01 Expert Pitch #17

非エンジニアでもシリコンバレーでキャリアを築くには?


01 Expert Pitch #17

非エンジニアでもシリコンバレーでキャリアを築くには?


2022.11.29 TUE 12:00-13:00 JST
高橋 建人 氏
グローバルで活躍する日本人が増えています。言語の壁はもちろんのこと、文化の違い、足りない人脈などを乗り越え、これからも益々活躍する人々が増えてくることでしょう。 今回のウェビナーでは、シリコンバレーの超大手テック企業で働く高橋 建人氏をお迎えして、エンジニアではないビジネスパーソンが、どのようにして世界最先端の人材が集まるシリコンバレーで自身のキャリアを築いてきたのか、今後の展望などについても伺います。

▼ こんな方にオススメ

  • 米国・シリコンバレーで活躍したい方
  • 新しく転職などチャレンジを考えている方
  • 世界における最新のスタートアップの取組み状況と未来を知りたい方

高橋 建人氏
東京大学工学部システム創成学科卒。
アクセンチュアにて戦略コンサルタント、不動産ベンチャーCOOを経て、外資系テック企業の東京支社に入社。現在は、シリコンバレー本社にてマーケティング領域のデータサイエンティストを務める。経産省「始動」2015選抜メンバー

小川:それでは12時になりましたので、01 Expert Pitch第17回を始めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

「シリコンバレー発!世界のエキスパートが最新情報を日本語で解説!」ということで、本日は「非エンジニアでもシリコンバレーでキャリアを築くには?」をお送りいたします。今回は、高橋建人さんをエキスパートとしてお迎えいたしております。高橋さん、どうぞよろしくお願いいたします。

高橋:よろしくお願いいたします。

小川:そして、本イベントの主催者であります、Tomorrow Access Founder & CEO 傍島さんです。どうぞよろしくお願いいたします。

傍島:よろしくお願いします。

小川:そして、私、ナビゲーターを務めてまいります、フリーアナウンサーの小川りかこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速ですが、傍島さん、この01 Expert Pitchイベントの狙いなどを少しお話いただけますでしょうか。

01 Expert Pitchとは?

傍島:あらためまして、Tomorrow Accessの傍島と申します。よろしくお願いいたします。Tomorrow Accessという会社はシリコンバレーを拠点にしたコンサルティング会社になります。主に日本とアメリカのクロスボーダーのビジネスをご支援させていただいております。今回、01 Expert Pitchは第17回ということで1年半経つのですが、このウェビナーの狙いとしては3つあります。

まず1点目は、日本とアメリカの情報格差の解消ということです。高橋さんもそうかもしれませんが、いろいろな日本の企業の方から「シリコンバレーの情報を教えてください」「グローバルの情報を教えてください」という声をたくさんいただきます。そういったところで、アメリカで注目されているニュースやテクノロジーの話などを迅速に日本にお届けしたいということで、日本とアメリカの情報格差を埋めたいというのが1つ目の狙いです。

2つ目は、正しい情報をお届けしたいということです。日本とアメリカで同じニュースですけれども、アメリカで感じている温度感と日本に伝わっている温度感が違うなと感じることがあります。ですので、今回ご登壇いただく高橋さんのように、エキスパートの方にそういったところをきちんと解説していただいて、正しい情報をお届けしたいというのが2つ目の狙いです。

3つ目は、やはり日本語ということです。英語の情報はたくさんありますので、今は情報を得られる良い時代にはなっていますがなかなか大変ですので、今回のように日本語できちんと解説をして理解を深めていただきたいと、この3つの狙いで進めております。

今日のテーマは、テクノロジーはもちろんですけれども、シリコンバレー最先端の超大手企業で働く高橋さんに来ていただいて、どういったかたちで自分のブランディングをしていったらいいか、キャリアパスをつくったらいいかというお話をしていただきますので、非常に楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

高橋:よろしくお願いします。

小川:よろしくお願いします。そして、本日のウェビナーでは皆様からのご質問を随時受け付けて進行を進めてまいります。ご参加の皆様、高橋さんにご質問のある方はぜひ、Zoom画面の下にございますQ&Aボタンからご質問をお寄せください。随時、私のほうで拾ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さあ、それでは高橋さん、まずは簡単に自己紹介からお願いできますでしょうか。

高橋 建人氏プロフィール

高橋:はい。皆さん、日本時間でこんにちはですかね。アメリカにいらっしゃる方だとこんばんはだと思いますけれども、高橋建人と申します。今はシリコンバレー、正確に言うとサンフランシスコに住んでいまして。後ほどもう少し詳細をお話しますが、2012年にテック企業の日本の会社に入りまして、2019年からこちらサンフランシスコに住んで丸4年ほどになっております。今日はどうぞよろしくお願いします。

小川:よろしくお願いいたします。それでは早速お話をお伺いしてまいりたいと思います。実は高橋さんのプロフィールを拝見したところ、「Zoom」婚×「0日」婚×「遠距離」婚をした奥様と、なんとまだ0歳の息子さんがいらっしゃるということです。すみません。ちょっとこれは個人的に気になってしまって。(笑)お聞きしてもよろしいでしょうか。

高橋:もちろんです。(笑)ちょっとスクリーンをシェアしましょうかね。

小川:ぜひぜひお願いいたします。

高橋:ちょうど息子の写真もあります。

小川:ありがとうございます。

高橋:画面いっていますか。

小川:はい。ああー、かわいい!

高橋:簡単に自己紹介兼ねてですけれども、2007年に大学を卒業して、そのあとコンサル、あとは日本でベンチャーを経て、2012年にシリコンバレーの外資法人の日本の会社に入っています。そのあと2019年に移ったというのはお話しましたが、コロナの中でなかなかいろいろな人にも会えない中で、たまたま昔の知り合いとメッセンジャーでやり取るする機会が2021年の頭にありました。それで2~3回Zoomをしたら、向こうから「あなたは私と結婚したほうがいい」と、「なぜ私と結婚するとあなたの幸せが最大化されるか」というPitchを、Expert Pitchではないですけれども、いただきまして。(笑)

小川:プレゼンされて?!(笑)

高橋:それもそうだなと思って3回目のZoomで結婚を決めました。当然付き合う期間もなくて向こうは日本で私はアメリカでしたので、0日婚で距離的にも太平洋を超えて結婚といった感じです。

小川:すごーい! ちょっと映画化されそうな気もいたしますけれども。

高橋:(笑)そうなのですよ。

小川:きっとね、もっともっと詳しくお聞きになりたい方もいらっしゃるかもしれませんけれども。(笑)

高橋:はい。全然質問いただいても大丈夫です。(笑)

小川:すごいですよね。(笑)

高橋:そうですね。なかなかね、今日はシリコンバレーのどちらかと言うとキャリアやプロフェッショナルの部分の話ももちろん多いと思いますが、当然こちらにいらっしゃる方は日本人の方だけでなくて、プライベートをどのように生活をしていくかという部分もあると思います。特にね、なかなか1人で来てしまうと、こちらでお相手を探すというのも男女ともに大変だと思いますので、意外とオンライン婚ですかね、広く言ってしまうと、そういうのもありだと思います。

傍島:ここはまた次のテーマで採用させていただければと思います。(笑)

