01 Expert Pitch #21

世界に衝撃!Generative AIとは?


01 Expert Pitch #21

世界に衝撃!Generative AIとは?


2023.3.28 TUE 12:00-13:00 JST
btrax, Inc., Founder & CEO, Brandon K. Hill 氏
これまでのAI技術は、大量のデータから特徴点をとらえ傾向を把握し、未来を予測するといったことに活用されることが多かったのですが、最近登場した「Generative AI」では、AIが新しく何かを「生成する」ことができるようになりました。これにより、絵や動画、ニュース記事や論文にいたるまで、さまざまなものが驚くべき速さと品質で生み出されています。話題のChatGPTもGenerative AIの一例です。 今回のウェビナーでは、UXデザインを軸に、最適なユーザー体験を生み出すことで、新たな事業価値の創出に貢献するデザイン会社 btrax, Inc., Founder & CEO, Brandon K. Hill 氏をお迎えして、話題のGenerative AIの凄さ、これによる私たち社会へのインパクトなどをデザイン観点から詳しく日本語で解説していただきます。

▼ こんな方にオススメ

  • Generative AIとは何かを理解したい方
  • AIの進化と今後の活用方法を知りたい方
  • 世界における最新のスタートアップの取組み状況と未来を知りたい方

▼ 登壇者
Brandon K. Hill 氏 btrax, Inc., Founder & CEO 
サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。サンフランシスコと東京に拠点を持つデザイン会社btraxのFounderでありCEO。UXデザインを軸に、体験設計からコミュニケーションまでを一気通貫で行うデザインサービスを国内外300社以上の企業に提供。サンフランシスコ市長アドバイザー、Startup Weekend SFデザインメンター、経済産業省『始動プロジェクト』公式メンターでもある。

小川:それでは、12時になりましたので、01 Expert Pitch第21回を始めてまいります。「シリコンバレー発!世界のエキスパートが最新情報を日本語で解説!」ということで、本日は『世界に衝撃!Generative AIとは?』をお送りいたします。さて、今回はbtrax, Inc., Founder & CEO, Brandon K. Hillさんをエキスパートとしてお迎えしております。Brandonさん。

Brandonよろしくお願いします。

小川:よろしくお願いいたします。そして、本イベントの主催者でありますTomorrow Access, Founder & CEOの傍島さん、本日もよろしくお願いいたします。

傍島:よろしくお願いします。

小川:そして、私はナビゲーターを務めてまいります、フリーアナウンサーの小川りかこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速ですが傍島さん、この01 Expert Pitchの狙いなどを少しお話いただけますでしょうか。

01 Expert Pitchとは?

傍島:はい。あらためまして、Tomorrow Accessの傍島と申します。よろしくお願いいたします。Tomorrow Accessという会社はシリコンバレーを拠点としたコンサルティング会社になります。この01 Expert Pitchは今回第21回目ということで、なんと478名の今回お申し込みをいただきまして、多数の方にご参加いただいております。ありがとうございます。

こちらのExpert Pitchの狙いは、今、画面に映しておりますが、3つあります。1つ目は、日本とアメリカの情報格差の解消ということで、今回テーマにしているGenerative AIのような、新しいテクノロジーが出てくるたびに日本の企業の方から「その情報はどうなっているの?」「最新の新しいトレンドは何だ?」といった話をたくさんいただきます。そういったところの声に迅速にお答えをして、日本とアメリカの情報格差を埋めたいというのが1つ目の狙いです。

2つ目は、正しい情報をお届けしたいということです。同じニュースでも、アメリカで感じている温度感と日本に伝わっている温度感が違うなと感じることがあります。つい先日もシリコンバレーバンクのニュースが日本でも流れたと思いますが、シリコンバレーやこちらの界隈ではすごくてんやわんやで大きなニュースでしたが、日本の人たちの反応を見ているとそうでもないのかなと感じることがあったりしました。そういったときに、今回ご登壇いただいているBrandonさんのようなエキスパートの方にきちんと解説をしていただいて、正しい情報をお届けしたいというのが2つ目の狙いです。

3つ目は、日本語での解説ということです。英語の情報をたくさん集めればいいということでもありますが、なかなか大変ですので、日本語できちんと解説をしていただいて正しく理解をしていただこうと、この3つの狙いでウェビナーを運営してまいりました。

今日も本当に良いタイミングで、ここ1~2週間ぐらい目まぐるしいニュースが毎日届いてきていまして、私も非常に楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

小川:傍島さん、ありがとうございます。本日のイベントは皆様からのご質問を随時受け付けて進行を進めてまいります。参加者の皆様、ぜひBrandonさんにご質問のある方は、Zoom画面の下にございますQ&Aボタンからご質問をお寄せください。随時私のほうで拾ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それではBrandonさん、まずは簡単に自己紹介からお願いしてもよろしいでしょうか。

Brandon K. Hill氏プロフィール

Brandonはい。これはスライドをシェアしながらですか。スライドなしで自己紹介でいいですか。

小川:では、スライドをご用意いただいていますので、ぜひぜひお願いします。

Brandon簡単に言いますと、btraxは、今、僕がいるのはサンフランシスコの本社オフィスですが、デザイン会社です。デジタルを中心にUXデザインやサービスデザインをしたり、ワークショップを開催したり、日本の企業の海外進出向けのプロダクトづくりとブランディングをしたり、アメリカ企業や海外の企業の日本向けのプロジェクトをしたりしています。拠点はサンフランシスコと東京の南青山にあるかたちです。

早速、スクリーンをシェアしながら今日のお題を進めさせていただければと思います。Generative AIの話をしますが…。これですね、まず自己紹介です。きちんとした自己紹介のスライドがあまりなかったので、今回、自分がしていることをまとめてみたら、意外と起業家のメンタリングやサービスに関してのアドバイザーをしているなと思って載せてみました。

傍島:すごい! 多いですね、すごいですね。

小川:多いですね。

Brandon集めてみたら多かったですね。

傍島:さすがです!

