01 Expert Pitch #4

Future of Mobility


01 Expert Pitch #4

Future of Mobility


2021.10.26 TUE 12:00-13:00
Nick Sugimoto, CEO of Honda Innovations, Inc.
今回のウェビナーでは、シリコンバレーのHonda Innovations, Inc. CEO と、本田技研工業株式会社 経営企画統括部 コーポレートベンチャリング統括を兼務される杉本氏、 日米のクロスボーダービジネスを支援するTomorrow Access傍島氏をお招きして、最新の市場動向、気になるスタートアップを解説していただきます。

文葉:はい、それではお時間になりましたので、本日のエキスパートピッチを開催したいと思います。「シリコンバレーのエキスパートが気になるスタートアップを日本語で解説」ということで、ゼロワンエキスパートピッチ、今回で第4回になりました。本日ナビゲーターを務めます株式会社ゼロワンブースターのブランスクム文葉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日のテーマは「モビリティの未来」ということで、Hondaイノベーションズの杉本直樹さんにお話を伺います。後ほど自己紹介いただきます。杉本さん、よろしくお願いいたします。

杉本:よろしくお願いします。

01 Expert Pitchとは?

文葉:それではまず始めにTomorrow Accessの傍島さん、自己紹介とエキスパートピッチの狙いをご説明いただけますでしょうか。

傍島:はい。改めましてTomorrow Accessの傍島と申します。よろしくお願いいたします。Tomorrow Accessという会社はシリコンバレーを拠点にしたコンサルティング会社です。主に日本とアメリカのクロスボーダーのビジネスをご支援しております。

このエキスパートピッチの狙いは3つあります。まず1つ目は、日本とアメリカの情報格差をなくしたいということです。ゼロワンブースターさんはじめ、いろんな日本の企業さんとお話をしてくる中でやっぱりシリコンバレーの情報を知りたいという声が非常に多いんですよね。ただなかなか最新の情報が日本に届いていないこともあるので、そういったところの情報格差をなくして、きちんと情報をお伝えしようというのが1点目です。 

2点目は、その情報がたまに我々がアメリカで感じている温度感と日本に伝わっている情報の温度感が違うなってことがあるんです。ですので、今回ご登壇いただいている杉本さんのような業界のエキスパートの方にきちんと解説をしていただいて、正しい情報をお届けしたいというのが2点目です。

3点目は、やっぱり日本語です。英語の情報はもうたくさん溢れているものの、なかなかそういったものを集めてきちんと理解するのは大変なので、日本語できちんと解説をしてお届けしたいということです。この3つが大きな狙いになります。今日も杉本さんのお話を聞けるのを非常に楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

文葉:傍島さん、ありがとうございます。今ご視聴頂いてる皆様、Slido上でリアルタイムでご質問を受け付けますので、ぜひこちらの方からご質問をお寄せください。

ということで。早速杉本さんにお話を伺えればと思います。杉本さん、自己紹介を含めてお話をいただけますでしょうか。

杉本 直樹氏プロフィール

杉本:はい、どうもこんにちは。ちょうど日本はランチタイムですかね?お昼を食べながら気楽に聞いていただければと思います。

改めまして杉本です。どうも今日はお招きありがとうございます。Hondaイノベーションズは、シリコンバレーにあるホンダのオープンイノベーションを専門にやっている会社です。そこのCEOと、本社本田技研工業の経営企画統括部も兼務してまして、そこでコーポレートベンチャリング全体を見ております。簡単に自己紹介しますと、1984年に大学を出て、僕はリクルートに入りまして、リクルートで主に新規事業を、最初は営業をやったり人事部で採用担当をやったりとか、いろいろと鍛えられたんですけど、最終的にはリクルートは当時全部紙で情報誌を出版していたんですけど、それを全部インターネットに載せ替えるという仕事をやりました。