小川:そうですね! すみません。今日はちょっとまた違いますのでね。さあ、それではよろしくお願いいたします。

高橋:よろしくお願いいたします。もう1度、自己紹介のスライドに戻させていただいて。今日は私のキャリアのお話をしますが、もちろんアメリカで働きたいという方も今日お聞きの方の中にはいらっしゃると思いますし、また、エンジニアやテクノロジーの話はこのExpert Pitchの今までの回でもたくさん行われていると思いますし、皆さんがお話を聞く中でエンジニア系の人がシリコンバレーで働くことは大変多いと思いますが、当然ビジネスをしている人や単に商品企画をしている人や、私のようにセールス側の人もたくさんいて、シリコンバレーで最終的にテクノロジーがマネタイズされて事業になっていく部分はあると思います。

実際にビジネスサイド、どちらかと言うと皆さんが日本で想像つきやすいようなビジネスサイドの方たちがどのような働き方をしていて、どのような価値観を持っていろいろな国からシリコンバレーに来ていて、事業がプロダクト以外の部分で支えられているのかについて、少しでもお伝えできればと思っています。それが最終的に皆様がシリコンバレーにいらっしゃる、もしくはシリコンバレーの会社で事業をされるときに少し役に立つのかなと思いますので、その辺りをぜひ質問含めていただければと思います。

小川:はい。お願いいたします。

海外経験がない経歴でのチャレンジ

高橋:こんなふうに言うと、私はすごく海外経験豊富で「英語もペラペラなのですか」「帰国子女なのですか」と思われるかもしれません。特に非エンジニアということは当然仕事も全て英語ですので。私のこの経歴を見ていただければ分かる通り、千葉県出身ですし、大学を出るまでずっと千葉の船橋にある実家から通っていましたし、そのあとはずっと中目黒に住んでいました。シリコンバレーに来るまでは船橋と中目黒しか住んでいませんし、まったく海外経験も留学もないですし、なんちゃって6週間語学研修ぐらいですかね。

小川:(笑)すごいですね。それなのに行けるという。

高橋:そうですね。気合いと根性でなんとかするというので。

傍島:(笑)

高橋:英語はもちろん最終的には話さなければなりませんし、こちらで仕事をすれば当然そうなりますけれども、決してそれだけがハードルではないので、ぜひ、あまり構えずにいろいろチャレンジしていただけるといいのかなと思います。

そういう話の流れの中で、今日は3点です。特に最初の1と2が重たくて、最後の3はまとめのようなものです。ステップとして、そもそもどのようにしてシリコンバレーの職を勝ち取るかといったところの最初の流れ、日本にいるときにできることを話した上で、来てからもサバイブしていかないとすぐクビになってしまいますので、どのようにしてサバイブしていくかという話をします。そして、最終的にアメリカと日本がどのように違っているかについてお話できればと思っています。

小川:はい、よろしくお願いします。

テックセールス1人に対して6.6人のエンジニア

高橋:よろしくお願いします。最初のステップです。シリコンバレーは長いのでSVと省略しますが、ビジネス職、広く言うと非エンジニアの仕事をどのようにして勝ち取っていくかです。まず大前提として当たり前ですが、このエリアは本当に圧倒的にテックだらけですので、街を歩いたら基本的にはエンジニアに当たる可能性が高いと思っていただいていいと思います。

小川:すごい。6.6倍!

高橋:そうですね。これはアメリカのいわゆる労働局の数字を取ってきましたが、サンフランシスコおよびシリコンバレーの一帯のエリアで、概ねですけれども、テック系に関わっているセールスです、町のリテールやレストランではなくて、少しテクノロジーに関わっているセールスの方がおよそ2万人で、エンジニアの方はおよそ14万人ということで6~7倍です。ですので、圧倒的に仕事のポジションの数でいっても当然セールスのほうが少ないです。ただ、逆に言うと2万人もいるということでもあります。当然いろいろなプロダクト、GAFAのプロダクトもありますけれども、最終的には誰かが売らなければいけませんし、広告製品も誰かが売っていきますので、その辺り、実はエンジニア以外の人も結構いるということです。

ただ、お会いする中で、日本人に限ると、エンジニアの方の数のほうがやはり圧倒的な気はします。それは言語の話もありますし、いろいろな理由はあるとは思いますが、私の会社で日本からこちらに来たエンジニアの方はたぶん100人弱ぐらいがシリコンバレーに住んでいるかなという感覚値がありますが、私のようなビジネスサイドは10人もいない、片手で数えられるぐらいですので、全体的に見ると6倍ぐらいですが、感覚知で言うと10倍ぐらい開きがあるような気はしています。ただ、逆に言うと、ポイントとしてはもちろんエンジニア以外の仕事もありますので、その辺りも見ていただければなと思います。

実際に私が今どんな仕事をしているかというお話をした上で、どのようにしてアメリカに向けていろいろなステップを歩んできたかという順番でお話したいと思います。まず、私はもともと戦略コンサルタントでアクセンチュアという会社で働いていましたが、こちらで非ネイティブが正直言って純粋なセールスや純粋なコンサル、いわゆる戦略コンサルタントやトップセールスをするのは結構大変かなと思います。単純に言うと、日本語は分かるけれどもペラペラでない方が日本にいらっしゃったときにトップセールスできるか。戦略コンサルタントの少しのニュアンスやちょっとしたコミュニケーションの違いで齟齬が出てしまう仕事は、正直かなり厳しいと思っています。できないとは言いませんが、本当に私も日本人の方でそういうことをしている人を1人2人ぐらいしか知りません。

傍島:日本語でも難しいですよね。

高橋:難しいですね。本当に。(笑)

傍島:言語の問題もありますけれども。

高橋:逆に言うと、逆の立場になってみると、純粋にピュアに言葉だけ、言語能力コミュニケーション能力だけで勝負するお仕事ではなくて、それ以外の要素も交えた上でのビジネス職、当然それは企画だったり、何か日本との懸け橋、まさにTomorrow Accessがされている仕事だったり、というように少しずつ自分のレバレッジが効いていくところを探すというのが大事かなと思っています。

私の場合は、実際に売っているのがデジタルマーケティング関連の仕事ですので、それのプロダクトを売るという部分とお客様のデータの戦略の部分、最近はWebサイトやアプリでいろいろなデータが取れますが、どのようにしてお客さんとコミュニケーションするのかという戦略部分のお手伝いをしたり、あとは私自身の分析能力を使ってお客さんに対して統計的な処理で分析をしたり、機械学習の使い方について少し指南するといったところをうまく合わせて行っています。ですから、仕事は何をしているかというのを一言で言うのはすごく難しいですけれども、ポイントとしては純粋なセールス以外も含めてうまく自分のビジネス職をつくっていくような仕事になっています。

実は一緒に働いているチームメンバーは、ほとんどがセールスです。これはたぶん4カ月ぐらい前かな。うちの本社でお客さん含めてサミットのようなエグゼクティブとミーティングをした回ですけれども、見ていただければ分かる通り、みんな外国人というか、アメリカ人です。

傍島:アメリカ人。(笑)

小川:そうですよね。矢印をきちんとつけていただいて。

高橋:そうですね。私の隣にいる人はすごく背が高い、2メートルぐらいあるジェフという人ですが、このチームメンバーとお客さんと日々セッションしながら、先ほどのプロダクトのセールスをすることもあれば、データサイエンティストとして相談に乗ることもあれば、分析手法を提案することもあるという感じで仕事をしています。そのため、120%英語で仕事をしていて、いわゆるtoB、法人向けのお仕事ですので、ほとんどの仕事の最終的なアウトプットはミーティングしてお客さんを説得して、何かわれわれが取り組みたいことをしていただく。そして、していただくことによってお客さんのビジネスが伸びるといったことが僕が見ている成果というか、KPIではあります。