Brandonとんでもないです。こんなことをしたりしています。これは、プロフィール写真の画像をAIでつくってみたものです。

小川:素敵ですね。

Brandonこれは何かと言いますと、今までの自分の写真を20~30個ぐらいアップロードしたら、自動的に違うシチュエーションの絵をつくってくれるような、絵というか写真というか、1週間ぐらい前にこのスライドをつくるときに試してみたら、こういうのが出てきたので、ちょっと面白いかなと思って載せました。

小川:かっこいい。インスタでもすごく流行っていて、皆さんアップされていますよね。

Brandonそうですよね。それのもっともっと進化版のようなもので、シチュエーションも自分で決められるといったものがあります。これは後ほど説明しますね。ちょっとした小ネタです。

小川:ありがとうございます。

Brandon会社としては、btraxについては先ほど簡単に説明しましたので、こういう会社ですという堅苦しいことは飛ばしまして、今日はこのような内容で進めさせていただければと思います。

Generative AIに関しての一般的な基本的な話と言いますか、非常に初歩的な部分が多いので、詳しい方からすると「そんなこと知っているよ」となるかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。途中で写真か?リアルか?というクイズタイムをして、あとは仕事に対する変化や、具体的にわれわれがbtraxとしてAIをどのようにデザインの現場で使っているかという話もさせていただければという予定になっています。ゴールとしてはこういったことが分かればいいかなというのを目標にしている感じです。いかがでしょうか。

小川:すごく楽しみです。ぜひ引き続きお願いいたします。

Brandon分かりました。では、いつでも止めてくださいね。

傍島:はい、お願いします。

生成系AI(Generative AIとは)

Brandonでは早速ですが、Generative AIというのは、英語では「Generative AI」と言いますが、できたばかりのテクノロジーですので、日本語では「生成系AI」など呼び方がいくつかばらばらになっているのかなと思います。これは漢字で書くこともあれば、片仮名でジェネレイティブと書いていることもあれば、アルファベットで書いていることもありますよね。今回は文字が短いので「生成系」と書くのが楽かなと思って書いていることが多いです。分解するとGenerateという英語とAI、これは生成するという動詞と人工知能で、それを合わせてGenerative、生成するようなAIという基本的な話です。

これは、とある映画のワンシーンの写真です。相当古いのですが、これが分かる方はいらっしゃいますか。

傍島:何でしょう?

Brandon知らないですか。

小川:分からないです。

Brandonこれは80年代の映画で『The Fly』という、ハエ男になるというホラー映画があるのですが、これはPod AからBに移動するときに、人と間違ってハエが一緒に入ってしまって、それが組み合わさって新しい生物ができたという、まさに生成されたというもので。

小川:(笑)怖いですね。

Brandonイメージ的にはいろいろなものを混ぜ合わせると新しいものが生み出される、変換されるというので、イメージとしてはこんな感じかなと、すごい単純にブレークダウンするとそういうことかなと思います。

実際どんな感じになるかお見せしますね。例えばこれはサンフランシスコという僕がいる街を対岸から見た写真です。これと、下の絵はモネという印象派の画家ですが、これを合わせて「もしモネがサンフランシスコのこういう写真をもとに、ここから絵を描いたらどうなるか」とAIに指示すると、こういうふうに出力してくれます。

傍島:おおー。

小川:素敵ですね。

Brandonモネは、おそらくサンフランシスコに来たことはないので、この絵も存在していませんが、AIがそれを考えてくれて、モネがこの絵を描いたのかという感じになりました。

次はスティーブ・ジョブズのスピーチの動画をAIに読み込んでもらって、ChatGPTという、文字で質問したら文字で答えるというのを合わせて音声出力した場合どうなるかというのでつくった人がいましたので、その例です。

(AIが生成した音声を流す)

Brandonこのような感じです。これはジョブズは何の話をしているかと言いますと、「コロナのパンデミックで世の中にすごく影響が大きかった」という話をしているのですが、彼はずいぶん前に亡くなられていますので、このことは知らないですよね。でも、声を聞くとジョブズがスピーチしているように聞こえるわけですよね。

傍島:なるほど。

BrandonこれはいくつかのAIがつながっていて、ChatGPTという、何かを質問したら人工知能として答えてくれる答えのテキストと、スティーブ・ジョブズっぽく話すAIを合体させたことでスティーブ・ジョブズが「パンデミックどうだった、Appleも大変だった」といった返事をするAIジョブズのようなものがつくられたケースです。これは結構インパクトがあるかなと思います。

傍島:確かに。ジョブズは亡くなっていますものね、ずいぶん前にね。

Brandonそうなのです。

小川:そうですよね。

傍島:このパンデミックの話などできないはず、していないですよね。

Brandonそうです。降臨したのかなという感じがしますよね。

小川:降臨。(笑)

傍島:やばいですね。(笑)

Brandonこういうこともできてしまうという例ですね。ここで少し、このGenerative AIの話をするときに、あまりにも革命的過ぎてしまって、今われわれはどこにいるのかなというのを見失いがちですので、インターネットができてから現在に至るまでの変革期を説明させていただけるとありがたいかなと思っています。

まず、1990年代頃からインターネットが世の中に普及しましたが、最初はリンクをクリックして情報を集める、情報にたどり着くというブラウジング方法を世の中の人はしていました。一般的なのは、Yahoo!JAPANの一番最初の頃のページは検索よりもリンクをクリックするというようなサイトでした。今でもアメリカではCraigslistなどいくつかリンク中心です。ウィキベテアもそうですよね。リンクをクリックしていってたどり着くというハイパーリンク、これが最初にインターネットでの使われ方だったと思います。

そこから情報があまりに集まり過ぎて、クリックしているとキリがないよとなりましたので、皆さんは検索をし始めました。皆さんもGoogleなどを毎日使っていると思いますが、世の中にある何百億何千億という情報から自分の欲しいものを探すときに、クリックでは時間がありませんので、検索で結果を出すようになっていったと思います。それが2000年前後から最近までだと思います。

ここで2023年になりましたが、遂に対話・生成型で情報を引き出してゲットするというシフトが来た、この第3期に入ったぐらいの始まりにわれわれはいるかなと僕は少し感じています。

傍島:大きいですよね。Web1.0、Web2.0、Web3.0なんていう話も、前回ですか、以前にもウェビナーでも取り上げましたが、本当に第3期に入ってきたという感じですよね。

Brandonそうですね。世界全体がインターネットを介して情報を獲得する手段が大きく変わってきたという感じですし、実際ここ数日でGoogleの検索量も格段に下がっているというニュースも見ました。

傍島:確かに。

何を生成するのか?