そういう新しい技術が既存の出版とか、既存のビジネスをディスラプト(崩壊)するっていうのを目の当たりにしたので、これは面白いなと。そういうのってやっぱりシリコンバレーから来るからアメリカに行きたいなと思って、留学でUCバークレーに来ました。2年間MBAで勉強をやらせてもらって、在学中に作ったウェブサイトが結構皆さんに見てもらって人気が出ちゃったんで、これを会社にしようというので、リクルートからお金をちょっともらってYYPlanet.comという海外現地情報コミュニティーサイトを作りました。海外に行く人が、現地に住んでいる人に例えば今度サンフランシスコに留学に行くんですけど、どの辺に住むと安全ですか?とか、そういういろんなやりとりがインターネットを使ってできる。どこで何食うとおいしいよとか、そういうのを現地の人がいっぱい書き込みしてくれて、それを参考にできるサイトです。それを在学中に始めて、会社にして5年ぐらいやりました。最終的にはリクルートに吸収されました。

傍島:へえー。

杉本:結構人気あって、20万人くらい登録ユーザーがいたかな。

傍島:すごい。リクルートさんのお仕事だったんですね、独立じゃなくて。

杉本:趣味で学生時代に始めたんですけど、MBAで。それを仕事にしちゃったという(笑)

傍島:すごい。

杉本:その後はベンチャー投資の仕事をしばらくやりまして、シリコンバレーにあるベンチャーに日本のあるエンジェル投資家の方のお金を投資するという、非常にアーリーステージの、主にゲームの会社の仕事を中心にやっていました。2005年にホンダがコーポレートVCやるから来ない?というお誘いをいただいて、アメリカで入社したので、僕はアメリカ現地採用になります。そんな感じでございます。

僕がホンダでやってきたことのご紹介なんですけど、2005年にホンダに入って、入った会社はHonda Research Institute USA, Incという長い名前なんですけど、これはホンダの研究所の現地法人でして、どちらかというと先端技術研究をやる会社です。ですから、車を作ったり、オートバイを作ったりとかしてなくて、カーボンナノチューブとかAI、どちらかというと基礎研究をやってるチームです。そこがCVCをやって、ベンチャー企業といろいろもっと突き抜けたことをやろうというのですが、ベンチャーコミュニティに入り方がわからないんで、じゃあCVCやろうかっていうんで2005年に始めたんです。その時に誘われて入りました。

傍島:早いですよね、2005年というと。

杉本:そうですね。今、この何年かすごいオープンイノベーションブームっていうのかな、CVCがたくさんできましたけど、そのころはどちらかというと電機産業、それこそ富士通さんとか、日立さんとか、いわゆるITの大手ぐらいしかやってなかったです。そこに自動車メーカーが何をしに来たのって言われましたけどね(笑)。サンドヒルロードってシリコンバレーに大手VCがずらっと軒を連ねている通りがあって、僕はリクルートで営業もやっていたんで、リクルートの営業って基本的に飛び込み営業なんですよ(笑)

傍島:(笑)

杉本:なので「よしっ、じゃあ俺はベンチャーキャピタル飛び込むぞ」とか言っていきなり飛び込んで、いきなり飛び込んでもさすがに誰も会ってくれないんだけど、つてを一所懸命探して、ほぼ飛び込みに近いような状態でいろんなとこ路に行って・・・でも全然相手にされませんでしたね、その頃は(笑)。

傍島:そうなんですか?でもホンダっていう名前はみんな知ってるじゃないですか。世界のホンダじゃないですか。それでもそんな扱いだったんですね。

杉本:最初はそうでしたね。いろんなVCのパートナーの人に、パートナーって実はものすごく偉い人なんだけど、そんなの知らないからパートナーって何だろう?と思って(笑)

文葉:(笑)

杉本:なんか外注の人かなとか、外のパートナーの人かなとか、

傍島:あはは。

杉本:よくわかんないなと思いながら行って、「ニック、お前、自動車メーカーがシリコンバレーで何をしたいの」って言われて、「いやいや新しい技術を車に入れたりオートバイに入れたり、いろいろやりたいんだよ」って言って。「ふーん、でも今もしベンチャー見つけたとして、いつ自動車とかに入るの?」って言われて。「うーん、新車の開発って5年ぐらいかかるかな」って。「5年の間にたぶんその会社はもうエグジット(Exit)してるよ」って言われて(笑)。