これは日本と一緒だと思いますが、セールスにいても当然ある程度職歴が上がってきたり、私はこの会社にトータルすると10年いますので、結構社内の中でセールスの戦略をどうするか検討したり、私と同じ同僚のアナリストに対してのトレーニングや、HR的な部分を含めて仕事をしていくというので、総合職や経営企画、営業企画といったお仕事にすごく近いのかなと思います。

ジョブディスクリプションに対する考え方

傍島:高橋さん、とはいえ、アメリカの場合はジョブディスクリプションと、やるべきことが書いてあって応募しますよね。先ほど3つあったと思いますが、どこの枠でもともと採用の募集があって応募されたのですか。

高橋:一番強いジョブディスクリプションはおそらくデータアナリストですので、3つで言うと最後のデータサイエンティストの部分です。でも、必ずしもそうではなくて。ジョブディスクリプションはお客さんのデジタルマーケティングを支援してビジネスを伸ばすことで、それがプロダクトセリング、セールスの人のジョブディスクリプションであって、私たちアナリストはそれに対してデータの支援などアナリストとしての支援をするというので成果自体は実はセールスと基本的に一緒で、少し求められているExpertが違う部分があるという感じです。

だから、実はすごくいい質問です。ジョブディスクリプションの話もまたステップ2でしようと思いますが、結構こういう混ざったジョブディスクリプション、意外と非エンジニアの仕事は多いと思います。エンジニアの方に関してはやはりJavaができるとか、C言語ができるとか、当然分かりやすいクライテリアがあると思いますが、JavaできてもJavaで何をするかとか、それがどこまでフロントエンドのさらにUX寄りでとか、どちらかと言うとアルゴリズム寄りでとか、いろいろ話があるとは思います。実はジョブディスクリプションは第1フィルターのようなもので、大学の学部、理系文系ぐらいの感じかなと思っていて、意外とその中で細かい学部の中のコースの違いのような感じで、ジョブディスクリプションは同じでもその人のエキスパートによってあるのかなと思います。

傍島:意外と言っては失礼かもしれませんが、ご自身で開拓されたのですね。ほかの人との差別化を出すためにも、データサイエンティストの枠で入ってもそういったコンサルティング的な要素だったり、セールス的な要素だったり、いろいろなところに広げていかなければいけないということですよね。

高橋:まさにおっしゃる通りです。これは裏話というか、うちの会社のHRから聞いて面白かったなと思うのが、うちの会社や外資が給料をどのように決めているかと、エンジニアも含めてですけれども。会社がいろいろなほかの会社をベンチマークしているのです。基本的にはシリコンバレーの考え方は、ジョブマーケットはコンペティティブですので、いくら払えば結局この人を採れるのかと、このジョブディスクリプションでこのレベルでいくら払えばマーケットに対してコンペティティブで魅力的なオファーになるのかと。たぶん裏にはいろいろなデータ会社があって、データを買っているようです。

当然、セールスも、ある地域におけるあるレベルの給料とコンサルタントの給料とでは違うわけです。実は私のジョブディスクリプションはデータサイエンティストやコンサルティング、Webアナリストといったものを混ぜてベンチマーキングをつくっているようです。これはどちらかと言うとHR側の目線の話ですが、ジョブディスクリプションとアナリストのポジションが1つでも、実は裏で会社として見ているベンチマークはもう少しコンサル寄りだったり、ブレンドしているということは聞いていて、すごく面白いなと思いました。

傍島:なるほど。確かに面白いですね。

高橋:おそらくエンジニアでも、いくつかもう少し細かいクライテリアで見てオファーを決めているのではないかなとは想像します。

傍島:確かに。小川さんもフリーアナウンサーですので、いろいろスキルを試されるのは気持ちがよく分かるのではないですか?

小川:そうですね。いろいろ専門的なことも勉強しつつというのはありますね。

傍島:そうですよね。

ビジネス職を勝ち取るための3つのキーポイント 〜選択肢の把握〜

高橋:というのが現状の仕事です。それを踏まえた上で、私が日本にいて、海外へ行ったこともなくてというので、どのようなステップで考えてこのポジションにたどり着いたかというところで3つお話をできればと思っています。1つが選択肢を持つ、どのようなオプションがあるかというのをきちんと把握することです。2つ目がネットワークをどのようにしてつくっていくか。最後はどのようにして自分をブランディングしていくかというお話をしていこうと思います。

まず、本当にいろいろな、ちょうど昨日も私の後輩の学生が来ていて、シリコンバレーでどうやって起業すればいいかという質問をすごくいただきます。ぜひいろいろな方に来ていただきたいのですが、1つ目は、あなた自身が人生をどのようなスパンで考えて、アメリカやほかの海外へいらっしゃりたいかでかなりオプションが違うということです。これは当たり前ですが、われわれは外国人としてこの国に来ますので、当然ながら普通には滞在できませんよね。皆さんがアメリカにいらっしゃるときには普通はESTAという90日以内の短期の滞在の資格でいらっしゃって、いわゆる90日以上いられませんので、どのような建前でくるか、どのような考え方で来るかでかなり取るべきオプションが変わるというのはあります。日本にいるときはなかなか会社や自分の仕事のことしか考えませんけれども、法的な部分も含めて人生のスパンを考える必要があるかなと思っています。

すごくざっくり言うと、短期・中期・長期で分けられると思っていまして。3年以内ですと、日本から企業のいわゆる駐在や派遣でいらっしゃったり、1年間のトレーニングでいらっしゃったり、当然アメリカのMBAに行かれて卒業されるということで滞在はできます。

そこからもう数年、10年未満ぐらいですかね、これは法的な話ですので、すごくざっくりな切り口で切っているということはご了承いただきたいのですが、企業の駐在で5年10年いらっしゃる方もいらっしゃいます。私の場合は日本法人からのいわゆる転籍ですね、日本語で言うと、転籍のかたちで来ています。アメリカの大学を出ると基本的にはこちらで働けるビザが1年~3年もらえますので、それを使って働いて、そのあと日本や故郷の国に帰られる方もすごく多いですし、起業される方ですと、ある程度のお金を突っ込むと起業家ビザ、投資家ビザが取れますので、それで最初の5年ぐらいを賄う方も多いかなと思います。

ただ、10年を超えて本当に今いる、私もそうやっていようと思って来ているのですが、そうすると、いわゆる永住権を取らなければいけない可能性が非常に高いと思います。

小川:グリーンカードですね。

高橋:もしくは、アメリカの方と結婚して、アメリカ市民に近付くという裏技はありますけれども。

傍島:ありますね。(笑)

小川:裏技が。(笑)

高橋:仕事ベースだけで考えていくとこのようなかたちになると思います。ですから、アメリカに行きたい、もしくは海外で働きたいというときに、そもそもその国がどれくらい外国人の労働者に対してウエルカムで、どのようなオファーがあるのかというのは最初に把握しておかないと、やはりパートナーの方やご家族のこと、そのあとの人生のことは当然あると思いますので、少し日本で転職するときよりも細かめに調べる必要があると思います。

傍島:大事ですよね。知らないですものね。日本にいる人はビザがないですから。

高橋:そうなのです。意外とそうです。日本にいたら当然ビザなんて意識しませんので、われわれは日本人ですので。

傍島:そうですよね。大事ですよね。

高橋:こちらに来ると、本当にふた言目には皆さんビザの話をします。

傍島:まずは。(笑)

