アメリカの常識2026.09.22読了 約6分

アメリカの履歴書に年齢と写真がない理由

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アメリカの履歴書に年齢と写真がない理由|日本人が知らないアメリカの常識


アメリカの履歴書に年齢と写真がない理由|日本人が知らないアメリカの常識

この記事の要点

  • アメリカの履歴書には、生年月日や年齢、顔写真を書く欄が基本的にありません。
  • 人種や性別、40歳以上の人の年齢などを理由に採用で差別することは、連邦法で禁じられています。
  • 米雇用機会均等委員会は、仕事上の理由で正当化できない限り年齢などの質問は原則避け、写真も求めないよう示しています。


アメリカの履歴書には、生年月日や年齢、顔写真を書く欄が基本的にありません。面接で年齢を尋ねることも、原則として避けるよう求められています。

日本の履歴書に慣れていると不思議に見えますが、理由があります。アメリカでは、人種や性別など、また40歳以上の人については年齢を理由に、採用で差別することが連邦法で禁じられています。そして、そうした情報を応募の段階で集めること自体が、差別の意図があった証拠として扱われることがあるからです。

この仕組みを、雇用に関する差別を禁じる連邦の法律を運用する機関、米雇用機会均等委員会(EEOC)の資料などで見ていきます。

日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでに取り上げたテーマは次の6つです。

今回は採用の話です。

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アメリカでは、人種や性別、40歳以上の人の年齢を理由に採用で差別できない

米雇用機会均等委員会は、雇用主が応募者を、人種、皮膚の色、宗教、性別、出身国、年齢(40歳以上)、障害、遺伝情報を理由に差別することは違法だと説明しています。求人広告で、特定の属性の人を優先したり、応募をためらわせたりすることも違法だとしています。年齢差別を禁じる連邦法は、民間企業では原則として従業員20人以上の雇用主に適用されます。

応募書類や面接で集める情報についても、考え方が示されています。集める情報は、その人が仕事に適しているかを判断するのに欠かせないものに限るのが原則で、人種、性別、出身国、年齢、宗教はその判断に関係がない、というものです。

ただし、こうした質問そのものが一律に禁止されているわけではありません。人種や性別、年齢などに関わる質問は、仕事上の理由で正当化できなければ、雇用主に差別の意図があった証拠として使われることがある、というのが米雇用機会均等委員会の説明です。そのため、こうした質問は原則として避けるよう求めています。年齢についても、年齢や生年月日を尋ねること自体は連邦法で禁じられていませんが、年齢を尋ねるのは合法的な目的がある場合に限るようにする、とされています。

一方、障害に関する質問には、より厳しい制限があります。雇用主は原則として、内定を出す前に障害に関する質問をすることはできません。

写真についても、雇用主は応募者に求めないように、と米雇用機会均等委員会は示しています。本人確認に必要な場合は、内定が出て本人が受け入れた後に取得できる、という扱いです。

こうした考え方は、応募する側にも共有されています。米労働省が後援する求職者向けサイトのCareerOneStop(キャリアワンストップ)は、年齢の高い求職者向けのページで、履歴書に生年月日や年齢を書かないよう助言しています。

アメリカで転職が珍しくない背景については、転職の回で解説しています。

つまり、聞く側は聞かず、書く側も書かない。アメリカの履歴書に年齢と写真の欄がないことには、こうした考え方が背景にあります。



日本でも年齢制限は原則禁止。それでも厚労省の履歴書様式例には生年月日と写真の欄がある

日本でも、募集・採用で年齢を制限することは、原則として禁止されています。労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)で定められ、2007年の法改正で義務化されました。厚生労働省は、求人票を年齢不問としながら、書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断することも法に反すると説明しています。ただし、年齢制限が認められる例外もあります。

それでも、厚生労働省が2021年4月に示した履歴書の様式例には、生年月日の欄と、必要な場合に写真を貼る欄が残っています。この様式例では、性別欄が「男・女」の選択から任意記載(書かなくてもよい)に変わり、配偶者、扶養家族数、通勤時間の欄はなくなりました。様式例に法的な拘束力はなく、使うかどうかは会社が判断します。

日本アメリカ
履歴書厚生労働省の様式例(2021年4月)に生年月日(満 歳)の欄と、必要な場合の写真欄がある。性別は任意記載米労働省が後援するサイトが、生年月日や年齢を書かないよう助言。雇用主は応募者に写真を求めないように、と米雇用機会均等委員会が説明
採用で年齢を使うこと募集・採用での年齢制限は原則禁止(例外あり)40歳以上の人を年齢を理由に差別することは連邦法で禁止(民間企業では原則20人以上)

まとめると、日本とアメリカのどちらにも、採用で年齢を理由に判断することを禁じるルールがあります。連邦の年齢差別禁止法で守られるのは40歳以上の人です。違うのは、アメリカでは年齢や写真といった情報を、応募の段階で集めないことが基本になっている点です。

なお、本記事の内容は2026年9月時点のものです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を提供するものではありません。個別の事案については、適切な資格を有する専門家にご相談ください。



情報源

米雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission) – Prohibited Employment Policies/Practices

米雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission) – Age Discrimination – FAQs

米雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission) – Coverage of Business/Private Employers

米雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission) – Pre-Employment Inquiries and Disability

CareerOneStop(米労働省 雇用訓練局が後援) – 55+: Resumes and cover letters

厚生労働省 – 募集・採用における年齢制限禁止について

厚生労働省 – 履歴書の様式例の作成について(2021年4月16日・労働政策審議会安定分科会資料)

連載「日本人が知らないアメリカの常識」の他の回

アメリカで働く・暮らすときの前提を、日本との違いから1本1テーマで解説しています。

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