文葉、傍島:
あはは、確かに(笑)

杉本:そっか、と(笑) まあ、そんなとこから始めましたね。もう右も左もって感じでしたけど、お蔭様で2008年、2009年ぐらいかな、リーマンショックになるちょっと前ぐらいにクリーンテックブームっていうのがありまして、いわゆる今でいうClimaTechみたいな、

傍島:うん、うん。

杉本:ソーラーとか、電池とか、それこそ水素燃料電池とかそういういろんなエネルギー系のベンチャー案件がめちゃくちゃ流行った時期があるんです。テスラもその頃できた会社です。

文葉:うんうん。

杉本:そしたらベンチャーキャピタルは、ほとんどそういう知見ってないんです。だいたいエンタープライズソフトウェアとか、モバイルとかパソコンのソフトとかインターネットとかそっちの詳しい人は大勢いるんだけど、エネルギー系はあんまりいなくて、そしたら電話がかかってくるようになったんです。「ニック、こういう案件あるんだけど、ちょっとホンダの意見聞きたいんだけど見てみる?」って。

傍島:へえー。

杉本:それで飛び込みしておくものだなと思いましたけど(笑)。

まあそんな感じでネットワークができて、CVCを6年ぐらいやりました。投資もいくつかやりましたし、ベンチャーキャピタルファンドにLP出資もいくつかやりました。いろいろ見つけて、ホンダの車に入った技術もあって、よかったねと。でもまあやっぱり課題があって、こういう活動ってホンダの中であまり知られていなくて、何ですかそれ?みたいなところから始まるんです、社内で(笑)。だいたいニック杉本さんって、ニックって言ってるけど、何人だっていう・・・

文葉:(笑)

傍島:
誰ですかと(笑)

杉本:
ホンダの人なんですか?みたいなところから始まって、結構そこは苦労しましたね。オープンイノベーション、シリコンバレー駐在のあるあるなんですけど(笑)

僕なんかホンダに入ったばかりですから誰も知らないので苦労しました。

じゃあ実際にモノ作って見せた方が早いんじゃないかということで、シリコンバレーでモノを作ろうとなりました。モノっていっても車を最終的に仕上げるほどはできないので、プロトタイプ、PoCぐらいまでやって、担当の人に来てもらってモノを見せて、なるほど、こういうことができるようになるのねと言ってもらう。わかった、わかった、じゃあちょっと検討しよう、みたいなふうにホンダの中につなげるつなげ方をちょっと工夫して、PoCラボに変えたんです。それが2011年でした。ホンダシリコンバレーラボっていう名前にして、それまではいわゆる基礎研の1セクションだったんですけど、基礎研だと製品を作っている部隊からはやはり遠いので、製品を作ってる部隊の中のシリコンバレーブランチにしてもらいました。組織をホンダの中で移ったんです。Xceleratorというか、実際にモノを作る活動に変えて、お蔭様でこれをやったおかげでだいぶホンダの中で理解が進んで、こりゃいいね、なるほどと。だんだん逆にホンダ中の人が自分で見に来るようになってくれて。

傍島:うんうん。

杉本:というのは、デモデーみたいな、それこそYコンビネーターとかああいうところと同じようにデモデーを社内向けにやったんですよ。年に2回ぐらい。偉い人を呼んで、役員を呼んで。役員が「おっ、これいいねー」と盛り上がって、「おいお前、これちょっと見に来い」って言って、話が下に降りてくるわけです。そうすると突然言われてみんなびっくりするわけですよ、何ですかそれ?みたいな(笑)