小川:そうなのですね。

高橋:日本人同士だと、「何でいらっしゃっているのですか」と。

傍島:そうですよね。(笑)

小川:なるほど。そこからの。

傍島:作戦が必要ですね。

高橋:そうですね。私は2012年に外資の日本法人に入ったときは、私はずっとスタートアップを担当していて、少し大きな組織を見てみたいなというのと、シリコンバレーの会社の人事の仕組みなど含めて面白そうだなと思って入ったので、実は2012年の時点ではまったくアメリカに行こうと考えて入ってわけではありませんでした。ただ、幸いにも出張で毎年のようにシリコンバレーに行かせてもらって、本当にいろいろな方に話を聞いているうちに、今のスパンの話やビザの話、こういういい所や悪い所があるよという話を聞いた上で、やはりアメリカに行きたいなと思いだしたのが2015年2016年ぐらいからですね。今から6年前ぐらいにそういうことを思って、今お話したように選択肢を調べていきました。

私の場合は長期的に行きたかったので、企業内で転籍をするというのが実は一番いいオプションだと考えていました。最初はMBAへ行こうかなと思ってそれこそ本当にTOEFLの勉強をしたり、いろいろとスタンフォード大学やハーバード大学などいろいろとアプリケーションを調べていたりはしましたが、本当にMBAへ行かれる方は、前々回ですかね、Expert Pitchの方はMBAの方だったと思います。

傍島:はい。まさに。

高橋:お金も3,000万円掛かるという話をされていと思いますし。

小川:すごいですよね。(笑)

傍島:生々しい話。(笑)

高橋:当然アプライするだけでも大変ですし、ご家族もいたらもっと生活費も掛かりますし。その方はたぶん素晴らしいと思ったのが、内定もいただいてというお話をされていましたが、日本人の方がMBAで行ってこちらで就職を勝ち取るというのは結構大変です。先ほどお話したように言語の話もありますし、ビザの話も必ずしも保証されていませんので、結構MBAへ行ってもそのあとのリスクが高いというか、きついかなと思って私はそこは1回落としました。

もともとコンサルでしたので、コンサルティングファームってグローバルにあって、まず日本の法人から1~2年派遣でアメリカの支社に行って、そこで研修に近いかたちですかね、アメリカで働けるプログラムというのはよくあります。これもアメリカで仕事をするという意味ではそれなりの確率がある、日本で活躍して、日本の中でポジションを取っていって、おそらく面接をくぐりぬけていけば、MBAのような感じでアメリカに行けて、しかも働けると。ただ1~2年働いたあとアメリカでオファーが取れるかと言うと、最初にお話したように、コンサルティングでそれを戦っていくというのは結構つらいなと。

日本からの人はゲストであることを認識する

やはり冷静に考えると、今いる会社できちんとポジションをつくって、アメリカのポジションに応募して、これは別に日本の会社と違って異動という概念はありませんので、手を挙げたから行けるわけではありません。手を挙げたら普通に皆さんが日本から別にアメリカのポジションに応募するのと同じように、アメリカの方がアメリカのポジションに応募するようなかたちで普通に転職活動をして、社内でも面接をして、良かったらオファーが出るというだけですので。最初の入口はすごくコンペティティブですけれども、1回入ってしまえばある程度ビザも含めて担保されているということで私はそのオプションを選んだというところです。

なぜこんなに細かいことを考えなくてはいけないかと。これはアメリカに来てからあらためて思ったのですが、われわれ外国人はゲストですので。

傍島:分かる! 分かります!

小川:本当ですか。

傍島:すごく分かります!(笑)外人ですね。いわゆる”ガイジン”です。

高橋:われわれって、日本にいたときに外人という表現を使っていらっしゃるのと一緒で、日本だとね、アメリカ人も含めて外国人の方はそんなに数は多くないですが、アメリカは外国人だらけですので、外国人も含めてこのアメリカ合衆国という国にどのように益を、ベネフィットをもたらしてくれるのですかという考え方で基本的には政策をしているのではないかなと、非アメリカ人として来ているほうとしては思います。基本的に国家戦略なのですよね。だから、大統領が変わるといろいろ面倒くさいとか、州が変わっても違うとか、いろいろあるのですが…。

基本的にはこれはビジネスと一緒だなと思っています。私は日本人として、アメリカという国とビジネスをしていると。ですから、アメリカの会社が外国人を雇用するためには、どれだけアメリカにメリットがあるのですかということを実はしなければいけません。これは実はビザの話にもつながります。細かい話は割愛しますが、きちんとアメリカ人ではこの仕事はできないということを、私の会社はわざわざ証明してくれて、OKだねと言ってビザが発行されるという、本質的にはそのようなプロセスです。

アメリカの大学を出て一応働けるビザをもらえるのは、アメリカの専門的な知識を身に付けたと、アメリカの大学は基本的に専門の職業訓練学校のようなところですので、例えば物理学を持っていて、コンピューターサイエンスの博士号を持っていれば、それはアメリカに益があるよねと、アメリカの教育を受けているよねというのでその仕事の口があるという感覚です。私たちがアメリカにもたらすメリットは何ですかというのを常にきちんと証明していかなければいけないというのはあります。精神的にはつらいところではあるのですが、冷静に逆の立場で考えたら、それはそうだねと思います。最終的な、長期的なグリーンカードの話も、当然アメリカは移民国家ですが、どんどん見境なく出すわけではなくて、基本的にはアメリカにより長期的に益をもたらしてくれる人材を選んでグリーンカードを出しているというところです。

日本人はグリーンカード取得に恵まれている

実はグリーンカードの話、ご存じない方が多いので1つしておこうかなと思います。最終的にもしアメリカに長期で滞在されたい場合は、当然市民になるか、最終的には永住権を持つか、どちらかがほとんど場合で必要になってきます。実は私は日本人の国籍を持っていてラッキーだったと思うことが1つあります。グリーンカードと言うとアメリカにずっと住めるけれども、結構ハードルが高いとか、大変そうとか、ふわっと皆さんも聞かれていらっしゃると思いますし、その通りなのですが、実はアメリカの国の戦略として、多国籍移民戦略というか、そのような多様化ビザというかたちで永住権を出していますので、雇用ベースに関しては1年間の上限枚数が決まっていまして、1つの国に偏らないようにしています。そうしないと当然人口の多い所、中国やインドの方がたくさん永住権を持ってしまうので、いろいろな国にバランスするように制約をかけています。そうすると、中国とインドの方はすごく行列しているラーメン屋に並んでいるようなもので、入店まで2時間待ちというような感じです。

傍島:(笑)

小川:大変ですね。(笑)

高橋:はい。種類によってかなり年数が変わってくるのですが、実際、確か中国やインドの方のアプリケーション、審査の申し込みの処理は2012年に受け付けたものが今処理されています。

小川:えーっ! 10年…。

高橋:2012年にアメリカにいらっしゃってグリーンカードを申し込んだ人がようやく入店して、ここから処理が始まりますので、またここから2~3年かかってグリーンカードが取れるというレベルです。日本人は良いか悪いか、グリーンカードに申し込まれる方がすごく少ないので、待ち時間がなくてすぐに処理のほうに回って行くので、実はその辺りも考えて永住権や中期・短期・長期というのを考えていく必要がやはりあるよねという1つの事例としてお話をしました。

傍島:実は私も自力でグリーンカードを取ったのですけれども、私のときは日本人の待ち行列は0でした。

小川:えっ、すごい!