Brandonそれぐらい影響がある状況かなと思います。Generative AI、生成系AIはどういうことかと言いますと、「文字や画像等を入力してAIに生成させる」、一言で簡単に言うとそういうことです。

では、「何を生成するの?」というのが次のクエスチョンだと思います。これぐらいは今はもうできてしまっていますね。文章、画像、動画、ゲーム、Webサイト、アプリ、これ以外にもおそらく今後はできてくると思いますが、これは余裕でできている状態に今なっています。例えばこれは文章です。これは僕がドクターにアポを取りたいのですが、アポメールを書いてと言ったら書いてくれたとか、あとは画像、絵も描いてくれたとか。これは動画ですね。Frame by Frameという静止画がつながってはいますが、AIのほうで動画がつくられ始めていますね。これはゲーム、テトリスもつくれてしまいますし、Webサイトも生成AIのほうでつくれてしまいます。これはアプリをつくった方が先週ぐらいにいたのですが、「映画アプリのようなものをつくって」と言ったらコードを書いてくれて、それで生成されてしまったという例です。

傍島:うわ!

小川:すごい!

傍島:もう、コードなど勉強しなくていいということですよね。

小川:そうですね。

傍島:本当に「こういうゲームをつくって」「こういうWebサイトをつくって」といったことを書いたりして教えればいいわけですよね。

Brandonそういうことになりますね。ですから、簡単に想像するだけでも、世の中、仕事の仕方や役割は変わるだろうなと、これは後半で少し説明する予定です。

1回まとめますと、AIが既存のデータから新しいデータを生成して、リアルな画像動画や文章などを作成するテクノロジーが生成系AI、Generative AIということになります。

プロンプト(Prompt)とは

Brandon:ここで重要なキーフレーズ。弊社のCTOから3週間ぐらい前に「プロンプトは大事だよ」と言われました。

傍島:これはよく聞きますよね。小川さん、どうですか。プロンプトって聞いたことありますか。

小川:いえ、ちょっと分からないです。

傍島:必要ないですからね。

小川:はい。

Brandonプロンプト、難しそうで全然難しくないですね。AIに何かしてくださいと入力するという「指示」です。

小川:なるほど。

Brandon少し例を含めて、これはChatGPTに「どういうふうにプロンプトを書いたらいいですか」と聞いたら、こういうふうに答えてくれたという。

小川:それさえも聞いてしまうという。(笑)

Brandonそうですね。ChatGPTが「私にこういう指示をしてくれれば、私は動きやすいですよ」というのを言ってくれた例ですが、例えばこれがプロンプトの例です。これは誰かが作成していたのを拝借しましたが、「あなたは50代の上司のおじさんです。こういうのを書いてみて」と言ったら、こういうのを書いてくれました。

傍島:気持ち悪い。(笑)

小川:絵文字、すごいですね。

Brandonプロンプトからのアウトプットです。

例えば、次は画像をいきますね。今は英語が中心ですので、このように「food photography, hamburger in the style」と書いているのですが、こういうのを生成してくれます。

傍島:うわー!

小川:おいしそう!

Brandon今度は人の写真を入れて、「Fujifilmのような写真っぽい、こういうカメラっぽい写真でお願い」と言うと、リアルに生成してくれたりします。

あと、これは面白いと思いました。「Joe biden and donald trump laughing and playing golf together」という。

傍島:ないない! ないない!(笑)

Brandonリアルではあり得ないことが言ったらつくってくれるという。(笑)

傍島:恐ろしい。(笑)

小川:すごい、楽しいそうですね。(笑)

Brandon見ていて結構これは正しい使い方かなと思ったりしました。リアルでは絶対にあり得ない世界が表現できるって、これはアメリカ的には結構ヒットでしたが、こういうものもつくってくれます。

あとは、これはスケッチを描いて、こんな感じの写真というのを合わせてAIに頼むと、いい感じのグラフィックデザインをしてくれるという。

小川:これ、すごくかわいいなと思いました。

Brandonかわいいですよね。これは今、グラフィックデザイナーに「こういうのが欲しいです」とクライアントさんがリクエストするときによく簡単にスケッチ書いてみましたというものや、「この写真っぽい感じで」と言って渡したら、グラフィックデザイナーが10時間20時間30時間かけて右のようなものをどうですかと出すものを、AIが1分ぐらいで出してしまうという、そういう例です。

小川:本当にお仕事ね、皆さん大変です。

傍島:これはすごいですよね。

Brandonこれは素敵です。

傍島:これはすごく意味があります。左上の、はがきにも見えないような手書きのスケッチが右側になるということですよね。

Brandonそうです。

小川:すごいですよ。

傍島:これはすごく意味があることだと思います。

Brandonそうなのです。

傍島:手書きを上手に書く必要がないということですよね。まったく似せる必要もないということですものね。

Brandonそうですね。

傍島:何となく、これがすごいですね。

小川:本当ですよね。本当に誰でもつくれてしまいますよね。

BrandonAIの気遣いによってね、これをつくってくれるという。(笑)

傍島:いい感じで。

Brandonいい感じで。

傍島:いい感じでという感じですね。

小川:すごい。

Brandonあとは、これは意外と見落としがちですが、画像から文字に変換することもできます。画像を読んでくれて、そこからいい感じで文字を出す、これはいい例です。「この写真に写っている食材で作れる料理のレシピをつくって」と言ったら、レシピを出してくれるという。

