・米労働統計局と厚生労働省の資料で見ていきます。
日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでに取り上げたテーマは次の4つです。
- アメリカで解雇された翌日に何が起きるのか
- アメリカでPIP(業績改善計画)を渡されたら解雇のサイン?
- なぜアメリカ人は転職を繰り返すのか?
- 「年収1,500万円」はアメリカのシリコンバレーで通用するのか
今回は休みの話です。
アメリカの公正労働基準法(FLSA)は、有給休暇の一律の最低日数を定めていない
米労働省は、公正労働基準法について、「休暇、病気休暇、祝日のような働いていない時間への支払いは義務づけていない」と説明しています。有給休暇を与えるかどうか、与えるなら何日かは、「雇用主と従業員の間の合意事項」です。
つまり、有給休暇が0日でも、公正労働基準法には反しません。それでも、米労働統計局の調査(2025年3月時点)では、民間の労働者の80%に有給休暇が用意されています。
一方で、州や市によっては、別のルールで有給の休みを義務づけているところがあります。たとえばカリフォルニア州では、2024年1月から、会社は原則として、年に5日以上の有給の病気休暇を与えることになっています。1日の勤務時間が短い人でも、合計で40時間は確保される決まりです。
これは病気などのための休暇で、旅行などに使う有給休暇とは制度上は別です。ただし、両方をまとめて「PTO(Paid Time Off・有給の休み)」という1つの枠で管理する会社もあります。カリフォルニア州でも、一定の条件を満たすPTOの制度なら、有給の病気休暇の要件を満たせます。
休憩時間の決まりについては、昼休みの回で解説しています。
日本では法律が有給休暇の付与日数を決めている
日本では、週5日勤務などの一般的な働き方なら、半年間続けて働き、決められた出勤日の8割以上出勤すると、法律により最初に10日の年次有給休暇が与えられます。一方、週の所定労働時間が30時間未満で、週4日以下などの働き方では、勤務日数に応じて日数が比例して少なくなります。
厚生労働省の調査では、2024年の1年間に会社が与えた年次有給休暇は、労働者1人あたり平均18.1日でした(繰り越し分を除く。常用労働者30人以上の民間企業が対象)。
なお、日本には法律で定められた病気休暇はなく、会社が任意に設ける特別休暇の一つです。会社に病気休暇の制度がない場合、本人が年次有給休暇を使うことがあります。
| 日本 | アメリカ | |
|---|---|---|
| 有給休暇の法律の定め | 週5日勤務などなら、半年勤務・8割出勤で最初に10日。週所定労働時間30時間未満・週4日以下などでは日数が比例して少なくなる | 公正労働基準法(FLSA)に一律の最低日数の定めなし。州や市に別のルールがある場合も |
| 実際の付与 | 平均18.1日(2024年・常用労働者30人以上の民間企業) | 民間の労働者の80%に有給休暇が用意されている(2025年3月) |
| 病気のときの休み | 法定の病気休暇はない。会社独自の制度がなければ年次有給休暇を使うこともある | 州によっては有給の病気休暇を義務づけ(カリフォルニア州は原則5日以上・最低40時間) |
まとめると、日本では法律が有給休暇の付与日数を決めていますが、アメリカの公正労働基準法(FLSA)は一律の最低日数を定めていません。州や市の別のルールなどの例外を除けば、休暇制度の内容は会社ごとの制度や雇用上の合意によります。なお、本記事の数値は2026年9月時点のものです。有給休暇の制度は法改正や年度の改定で変わります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を提供するものではありません。個別の事案については、適切な資格を有する専門家にご相談ください。
情報源
米労働省(U.S. Department of Labor) – Vacation Leave
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