傍島:そして、実際14カ月、1年ちょっとで取れました。私の仲のいいFacebook、メタに勤めている友人は中国人ですが、日本語もペラペラですごく優秀な方ですが、10年待ちの、今、入店できずという状況で結構大変そうですね。リアルにそんな違いがあるんだというのはあります。

小川:やはり国によっても違うということですが…。さあ、ここまでで皆様ぜひ高橋さんにご質問のある方がいましたら、Q&Aの欄からご質問をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

ここまで3つのキーポイントの1つ目のご紹介いただきました。続いて2つ目のキーポイントをお願いいたします。

ビジネス職を勝ち取るための3つのキーポイント 〜ネットワーキング〜

高橋:はい。ネットワーキングのところですね。ネットワーキングは日本でももちろん重要ですし、どんなビジネスでも重要だと思いますが、私がアメリカに来て思うのは、傍島さんもそうかもしれませんが、アメリカこそ、もしくは正確に言うとシリコンバレーこそ「ムラ」社会だなと思います。

傍島:まさに!(笑)

高橋:日本以上かなと思います。GAFAでしたらシリコンバレーのテック系の会社の中の人材がメタとGoogleといった感じですごく人が行き来しますし、あとは同じ大学内でネットワークを持っていらっしゃる、もしくは例えば中国人の方は中国人同士でリファラルし合います。私も実は日本法人に入ったときも、一応知り合いを探して会社にリファラルというかたちで入れていただきましたし、当然社内からアメリカに動いているのでいろいろなネットワークを使ってきました。

私も面接官をしていて思いますが、やはり採用の3~4割は最終的にはリファラル経由の方を採ると思います。応募者の数で見ると圧倒的に、10倍以上普通に外から来る方が多いのですが、最終的にはほぼfifty-fiftyに近いかたちで何かしらの紹介のかたちで採用が決まっていくと思います。実際にリファラル経由のほうがやはり4倍ぐらい採用確率が高いと聞いています。ですから、どうやって「ムラ」社会に入っていくかというのがすごく大切です。これは別にエンジニアの方でもまさに同じだと思うのですが、特に、より非言語ではなくて言語コミュニケーションを使った仕事をしなければいけない以上は、ネットワーキングというのはとても大事になってくると思います。

傍島:前々回のMBAのときにも、やはりこの話になって、コネ社会、村社会、不平等、不公平というワードをたくさんいただいて、まさにそうだよなと思いました。でも、それをどうやって勝ち取っていくのかという話ですよね。そのまま指をくわえて甘んじているわけにはいきませんので、ここをどうやって勝ち残っていくかということですよね。

高橋:やはり2つ理由があるのかなと思っています。1つはすごくシリコンバレーはマーケットとして人材も含めてビジネスもコンペティティブですので、働きたいという人もたくさんいますので、普通にフィルターしていても間に合わないというのはあると思います。もう1つは、いろいろな国やバックグラウンドを持った方が多いので、日本で言うと、例えば大学に入るときはある意味偏差値や点数で切ってしまっても、文化が一緒ですのである程度フィルタリングとして機能すると思いますが、たぶんアメリカでそういう切り方をしてもほとんど意味がありません。定量的に切れるものがあまりないから、どうしても人と人とのネットワークや、この人が言っているから信頼できるといった信頼の貯蓄のようなところで戦っていく、人を採っていく、ビジネスが回っていくところは、逆に言うと、より顕著なのかなと思います。

私自身、日本にいて別に留学もしたことなく、ネットワークはありませんので、何をしたかと言うと、もうシンプルに単純にどんどんアポを取っていきました。それこそ普通に出張、例えばニューヨークへ行ったときに、2016年か2017年にたまたまニューヨークに出張に行く機会があって、うちのオフィスの人でニューヨークにいて、僕の仕事に関係ありそうな人を全部社内の人名録を見てリストアップして1個1個Excelにしました。営業管理シートですよね。この人にはメールしたとか、この人は知り合いがいるから知り合いにメールしてもらおうとか、そういう管理を全部しました。当然レスが来ない人はもちろんいますし、社内であってもあなた誰?という話ですので、そこから少しずつ少しずつ人に会う回数を増やしていきました。やはり1回会うと、日本でもそうだと思いますけれども、一応この人知っているというのと、オンラインでしか知らないというのはすごく差があります。1回でも会って面接に行くと、やはりそのときの話で取りあえず場が持ちますし、ベースとしての信頼度があるというのはすごく大事なのかなと思います。

傍島:MBAのときの坪田さんと同じですね。彼もインターンをするときにExcelでリストをつくって何十件もアプライして、そのときに半分以下しか面接してくれなかったということをおっしゃっていて、同じようなリストをつくっていらっしゃいましたね。

高橋:そうですね。実際この2017年のニューヨーク出張で初めてフィジカルにお会いした方が最終的に2019年に僕を採ってくれたマネージャーになりました。

傍島:大事ですね。

高橋:ある意味営業されるような方だと当たり前のことだと思いますが、それを普通に当たり前に海外へ行くときも行うということかなと思います。

視聴者からの質問

小川:すみません。ご質問が届いているようですので、恐れ入りますがお答えいただきたいと思います。ありがとうございます。

高橋:もちろんです。ありがとうございます。

小川:ご質問いただいた皆様ありがとうございます。「今回は、貴重な講演会を開催いただきありがとうございます。自分は工学部卒で、現在、非テック系外資メーカーで勤めていて、将来的にはシリコンバレーを目指しております。そこで、高橋さんはSVに行ける決定的な要因は何だと思いますか」というご質問です。

高橋:ご質問ありがとうございます。私自身も工学部ですので、すごく気持ちは分かります。非テック系でいらっしゃると工場系とか生産系とかいろいろあると思います。私がこちらでお会いする中だと、ロボット系のエンジニアやビジネス職の方はいらっしゃるかなと思いますね。やはり日本はロボット強いですし、シリコンバレーもロボット系、少しテックが半分入っていますが、いらっしゃいます。生産系の方も何人かお会いすることがありますので、ビジネスチャンスとしてはたくさんあると思います。

どうしたら勝ち取れるかというのは、今お話したようなお話を一緒で本当に、たぶん選択肢を把握して、今いらっしゃる会社でどういったオプションがあって、海外に行くチャンスがあるのか、もしくは転職したほうがいいのかというところもあると思いますし、それでネットワークをつくって自分を売り込むというところですので、私が今日お話するような話をプロセスとしては一緒になってくると思いますし、職業柄というか、インダストリーとしてもすごくチャンスがあるお仕事かなと思います。

傍島:スキルというか、やり方ももちろん大事ですが、ベタですが、思いが強い人がこういったいろいろなやり方をあみだしていくというか、いろいろな人の過去の経験や、先ほどの人脈やリファラルといったところをこじ開けていくような印象がありますよね。最後は「思い」だなという気持ちもありますね。

高橋:本当にすごい大事だと思います。「思い」ですし、思いから来る、この人を信頼できるかだと思います。特にアメリカにいる(アメリカ人とは限りませんが)、私たちを採ってくれるハイヤリングのチームの人が、結局採る人は、能力もそうですけれども、信頼できる人かどうか、一緒にチームとして働けるかどうかが当然大事なわけです。そこに対してやはり思いがあって、地道に行動できて、きちんと連絡するなど社会人としてある意味当たり前なスキルやコミュニケーションを積み重ねていって信頼をつくっていくという、言ってしまえばすごくありふれたことをしていく、日本の人はこういうのは得意だと私は思います。基本的に性格はまめですし、手先は器用ですし。アメリカにはこういうのをサボる人もたくさんいますので。アメリカ人はもっとざっくりやります。その辺りはすごく日本人の細やかな感性が生きやすいところではないかなと思います。