小川:これは最高ですよ、主婦としては。

Brandonこれは最高ですよね。

小川:はい。

まだ苦手なものもある「こたつにみかん」

Brandon逆ディレクションで、写真をもとに文字コンテンツを生成するというのもすでにできている状態です。あと、弊社の技術系の人がこれも教えてくれたことで、「“こたつにみかん”というのがAIは苦手だよね」と言われました。苦手なのもあるのです。それはカルチャー的なコンテキストがまだ現時点ではそこまで強くないということで、「こたつにみかんを置いた画像を出して」と言うと、頑張ってくれるのですが…。

傍島:(笑)

Brandonこういう感じでできる限りつくってくれるのですが、全然。(笑)

小川:夢の世界のようですね。

Brandonこたつが何かというのと、あとお正月のあの雰囲気というコンテキストをAIさんがまだ学びきれていないという。

小川:ご存じない感じなのですね。

Brandonご存じない。これもおそらく日に日に改善すると思いますが、ちょっと面白い例だというので出ていましたね。

小川:面白いです。(笑)

Brandonですから、英語でも日本語でもよく言われるのが、プロンプトはAIに何かつくってもらうためにお願いするときに使う“呪文”と言われているのです。今、結構詳しい人が「すごいプロンプトを考えた!」と言って自慢しているというのが最近出てきました。どうプロンプトを入力するかによって、生成される、出力される内容が変わってきますので、正しいプロンプトの書き方を覚えましょうというので、今、世界中の方がプロンプトの書き方を身に付けようと頑張っています。僕を含めて呪文の唱え方を勉強している方が今増えていますよね。

傍島:これによって全然結果が変わるのですよね。この指示の仕方、呪文の唱え方によって全然違うのですよね。

Brandon全然違います。それで言うと、これはほかの方々がポストしていたのをお借りして、名前も載せていますが、こういう感じでプロンプトを作成するポイントというのがあります。こういう感じでね、こういう感じとか、こういう感じとか…、これは良くない例として、こういう書き方をするといいというのがポストされていましたので、簡単にご紹介したところです。

傍島:今の例を見ていると、すごく論理的に1個1個丁寧に説明したほうがいいですよね。

Brandon傍島さん、それは人と人のコミュニケーションや上司が部下に指示するときも、結論は「そのように出して」という話なのですよ。

傍島:確かに。(笑)

小川:細かく分かりやすく。

Brandon最近、プロンプトを勉強しているエンジニアの方のコミュニケーション能力がすごく上がっているのです。

傍島:確かに。

小川::やはり影響するのですね。

傍島:ありますよね。

Brandonそう。

傍島:僕たちはたまに日本語を英語に通訳のようなことをしなければいけないときもあるのですが、話している日本語を聞いていて意味が分からないときがあるのです。何を話しているのかな?と、話している人もよく分からないというような。

Brandon日本語は主語が抜けていたりしますからね。

傍島:そうですよね。そこを1つ1つ丁寧に行うというのがポイントですね。

Brandonきちんとする、そうすると、人とのコミュニケーションもよりよくなるというのが、今、世の中で結構起こっている、弊社の社内でも起こっていることですね。「あれ? あの人、説明分かりやすくなりましたね」と言ったら、「今、プロンプトを勉強していまして」と、そんな感じになっています。

傍島:確かに。いいことです。(笑)

どのようなテクノロジーがあるのか?

Brandon:テクノロジーの話を少しだけします。僕も勉強中ですが、ここでキーフレーズです。「LLM」というのも生成系AIとともに最近出てくるキーワードです。これは何ぞや?と思いましたが、Large Language Modelsという英語の表現がありまして、AIのエンジンになるような、たくさんの言語、何億という言語パターンや仕組みを理解してくれるエンジンのようなもので、これがあるからAIが駆動するという、そのコアになっている部分です。これをつくっている会社が何社かあって、そこの恩恵を皆さんが預かっています。検索エンジンというのがありましたよね。これは生成系AIエンジンというのに近いのかなと僕は理解しています。

現時点で3社あると言われています。まず、数週間前からとても取り立たされているOpenAI社です。いわゆるChatGPTはこのOpenAI社が提供していて、最近は日本のテレビでも特集されるほどの会社で、イーロン・マスクやMicrosoftも多額の投資をして一緒にしているのがOpenAI社です。あとはGoogleですね。もともと検索エンジンやデータをものすごく持っているGoogleもAIエンジン、LLMを保有しています。また、FacebookだったMeta社も、ここ最近、実は頭角を表してきておりまして、AIエンジンを持っていて、それを稼働し始めています。3社でしたので、三国志になぞらえています。

そういうLLMから生み出されているのがChatGPTや、画像でしたらStable Diffusion、MID JOURNEY、それからBingというMicrosoftの検索エンジンのAI BOTです。ほかにも有象無象で山ほどAIドリブンなサービスがあって、SlackやAdobe系にも実装されましたし、CopilotはMicrosoft Officeで使うものですし、いろいろなサービスにもどんどんつながっている、始まったばかりの状態です。

なぜGenerative AIは急激に発達したのか?

Brandon:これも僕は興味があって、「なぜ急激にAIが発達したのか」と。急激に発達した感じがしませんか。いきなり最近出てきました。

傍島:確かに。すごいですよね。急にきましたよね。

小川:はい。

Brandon弊社のCTOにも聞いて、なるほどなと思いましたが、コロナ禍が重要だったということです。なぜかと言うと、コロナ禍でみんなが何をしたかを考えると、自粛規制、リモートワーク、リモートエデュケーション、オンラインサービス、Zoomミーティングなど、こういうのをいろいろオンラインで行いました。これでものすごくここ2~3年でデータが集まったそうです。

傍島:確かに。

Brandon:コロナの時期に、今おこなっているわれわれのこのZoomウェビナーも全部データとしてZoom社にいっていますよね、どういうときに人間が笑うのか、背景がどんな雰囲気なのか等。それから、Instagramで僕が載せた写真も、これは自分の写真ですが、「Sunset」「GOLDEN GATE BRIDGE」と書いているのは、「GOLDEN GATE BRIDGEの夕焼けはこんな写真だ」というのがAIにいくわけです。ですから、「Sunset」と「GOLDEN GATE BRIDGE」の文字を入れて、「画像生成して」と言ったら、左のようなものがおそらく出てくると思います。僕がもうAIに教えてしまっていますから。Meta社はFacebookとInstagramを持っていますし、MicrosoftもTeamsがありますし、GoogleもMeetがありますし、ほかにもRedditなど各社いろいろなサービスがあります。ここ3年間で、そういったものからどんどん文字、画像、映像、人間のリアル表情・動き・喋りなどをAIにものすごい量の情報を与え続けていて、そうして水面化でどんどん開発されていて、コロナ明けの2023年に一気にバーンと出てきたということです。