小川:ありがとうございます。続いてのご質問です。「LinkedIn以外にリファラルに使えるサイトはあるのでしょうか」というご質問です。

高橋:もちろんLinkedInはこちらではFacebook以上というか、本当にみんなが仕事上は必ず使うツールでネットワークですけれども、LinkedInは、私ももちろん使っていますし、うちの人事やリクルーターもものすごく使って、そこからフィルタリングしてメッセージを直接送っていますし、私もメッセージをもらうことがあります。でも、実はそんなに筋は良くないかなと思っています。すごい数、何千万人といますので、こういう要素を持った人、例えばエンジニアでこういう経歴がありますとか、私の場合はこういうデータアナリストをしていますとか、経歴だけで初期フィルターする分にはいいと思いますが、そこからは本当にメールの絨毯爆撃のようなものですので、あまり筋は良くないと思います。

私自身がどうやって使うかと言うと、こういうコールドメールのリストをつくるのと一緒で、例えば会社、元同じ会社にいますとか、何かしら大学で接点がありますとか、学会でかぶったことがありますとか、そういう情報を見つけて、私のほうからメッセージしてコミュニケーションしていくという、初期ツールのリストづくりとしてはすごくいいとは思います。でも、LinkedIn経由で直接応募したからといって質や確率が上がるかと言うと、そんなでもないのかなと思いますので、LinkedInはリストづくりぐらいに使われるといいのかなと思います。私はLinkedInの外で、社内の人や、自分でいろいろな出張へ行くたびに人に会っていって、本当に地道に土佐周りでネットワークをつくっていくのがいいのかなと思います。

もう1つ、アメリカ特有の話で言うと、大学の周りにコミュニティがすごく強くできています。こちらで言うとスタンフォード大学やUCバークレーの周りには強いので、それで言うと大学に行けばMBAなどでコミュニティに入れますし、逆に行かれなくても何かしらのイベントなどを捕まえて入っていくとか、短期の2週間ぐらいのコースに行くとか、何かしら大学をフックにするというのは結構アメリカでは有効なのかなと思います。

ビジネス職を勝ち取るための3つのキーポイント 〜セルフ・ブランディング〜

小川:分かりました。ありがとうございます。それでは続いて、3つ目のキーポイント、セルフブランディングについて、お願いいたします。

高橋:今いただいた質問、2点ともこのセルフブランディングにも最終的には関わってくると思います。

小川:そうですね。

高橋:どうやってネットワークのリストというか、コミュニケーションの糸口をつくるかという話が1つです。結局、いろいろな人から連絡が来ますので、私の場合は高橋建人というのを印象に残して向こうに覚えていただかなければいけませんので、基本的に採用目線で言うと2点に尽きるかなと思っています。最終的には自分への信頼の話につながるのですが、なぜ自分を採るべきかという話と、逆に言うと外国人としては採らない理由をつぶすという部分も大事かなと思っています。

私は最初の1年ぐらい、この2015年2016年ぐらいにアメリカへ行こうと決めて、いろいろな社内のポジションに社内のツールから応募していました。10件ぐらい応募して、1件も面接までいきませんでした。(笑)

傍島:大変だ…。(笑)

高橋:そのときは、たぶん私はなぜ自分を採るべきかはありましたが、能力や過去のトラックレコードなど。向こうからすると採らない理由というのがやはりたくさんあったのだろうと思います。急に、同じ法人でも別のオフィスで、この人は海外に住んだこともないし、英語もきちんと仕事でどれぐらい使えるかも分からないという状態で、会ったこともないですし。今にして思うと、それは採らないよなと思いますので、やはりこの採らない理由をつぶすという発想もすごく大事かなと思っています。

小川:なるほど。

傍島:面白い。

小川:そうですね。勉強になりますね。

高橋:私の場合、いつも自分をなぜ採用すべきかという、基本的なことばかりですが、社内外で通用するような実績をつくるとか、私の場合は日本の法人のときに結構社外のカンファレンスで登壇させてもらったりする機会がありましたので、そういうところをつくっていきました。また、当然社内同士ですので、いろいろな事例の共有がグローバルで行われますので、良い事例を日本できちんとつくって、それをアメリカや海外に発信していって、自分のプレゼンスを上げていくというところです。これはどちらかと言うと基本的なことだとは思います。

採らない理由をつぶすというところが正直しんどいなと思っています。基本的にはいろいろな話を聞いて、結局は海外経験がないから採れないというか、採るのが不安でという、ニワトリ卵問題にどうしても行き着いてしまいます。海外実績はないけれども海外に行きたいから応募しているのに、「海外実績がない」と言われたら、もうそこでつんでしまうわけですよね。

小川:そうですよね。

高橋:ですから、直接的なプロセスでは行けませんので、グローバルの会社にいらっしゃるときはグローバルのプロジェクトに少しずつでも参加していくとか、出張があるたびに1度でも会っておくとか、その時点でできることをしていくしかないのかなと思います。

もう1つは、どうしてもビザの話がありますので、おそらくまったく同じ能力で同じぐらいの信頼度がある場合は、アメリカ人でもアメリカ人でなくてもアメリカで働ける状態の方と海外のオフィスの方だと、どうしてもアメリカにいる方を採りたくはなるだろうなと思います。

小川:そうですね。

高橋:私の場合、かなり早くて応募の最終オファーから2カ月半ぐらいでアメリカへ渡りましたけれども、人によっては3カ月、半年かかる、もしかしたら大統領が変わったらビザが最初は下りないかもしれないというリスクを抱えてチームは採ってくれますので。その辺りがどれぐらい面倒くさいプロセスになるかというのは、採る側が必ずしも知っているわけではなくて、それを管理しているのは人事ですので、採る側のチームメンバーに対してきちんと「たぶん3カ月ぐらいで行ける」とか、「一応4カ月ぐらい見ている」とか、「その間はこういうプロセスでトランジションします」ということを伝えてあげるだけでもだいぶ向こうの不安感は減ると思います。冒頭の選択肢の話に戻りますけれども、リーガル的な部分も含めてやはり自分がきちんと把握しておくことが大事かなと思います。

小川:そうなのですね。

ニワトリ卵問題を力ずくで解決

高橋:実際、海外実績はないけれどもどうするかという話ですが、私の場合は最終的にどのようにしたかと言うと、私の同僚は全世界で600~700人いるのですが、2018年頃にそれこそグローバルで統計学のトレーニングをきちんとつくったほうがいいよねという話になりました。そのときに私は幸い日本で統計を、自分でその数年前に勉強していまして、日本でもちょうどトレーニングしていましたので、これをグローバルに展開しようという感じで手を挙げました。すごく無理やりいろいろな方に調整していただいて、日本からこのグローバルプロジェクトを采配して、3カ月ぐらいシカゴオフィスにも行かせてもらいました。これは正直死ぬほど大変でしたので、二度とやりたくない仕事ではあります。(苦笑)

傍島:そうでしょうね。

高橋:海外で働いたこともない、今に比べると英語も全然話せない、ネットワークもそんなにない、普段のセールスでお客さんとする仕事ともまた全然違う、社内との調整が入る仕事をして、最終的に丸2日間のトレーニングをつくることになりまして、8時間分のトレーニングの資料、スライドにすると300~400枚を0から英語で全部つくるという仕事をしました。

傍島:すごいですね。

小川:すごいです…。

高橋:正直二度とやりたくありませんが、やはりこういう突破口を最終的には1つぐらいフックにしていくというのはあると思います。何かすごく顕著な実績というか、仕事自体がすごいというよりは、何かきっかけとしてみんなに認識してもらえるような仕事が一言でもレジュメ上に入ると、やはりその時点でそこから先は面接まで必ず行くようになりました。ここがやはり1つ、最終的には踏ん張る必要があるのかなとは思いますね。

傍島:ニワトリ卵問題を力ずくで解決するという、すごい!