傍島:バーンと、確かに。

小川:なるほど。

Brandon潜伏期間がずっとあったということです。

傍島:AIのエンジンが賢くなっていたのですね。

Brandonいつの間にかね。

傍島:確かに、分かりやすいです。あると思います。

Brandonわれわれがリモートでデジタルサービスをどんどん使っている間に、人間のことをよく理解してくれるようになっていたという。

傍島:怖いですけれども。

Brandonアナログだとなかなかできないのですが、みんなカメラにも映って、声もきちんとマイクを通していますし、写真も撮ってくれていますし、文字もタイプしてメッセンジャー等でメッセージを送ってくれているということで、情報が世界中から集まってくれていた、それが最近急激に発達していったきっかけになったそうです。

視聴者からの質問

小川:なるほど。ありがとうございます。ではここで、すでにご質問が届いておりますので、Brandonさん、お答えいただいてもよろしいでしょうか。

Brandonどうぞ。

小川:ありがとうございます。まず1つ目です。「btraxではすでにGenerative AIを使用していますか」というご質問がきております。

Brandon使用しています。去年の末頃から実はデザインの現場で使用しています。後半の最後のほうで事例紹介で説明させていただきます。

小川:ありがとうございます。そして2つ目ですが、「少し前までメタバースが流行っていましたが、Generative AIとメタバースを組み合わせるとどのようなサービスが生まれるとお考えでしょうか」というご質問です。

Brandonこれは、どのようなサービスができるかはまだちょっと不明確なことはありますが、メタバースの仮想空間や三次元空間はAIでGenerateしやすくなるのは間違いありません。そして、こういうサービスができるかもというのであれば、予測ですが、リアルタイムでどんどん世界が生成されていく、地球は行けるところに限界がありますが、メタバース空間で生成系AIが後ろにあれば、どこに行ってもどんどん街や空間が広がっていきますので、無制限にいろいろな所に行ける世界がリアルタイムで生成される世界がサービスとしてつくれる、これは想像できますよね。

小川:ありがとうございます。続いてはご質問というよりご感想です。「“こたつにみかん”は、おそらくペルシャのコルシから取ってきている気がしますね」というご意見をいただいております。

Brandonそうなのですね。分かりました。ペルシャのデータがそこで活用されている感じなのですね。

小川:そうかもしれないですね。そして、同じ方ですかね、「画像音声生成は、未来のある技術だと思う反面、フェイクニュースやプロパガンダに利用される可能性が高いと思っていて、逆に、AIで生成されない技術や加工されていないことを証明するための技術も必要になってくると思うのですが、その分野の研究も進んでいるのでしょうか」というご質問です。確かに気になりますね。

Brandonそうですね。デコードやファクトチェックなど、そういうのでそういうサービスや仕組みもできるのではないかという話はあります。弊社CTOにこの話もしたことがあり、「ブロックチェーンでそういう証明をつくっていけばいいのではないのかな」と僕が聞いたら、「いや、下手をするとAIがブロックチェーンをつくれてしまうから、それもまたいたちごっこになる可能性があるよ」と言われて、ちょっと恐ろしいなと思いました。

傍島:確かに。

小川:すごい。

傍島:怖いですね。

テクノロジーの急激な進化に対する脅威

Brandon技術に詳しければ詳しいほどこれに関しては結構悲観的と言いますか、「かなり緊張感を持って考えている」と言われました。「危ない」と言っていました、本当に。

傍島:倫理的な問題は、このAIが出てきたときから言われていますよね。人間よりも賢くなってしまうのではないかという話も出ていますので、みんなここは慎重にいくとは思いますが…。慎重にいってほしいですよね。

小川:確かに、映画の世界のように人類が滅びないといいですが。

傍島:そうですね。本当にありますからね。

Brandon結構、フューチャーリストという未来を予測する人によっては、「かなり気を付けて、今後きちんとしていかなければ危ないよ」と言われていましたし、今、GPT-4というのが出たのですが、進化していく過程でGPT-2の段階でOpenAI社が「あまりにもパワフル過ぎて、世の中に出すのがセキュリティ上危ないかも」と表明していたのにGPT-3であっさり出してしまって、「大丈夫なのかな」というのは実はシリコンバレー界隈では言われていました。

小川:なるほど。そして、次々とご質問が届いております。あと2問よろしいでしょうか。

Brandonどうぞ。

小川:「毎日のようにChatGPTの情報交換会などが行われていると聞きますが、この領域でやるにはネット情報よりもどのくらい速いですか。移住の投資をする価値はもちろんありますよね」ということです。

Brandon:現時点では、シリコンバレーにいて、人と接してその情報が入ってくるのとネット情報は、そこまで変わっていないと僕は思っています。こちらに住んで何がいいかと言うと、情報量ではなくて、質を正しくキュレートされた情報を「絶対にこれは正しいと思う」という目利きができる人と直接会って聞けるというところだと思います。実はスピードと量はネットを介して見るとそこまで差はないと僕は思っているのですが、精度が高いものとそうではないものを、特にこういう新しいものに関しては目利きできる人がシリコンバレーにはいて、そういう人からいただけるアドバイスや情報は価値があるかなと思っています。

【クイズ】この画像はリアルかAI生成か?

傍島:確かに。せっかくクイズの画面が出ていますので、クイズにいきましょうか。

小川:かしこまりました。では、後ほどまたご質問をさせていただきます。お願いいたします。

Brandonこれは、ここ1~2週間で僕が自分で撮った写真や違う方が撮った写真、AIで生成した画像などを集めてきて、これはリアルと思う?AI生成だと思う?というクイズです。12ページぐらいあるので、さくさく進めようかなと思っています。

まず、これです。皆さん、結構馴染みのある映画の写真のように見えますが、これはどう思いますかという。これはPollsでいきますか。

傍島:どうでしょう、リアルでしょうか、AIでしょうか…。アンケートを終了しますね。

Brandonはい。

傍島:結果をお伝えします。

Brandon:AI。皆さん、すごいですね。

小川:はい。AIが75%ですね。

Brandonさすがです。では、次はこれです。桜、船。

小川:美しい、きれいですね。

Brandon最近の、今の季節の風景です。

小川:さあ、どちらでしょうか。皆様、お答えください。

傍島:3、2、1…。終了します。

小川:はい。AIが89%です。

Brandonこれはリアルなのですよね。

小川:皆さん、はずれでした。(笑)

Brandonフィルターなどありますから。

傍島:リアルですね。

Brandonそう、これはリアルですね。AIっぽい写真が撮れた感じですよね。

小川:はい。すごい! AIかと思いました。

Brandon次は女性の写真です。

小川:どちらか、皆様お答えください。

傍島:これも分からないですよね、本当に。

BrandonAI。

小川:67%。

Brandonはい、これはAIですね。というか、AIの答えが多いですね。次です。これは片方がリアル写真で僕が撮った写真で、片方がAI生成です。

傍島:よく見てくださいね。行きますよ。

小川:はい、お願いします。

Brandonこれは僕がAIっぽい写真が撮れたとアップしたら、AIでも生成してみましたというのをいただきました。(笑)

傍島:これは、左がAI・右がAI・両方AI・両方リアルの4択です。

Brandonそうですね。

小川:4択です。

傍島:はい、結果を見せます。

小川:左がAIという方が59%です。

Brandon左がAI…。実は左がリアルなんですよね。

傍島:おーっ。(笑)

Brandon左は僕がこの前オースティンで、テキサスへ行ったときに撮った写真です。

小川:お上手ですね。(笑)

Brandonありがとうございます。これはフィルタなどは掛けていないのですが、あとで見たら超AIっぽいのが撮れたと思いました。(笑)

小川:皆様、少し騙されてしまいましたが。

Brandonはい。では、鮭です。

小川:おいしそう!

Brandon鮭はどうですか。これは両方AIか、両方リアルか、どちらかがAIか。

傍島:これは分からないですよね。

小川:こちらも4択です。

傍島:いや、微妙ですね、これは。出します。

Brandonあっ、これは結構ばらけていますね。

小川:一応、29%で両方AIが一番多いようですが、いかがでしょうか。

Brandonはい。左がリアル、右がAIですね。

傍島:2番ですね。

Brandon2番は27%ですね。

傍島:いやー、きりがないな。これはすごいですね。

Brandonテイラー・スウィフトです。

小川:歌姫、どちらでしょうか。

傍島:微妙ですね。

小川:AIっぽい感じがしますけれども。

Brandonだいぶリアルに投票する人が増えてきましたね。これはAIなのですよ。例えばこれは肖像権はどうなるの?という感じがしますが、詳しくは分からないです。

傍島:確かに。

Brandonはい、これです。

小川:はい。どちらでしょうか。

傍島:だいぶもう。

Brandonはい、リアルです。

小川:59%。

Brandonだいぶ気付き始めましたね。

傍島:これはリアルですか。

Brandonこれはリアルです。フィルターや加工が入っているからだとは思いますが、生成っぽく見えますが、これはリアルです。では、これは?

小川:どちらでしょうか。

傍島:頭がもうぐちゃぐちゃになってきましたね、リアルとAI。

小川:そうですね。もう何か分からなくなってきましたね。

傍島:なってきましたね。どうでしょう?

BrandonAI。

小川:ほとんどAIです。

傍島:これはAIですね。

Brandonもう少しで終わりますね。ハチです。ハチの決定的瞬間の写真な感じです。

小川:はい、どちらでしょうか。

傍島:五分五分ですね。

Brandon五分五分ですか。

小川:51%がリアル。

BrandonAIですね。次は食べ物です。

小川:どちらでしょうか。

傍島:これも、でも、これだけ皆さんが五分五分になるということは、分からないということですよね。

小川:そういうことですよね。

Brandonそうなのです。

小川:リアルが55%です。

Brandonリアルが少し多いですが、これはAIです。では、今度は少しアニメっぽい画、これが手で描いたか、AIに描いてもらったかです。

小川:なるほど。手書きかどうか。

Brandonそうですね。写真っぽくない場合ですね。

小川:AIが79%です。

Brandonそうですね、AIです。こういうのも描いてくれるから、アニメーターと言われる人たちの仕事がね。最後はこれですね。

傍島:(笑)

Brandonこれはシリコンバレーの偉い人たち、CEOなどそういうテックの人たちですね。これは冗談のような最後の質問です。すみません。

小川:AIが88%です。

Brandonはい、AIです。これはもちろんそうですね。(笑)という感じで結論は分からないということなのです、これだけでは。

小川:そうですね、皆さん騙されたと言いますか。

ビジネスにおける生成形AIの影響

Brandon人の目で見ても分からないので。画像に関しては、人間でつくったのか、AIがつくったのか、分からないレベルまできていますよという例でした。

次に、仕事やビジネスにおける影響です。これは僕が参加したカンファレンスで説明していたGenerative AIが影響を与える業界のリストで、緑が一番直近で影響を与えるというものです。こういう業界に影響があるよということで、少し頭の片隅で覚えておいていただければと思います。

まず、時間短縮がすごいですね。AIを活用してプログラミングやコーディングした場合に-55%、時間が半分以下で終わるという例です。今度はグラフィックデザイン、画像をつくる場合で言うと、人間が300時間ぐらいかけて行う、先ほどのアニメの絵のようなものは1分以下で生成してくれるという、そのぐらい時間の短縮になります。