小川:素晴らしいですね。

高橋:ここまでが第1章です。このまま行ってしまって大丈夫ですか。

小川:はい。お願いいたします。

サバイブするための3ステップ 〜期待値の把握〜

高橋:このサバイブするための3ステップです。また3つに切っていまして、アメリカへ行ったあとどうやって生き残っていくかというところです。いろいろあると思いますが、私自身は期待値の把握、差別化、レベルアップ、この3点のサイクルをどんどん回していくことかなと思っています。それぞれ1枚ずつのスライドでこの第2章は少し軽めですので、聞いていただければと思います。

期待値の把握、冒頭におっしゃっていたジョブディスクリプションの話です。アメリカは、私のように少しいろいろな仕事をミックスしていたとしても、明確に基本的には「あなたはこの仕事でこのポジションでこのオフィスで、あとは地位というかレベル、職位というかたちで決まった状態で採用されます。基本的にはその仕事を、ある意味で言うとしていればいいですし、その仕事ができなければ給料が下がったり、職位が下がったり、最悪クビになるという話ではあります。いわゆる日本の総合職型採用は基本的にはこちらにはないと思っていただいていいのかなと思います。

私も日本にいるときは、日本の法人も6~7年いると、ジョブディスクリプションを超えていろいろな仕事を拾っていって、それで成果を出してリーダーシップを発揮していくといったこともしていましたが、一旦アメリカに来たらその頭をリセットして、何でもかんでも手を出すのではなくて、自分が要求されてサラリーを払われることは何かということにまずは1回フォーカスをするというのが必要かなと思います。

僕が来て、いわゆる初日は机をセットアップしたり、チームに「Say Hi!」して終わりでしたが、もう2日目から普通に地味な分析の仕事を開始していました。コードを書いてデータを拾ってというのも地道にいわゆるデータアナリストの一番中心の仕事から最初はスタートして、そこからまた徐々に徐々に自分を上げていったというのがステップ2、3の話ではあります。

ですから、本当にジョブディスクリプションにまずは忠実に。これは日本人の感覚だとサボっているのではないかと。そこでお客さんが困っているのだから、チームメンバーが困っているのだから、これもできるし手伝ってあげたいという、すごくたぶん日本人のすごくいいところだと思いますし、これはあとで言いますが、ものすごく強みです。そのため、ステップ2、3では使っていったほうがいいのですが、1回海外へ行ったときは、まずは求められている仕事をする、余計なことはしないというのが第一かなと思います。

ですから、ジョブディスクリプションもそうですし、やはり上司、チーム、ステークホルダーの方と徹底的に成果物の質を含めてやり方をすり合わせるということが大事かなと思います。一言で言うと、過剰な仕事をしないというか、オーバースペックに仕事をしないというのはすごく大事かなと思います。日本人がアンダースペックになることはたぶんありませんので、オーバースペックにやり過ぎないことです。それをやっても評価されませんので、単純に言うと。

小川:そうなのですね。

傍島:そこはありますよね。私はシリコンバレーの大手の企業の友達が結構いるのですが、「Focus」とみんな言いますよね。「今は余計なことをするな」ということをよく言われています。私たちが感じているよりも大事なのだろうなと、今聞いていて思いましたね。

小川:余計なことをしないという。

高橋:実は皆さん日本でもおそらく転職されたり、大学へ入ったり、それこそ引っ越しされたら最初の1週間2週間ってバタバタですよね。あまり余計なことを考えている暇はありません。でも、仕事に関しては採ってもらったからと、まだ新入社員だから頑張って成果を出さなければと張り切り過ぎてしまうというか、それでああだこうだ手を出してしまって疲れたり、本職で本当にやるべきことが実は少し疎かになってしまってアンダーバリューになったりということがあると思います。海外に来るのは引っ越しの何十倍も大変で、かつ仕事も変わったりするところだと思いますので、すごくすごくFocusしていくというのは大事だなと思います。

サバイブするための3ステップ 〜差別化〜

これがステップ1ですが、ステップ1だけやっていたらそこから先がないと言いますか。それが別に駄目なわけではありませんが、先ほども言いましたように、シリコンバレーはジョブディスクリプションが決まっていて、さらにその上にレベル感があって、日本語に直すとまさに職位なのですが、「あなたはデータアナリスト」と私の場合はとらえていますけれども、例えば弊社の場合のクライテリアで言うと、レベル4のアナリストとレベル5のアナリストでは求められる要求品質が違います。同じ仕事、同じお客さんとしていても。当然給料も変わりますし、レベルが上がっていけば上がっていくほど責任というか、やるべきことの範囲が増えていきますし、求められる成果も上がっていきます。1回は期待値通りにやって、その次のステップでそれが回りだしたらどうすれば期待値を超えられるか、期待値を超えた結果、最終的には昇進やプロモーション、新しいマネージャーに上がっていくということにつながるので、一歩出ていくことが次のステップかなと思います。

これもまんじりと戦ってもなかなか、言語のハンデも常にありますし、優秀な人がシリコンバレーはすごく多いので、どこが自分にしかできないスイートスポットなのかなというのを探し続けるというのはとても大事かなと思います。特に多国籍の国ですので、特徴として日本人の方が得意なことと、アメリカ人の方が得意なことは違いますし、ヨーロッパも国によって全然文化圏は違いますし、アメリカとイギリスも全然違うしというので、意外とやはりわれわれが日本の中で育ってきた文化や働き方の感覚値と、ほかの国が必ずしも一緒なわけではありませんので、意外ともれてくる仕事やほかの人がやらない仕事は実はたくさんあるかなと思います。

私の場合、どちらかと言うと一応セールス側にいるデータアナリストなのですが、少しテクニカルなほう、機械学習や統計などの少しアカデミアのほうに全振り、空いている時間を振ることで、言語のハンデを補っていこうと。これはエンジニアの方の発想に近いですけれども、言語で必ずしも戦わなくても、自分の手先というか、スキルセットのほうで戦えるところに持っていったというのが1つです。

もう1つが、少しお話しましたけれども、ほかの人はやらないことを少しずつ拾っていくことも大事かなと思っています。これは本当に日本人の方はすごく得意で優秀で、最終的にチームにすごく重宝されることだと私は思っています。

日本の総合職を1回ステップ1は捨てますが、ステップ2は逆に戻したほうが得かなと思っています。こちらの人はみんなジョブディスクリプションに染まっていますので、このジョブディスクリプションはすごく得意ですが、少し外れて「それをやったら絶対いい」ということをやらないケースはすごく多いですね。ですから、すごくチームプレイヤーというか、総合職の感覚で、今チームに不足していて自分ができることでバリューを出していくと、僕自身はすごく戦いやすいのではないかなと思います。