これは、紙がない時代はみんな全部脳で記憶しなければいけませんでした。それが紙ができたことによってメモできるようになりましたから、記憶力はそんなに重要ではなくなりました。また、電卓ができる前は暗算や計算力、そろばんの使い方がものすごく重要でしたが、電卓ができたことによってその能力はそこまで重要ではなくなりました。一番分かりやすいのは洗濯機なのかなと思っています。洗濯機ができる前は人間は板で洗っていたそうですが、今は「私は洗濯機は使わず、こだわって板で洗っています」という人は先進国にはほとんどいないと思います。

小川:はい、大変過ぎます。(笑)

傍島:うん。(笑)

Brandon「まだまだ世の中はAIなんてまだ使わないよ。今後も使う予定はないよ」と言われている方がいたとしたら、「あなたは洗濯機ができても洗濯機を使わずに手で洗いますか」というのに近いと思います。

傍島:確かにね。

Brandonですから、AIを使わないというのは今後本当に非効率的なだけになる可能性があると思っています。電卓を使わないで全部手で計算していたら、おそらく上司に怒られると思います。「おまえ、何をしているの? 電卓を使いなさい」と。

小川:確かに。

Brandon「AIを使いなさい。まだ手でメールを書いているの? ChatGPTに書かせなさい」ということにおそらくなると思います。例えば先日の野球の「WBCで勝つ方法を教えて」と言ったら教えてくれたりします。これはMicrosoftのCopilotですが、プレゼン資料をつくる場合も文字を入れたらパワーポイントがプレゼン資料を生成してくれるようになってきていますので、1から全部自分の手でプレゼン資料をつくる時代は終わるでしょう。これはGoogleですが、「こういう求人を書きたい」と言ってポジション名などを入れると、求人の内容を書いてくれます。これはAdobeですが、画像をすぐに生成してくれますので、少し修正するだけでグラフィックデザインが完成します。また、スケッチを書いてロゴのデザインをするときも、AIと一緒につくることで強烈に時間を短縮できます。僕たちデザイナーが今まで血のにじむ思いでしていたことを一瞬でつくってくれます。

傍島:うーん、複雑です。

“完全人力 vs With AI“

Brandonエンジニアでしたら、アプリのコーディングをAIが生成してくれます。また、プロダクトマネジメントにおいてもChatGPTがいろいろアドバイスしてくれます。こういうツールをまとめましたが、いろいろな業界におけるAIツールがどんどん出てきて、すでに存在している状態です。ですから、“完全人力 vs With AI”、こういう感じに近いと僕は思っています。

傍島:確かにね。

Brandon人力で行うのか、機械を一緒に使うのかというような、もしくはこれです。『ラストサムライ』という映画を見たことがある方は分かると思いますが、刀で戦っていて、相手がマシンガンだったら勝てませんよね。こだわって刀というのはいいのですが、現実問題使わないと厳しくなるかなと、実はそんな気がしています。つまり、最強のアシスタントを、しかも複数人ゲットしている状態なのかなと思っています。

ブランディングにおける生成系AI活用例

Brandonアシスタントとしてブランディングに生成系AIを使った例をお見せします。例えば「BRITISH AIRWAYSという航空会社とBurberryがコラボしたらどんな感じになりますか」とアシスタントに言うと、こういうのを生成してくれます。

小川:おしゃれ過ぎます!

傍島:これは実際にはないのですよね?

Brandonないです。

傍島:実際こういうものはないのですよね?

Brandonないです。

小川:おしゃれ!

Brandonコンセプトづくりのときにね。では、「JeepとTHE NORTH FACEが一緒にしたらどうなるの?」と言ったら、こんな感じになります。

小川:かっこいい!

Brandonあとは、NIKE×TIFFANYはあるのですが、AIがNIKE×TIFFANYをつくったほうがかっこいいのが出てきたという例です。

小川:おーっ! 欲しいです、スニーカー。

Brandonあとは、adidasとクレヨンのメーカーがコラボするとこういうのが出てきます。

小川:かわいい!

Brandonポスターもつくってくれたり。

傍島:すごいですね、これは。

小川:すごいです!

生成系AIによって変化する仕事

Brandonでしょう? それで「仕事はどうなるの?」というのをChatGPTに聞いた方がいらっしゃって、「こういう仕事はなくなるよね」というのが…。

傍島:ドキドキしますね。

小川:探したくないですよね。

Brandonこれはちょっと心が痛くなりますので、僕が少しこれは整えました。なくなるのではなくて、変化すると思ってください。

小川:よかったです。

Brandonなくなるのではなくて、AIを使ってする仕事に変わる、直近、中期、長期というのがあるかなと思っています。まず、今まで見ていただいて、フォトグラファーやイラストレーター、3Dモデラー、文字を書くライター、モデルはAIを使うとだいぶ変わりますよね。リアルで撮らなくていいシーンも出てきますし。

傍島:確かに。

Brandon中期的には、コーディングやリサーチ、グラフィックデザイン、ユーザーインタフェースのデザイン、秘書がAIの活用をだいぶできますし、長期的にはこういう専門職もAIを使うべきですし、使っていないと単体ではかなりしんどい状態と言いますか、勝てなくなるかなというので、少し考えてみました。

【事例】Btraxによる生成系AIを活用したデザインプロセス

Brandon:ようやく最後の事例です。あと3分ぐらいですので、少し説明させていただきます。弊社はヤンマーさんという産業機械のブランドの国内・海外向けのブランディングをしています。今、ロボットを使ったアニメをつくっているのですが、その第1弾のコンセプトワークをするときに「短い納期でデザインコンセプトアイデアを出してください」という時期がよくデザイン会社であります。これがもう、どの案件もそうですが、だいたいムチャブリになります。どうするかと言いますと、デザイナーが徹夜して必死につくるということがよくあります。

そんな中で、われわれは「AIがあったではないか。生成系AIを活用して大量にデザインアイデアを出そう!」と言ってAIを活用しました。既存のデザインプロセスで3週間でつくろうと思っても、結局ゴール設定をして、ディレクションを決めて、スケッチして、クライアントさんにレビューしてもらって、修正して、レビューしてもらってと、こういう工程が絶対に必要なのです。こういうプロセスになって右上のチームメンバーになるのですが、そうなってくると40日8週間かかりますので絶対に間に合わないのです。では、AIを活用してどうしたかと言いますと、最初の2つは人力ですが、ここからはAIです。1dayと書いていますが、数時間かかった程度です。オプションが多いのでレビューも短いですし、AIでそれをもとに修正して、レビューして、また修正して、レビューしてもらって、最終アウトプットまでかなり圧縮したスケジューリングと速いスピードで行って、15日3週間で間に合った!という。これが実際にこういう画像をバーッと、これは一部で何百枚とありましたが、いろいろなものをこういうふうにどんどん出させて、少しデザイナーが手を加えたりしながらつくっていって、レビューしていって、どうしましょうかというのを実際にしたところ、速いスピードで大量のビジュアルをつくることができました。人力で絵を描いているのは1つもありません。コンセプトワークですので、世の中に出すものではなくて、ディレクションを決めるためのコンセプトワークとして、これはすごく使えたという例です。

結局、スピード向上とメンバー構成の効率化、逆にエンジニアを入れたりはしました。バリエーションを増やしたり、スタイルも選べますし、リアルタイムでAIで修正させられますし、24時間/365時間で動いてくれます。病気もしないですし、残業だと文句を言わないですし、ブラック企業だと訴えられることもないという、そういうことなのですよね。(笑)

傍島:(笑)

小川:確かに。

Brandon弊社としても、このプロセスを正式に、4月1日から全てのプロジェクトに活用することにして取り組んでいくということで。

傍島:速いですね。

BrandonAIデザインを入れていくというお知らせですね。まだ世の中には発表していなかったのですが、ここで初めてお知らせになります。

小川:すごいです。

まとめ

Brandonパパッといきましたが、おさらいとしては、生成系AIというのは文字や画像を入れて何か生成して、いろいろなアウトプットができます。プロンプト、“呪文”が重要で、エンジンはLLMという言語モデルを使っています。今後は紙や電卓、洗濯機のような存在になりますし、いろいろな仕事がそれによって変化します。実際、デザインの現場では効率性が格段にもうすでに向上していて、われわれもその恩恵に預かっている次第です。

一言で言うとこれですね、“Generative AI”によって複数のアシスタントを獲得した状態になりますので、かなり効率が上がって、人間はより豊かな生活ができるようになるのではないかと僕は思っています。これはダーウィンの言葉で「Adapt or die.」という、変化に順応していけなければ滅びると、これはシリコンバレーのテーマにもなっているキーワードですが、今まさに世の中が直面している状態なのかなということです。以上になります。

傍島:ありがとうございます。今の良い言葉ですよね。

Brandonこれですか。

傍島:Generative AIやAIにやられるのではなくて、順応するか滅びるかと、すごく良い言葉ですよね。私は好きですね。

Brandonありがとうございます。

小川:(笑)頑張ってAdaptしていかなければという感じですよね。

Brandonはい。

傍島:そうですね。

視聴者からの質問

小川:ありがとうございます。傍島さん、本日はすごいQ&Aと言いますか、ご質問を頂戴しておりますが、どうでしょうか。

傍島:そうですね。まだせっかくあと2~3分あるので、いきましょうか。

小川:そうですよね。よろしいですか。

傍島:いけるところまでいきましょう!

小川:ありがとうございます。では、まいります。「正直これからのデザインスキルやエンジニアスキルに関して何をすればいいのか不安です。これからのデザイナーやエンジニアの生き方をアドバイスください」ということですが。

Brandonそうですね。今まで以上にものすごくコミュニケーション能力が重要になってくると思います。表現したいものを言葉で説明して、それをAIにも伝えてつくってもらう。アシスタントですから、アシスタントに「こういうのを1回デザインしてよ」と伝えるという、1人作業ではなくなる感じです。職人のように黙って手を動かせばいいという時代はほぼほぼ終わります。デザイナーでもエンジニアでも、どういったものをつくりたいかというのを言葉で表現して、それで自分の理想に近いアウトプットを生成してもらうというスキルが必要になると思います。

あとは、デザインは特にそうですが、幅広い知識とアイデアが必要になってきますので、いろいろな映画やいろいろな歴史を知っていると、AIに説明するときに「マトリクス調の感じでこういうのをデザインして」とか、「ターミネーターっぽいロボットにして」とか、そういうことが言えますよね。そういう雑学というか、リベラルアーツというか、いろいろな趣味趣向を持っている人が活躍しやすくなると思います。好奇心が強い人が重要だと思います。

傍島:確かに。

小川:ありがとうございます。もう少しお時間ありますか。「生成されたものの著作権についてもどうなっていくのか、この辺りも気になります」ということですが、いかがでしょうか。

Brandonまだまだ凡例が出てきていなくて法規が整っていないのですが、現在のところ、アメリカの著作権オフィスでは、AIが生成したものそのものは著作権は誰もないと言いますか、生成させた人には帰属しないと書いていました。そこに人間の手を加えて、自分のクリエイティブに活用した場合はその人の作品にはなるけれども、生成されたそのままを自分のものだという権利はないと書いてありました。それはそうですよね。

傍島:確かに。言われてみればという感じですが。でも、この辺りは論点になりますよね、著作権問題はね。

Brandon今後どんどん変わってくるとは思います。

傍島:確かに。

小川:ありがとうございました。では、そろそろお時間でしょうか、傍島さん。

傍島:はい、そうですね。たくさんいただきまして、ありがとうございます。ご回答できなかったご質問には後ほどメールか何かで回答するようにあとでBrandonさんと相談しますので、お待ちいただければと思います。

Brandon分かりました。

小川:皆様、後ほどメールでご回答をさせていただきます。本日は最後までご視聴いただきまして、ありがとうございました。それではお時間になりましたので、本日の01 Expert Pitchは終了とさせていただきます。Brandonさん、傍島さん、本日はどうもありがとうございました。

Brandonありがとうございました。

傍島:ありがとうございました。

小川:そして、ご視聴いただいた皆様もありがとうございました。また次回もぜひご参加いただければと思います。それでは、さようなら。

以上


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