もう1つの特徴として、人の入れ替わりが激しいです。僕はセールスの人たちと一緒に働くわけですが、セールスが7人いても辞めたり入ったりするわけです。辞めるとそこを誰がカバーするのかという話になります。当然セールス7人中1人抜けたらほかのセールスがカバーするのですが、そこに例えば「僕はプロダクトの知識があるから少し手伝うよ」など、ほかのスペシャリストの人が辞めたときにそこの仕事もカバーしてあげると、ジョブディスクリプションの外ですが、ジョブディスクリプションできちんと期待値通りの成果が出ていれば、そこから先のプラスというのは評価してくれます。あなたはこれもできるのだったら、それによってチームのマネージャーになりましょうとか、ほかの人にもトレーニングしていくことで成果をより上げていきましょうとか、そういう話になっていきますので、ほかの人がやらないことを日本人らしく拾っていくというのはシリコンバレーですごく強い戦い方ではないかなと思います。

年齢は全く関係ない社会

小川:なるほど。スキルももちろんですが、もうこの年齢にいってしまっているからと諦める方も多いとは思うのですが、年齢制限のようなものはあるのでしょうか。

高橋:まったくないと思います。

小川:まったくない! それはうれしいお言葉をいただきました。

高橋:はい。アメリカではレジュメ上に性別と年齢は書かないです。正確に言うと、どちらかと言うと書いてはいけないのです。人事はそれを見て判断してはいけないというのがアメリカの憲法というか、法律の話です。もちろん年次が上がっていけば、それなりにいろいろな経験を積むでしょうし、それがマイナスというわけではありませんが、この年齢だからこの仕事はできません、この年齢だから採りませんということは一切アメリカではありません。あくまでその方ができること、その時点のスキルセットで判断します。ですから、アメリカではすごく40歳50歳になられてからMBAに来る方、アダルトでラーニングするというのは非常に多いです。

小川:ありがとうございます。それでは、続いてお願いいたします。

サバイブするための3ステップ 〜スキルアップ〜

高橋:はい。まさに最後のステップがスキルアップのところかなと思います。私のイメージで言うと、日本人として日本語で日本で仕事するほどいきなり成果は出ませんので、きちんと仕事が回るようになるまではどうしてもある程度時間稼ぎをする必要があるのかなと思っています。最初は生活の立ち上げも大変ですし、まずは期待値にフォーカスして業務量を減らして、少しずつ幅を広げていっていろいろな仕事に手を出して、日本にいるときに行っていらっしゃったような自分の得意なことを出していって、それができたらステップ3として、それを飛び越えて新しいスキルを身に付けたり、新しい仕事をしていくという順番になるかなと思います。

これは実際にアメリカでもそういうステップでほとんどの会社が、特にシリコンバレーは人の人材の教育やデベロップメントを見ているかなと思っています。先ほど申し上げたようにレベル、まさに職位という概念がありますので、あなたはこの期待値を出しました、期待値を超えてきました、では新しい期待値としてレベルを上げて給料も上げて新しくリーダーシップロールをしていただく、もしくは同じレベルですが、例えばあなたはもっとエンジニアになりたいんだねと、ではエンジニアのスキルセットを独学で身に付けたら横に仕事を変える、職種そのものを変えるということもできます。

例えば僕の場合だと、少しセールス寄りのデータアナリストですので、例えばもっと純粋なデータサイエンティスト、日々基本的にデータ等をいじってお客様と話さないという仕事に行こうと思ったら、そのスキルを身に付けてそれをアピールすればおそらく移ることは可能です。ステップ1、2で時間と信頼を稼いでいる間に職務を上にバーティカルに上げていくか、逆に水平に別のスキルをしていく。私の場合は、それも含めて英語をやる時間をつくって、どんどん英語をやるところがベースだとは思いますが、そういう感じで職位を上げたりスキルを上げたりしていくというのが基本的にはアメリカの人材成長のサイクルだと思います。

小川:いよいよ最後のところですね。

まとめ:シリコンバレーと日本での違いと違わない点

高橋:そうですね。どうしてもまとめに近いのですが、1スライドだけ。よく「日本とアメリカはどう違いますか」「日本とシリコンバレーはどう違いますか」と聞かれることが多いので、今までお話した中で少し違う部分もあったとは思いますが、どちらかと言うと、僕はたぶん当たり前のことをお話しているだけで、個人的には違わないことのほうが多いと思っています。

極論、ビジネスはビジネスですので、基本的にチームとステークホルダーに価値が届いていれば、それが当然給料をもらっている理由でもありますし、きちんと仕事ができれば当然評価されます。むしろアメリカのほうがおそらくシンプルにジョブディスクリプションがデリバリーできていれば評価されますので、あまり余計なことなくビジネスはビジネスだと思ってくれるかなと思います。

その範疇において根回しもたくさんあるなと思っています。期待値を調整しなければいけませんので、「私はこういう仕事をします。これで合っていますね」という上司との1on1面談も期待値調整ですし、お客様に対しても「納期が3日なのか4日なのか、どういうクオリティで行うのか」というのも全部根回しですし、社内のミーティングで何かリーダーシップと話して方向性を決めるときに、事前に大事なステークホルダーに「私はこういう期待値でやろうと思っています」ということは根回しですし。当然やればいいと思います。これはとても日本人の方は得意なことだと思います。

では、違いは何かと言うと、ほとんどの場合において言語と文化だけの話です。注意しなければいけないのは、英語を頑張るというのは、当然私も含めて今でも毎日していることです。それを除くと文化の部分ですね。やはり多国籍チームですので、「こう言えば分かってもらえるだろう」というのは、全員分かってもらえるだろうレベルが違いますので、サボらずに、チームにメール1つするでも、もしかしたらAさんとBさんでニュアンスを変えたほうがいいかもしれないですし、個別に根回しして少しコミュニケーションしておいたほうがいいかもしれないですし。その辺りはすごく気を遣わないと、なかなか単一の文化で育ってきた身としては落ちがちだなと思います。同じ英語圏でもアメリカとイギリスは全然違いますし、ヨーロッパはまったく違います。英語で来たからと言って、メールのニュアンス、アメリカ人とヨーロッパの方は全然違ったりはします。ヨーロッパの人のほうが厳しかったりしますので。あまりその辺りは考え過ぎずに、こういう文化の違いとこういうコミュニケーションの違いがあるのだなというのを理解した上でやり取りをすることがとても大事なことかなと思います。

結論としては、趣旨は冒頭でもお話しましたように、こちらでエンジニアの方は日本人の方はいらっしゃいますけれども、非エンジニアやビジネスの方はまだまだ数が少ないなと思っています。私に何かサポートできることはもちろんいつでもしますし、そういう人のコミュニティが増えてくると、次の人も含めてみんなやりやすくなるかなと思いますので、ぜひどういったかたちでもチャレンジをしていただければ、もしくはチャレンジをする人が増えたらうれしいなと思っています。

小川:高橋さん、詳しくどうもありがとうございました。

高橋:ありがとうございました。

小川:それでは、あっという間にお時間となりましたので、本日の01 Expert Pitchは以上で終了とさせていただきます。高橋さん、傍島さん、本日はどうもありがとうございました。

高橋:ありがとうございました。

傍島:ありがとうございました。

小川:また、ご視聴いただいた皆様も最後までありがとうございました。また次回ぜひご参加ください。それでは、さようなら。

以上


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