傍島:あはは。

杉本:で、あんまりびっくりするのは嫌だから、事前に「ニックさん、ちょっと次は何を見せるんですか」とか、「関係しているのはありますか?」みたいな、そういう話になるんです。「あっ、いっぱいありますよ」と。「じゃあ、先に見せてくれませんか」みたいな(笑)。

傍島:なるほど。

杉本:日本の会社あるあるなんですけど。こういう上から落とすというんですかね?(笑)

文葉:うふふ(笑)

傍島:15年以上やってらっしゃるんですもんね。いろいろありそうですね。

杉本:そこから、イノベーション活動でうまくいったんで、じゃあどんどんもっと加速しようということで、「お前ら独立した会社にしてやるから、そこでもっと頑張れ」というので、2017年にHonda R&D Innovations, Incという、その時もまだ研究所の一組織だったんですけど、そこで3年ぐらいやりました。僕らが言ってたのが、「技術を見つけるのは見つけますけど、ベンチャーは別に技術を単品で切り売りして売りたいわけじゃなくて、ホンダと事業を作りたいんですよ」と。ですので、「事業も絡まなきゃダメですよ」と言いました。

ホンダは事業をやってるのは本田技研工業で、技術開発をやってるのはホンダ研究所っていう子会社なんです。それが分かれちゃってるので、僕らは研究所の側の組織だったんで、事業をやっている人たちからはちょっと遠かったんですよね。そっちをもっと巻き込まなきゃということで、2020年の4月に本社直轄になったんです。だから僕らの対面は経営企画統括部で、ホンダ全体の事業戦略を作っているところです。だんだんそうやって1先端技術研究所だったのが、少しずつやってることの重要性がだんだん理解されて、こんなふうに長くやってるんでこんなふうになります。

傍島:なるほど。

文葉:杉本さん、質問が早速Slidoの方に来ているんですけれども、「可能な範囲で教えていただけるとありがたいです。現在狙っているのはどのような技術でしょうか?」というご質問がありまして、

傍島:早速ですね(笑)

文葉:早速・・・おそらく次のスライドにも続くと思うので、そのあたりもぜひ伺えればと思います。

ホンダ オープンイノベーションの歴史

杉本:さっきちょっと映しましたけど、この辺から実際にベンチャーと協業するプログラム「Honda Xcelerator」という名前のプログラムを立ち上げて、外向けにはこのブランドでベンチャーコミュニティと話をしています。このスライドにあるのがまさにそういう我々がフォーカスしているエリアで、要するにベンチャー企業が新しいアイデアで、新しい技術で既存の世の中をディスラプトしようとする。あるいは今までなかったものを作ってそこに新しいビジネスを作ろうとする。ホンダの未来にとって大事だけど、やっぱりホンダがすごくお得意ってわけではないと。。。まあ、ぶっちゃけホンダってエンジンを作らせたらたぶん世界一だと思うんです。

傍島:確かに。。。

杉本:実際に世界一たくさんエンジンを作っているんです。年間3000万台ぐらいエンジンを作っているんだけど、それをやめるって言ってるんだから相当なことなんですけど(笑)

傍島、文葉:
あはは、確かに(笑)

杉本:ですので、やっぱりお互いの強み、とはいえモノづくりっていうところでは我々は長年の知見もありますし、モビリティーに関しては我々も車、オートバイ、いろんなものをやってますから、最近は飛行機までやっていますので、そういうお互いの力を1+1が3とか4になりそうなエリアをピックアップしたのがこのスライドです。

傍島:これ8つぐらい見えているんですけど、ホンダさんの中で「未来はこうなるよね?」みたいな会議とかやって、こういうものを選んでいくんですか?どうやってこの8つって出てきたんでしょうか?

杉本:ホンダのいろいろな事業部門の事業戦略とか、研究所の宇宙開発戦略とか、彼らは彼らなりにこれから世の中どうなるかっていうのを自分たちで考えて絵を描くわけです。とかくホンダなので、なんやかんやいって自前主義強いですから自前でやろうとするんですけど、一方で僕らはその話を聞いて、うんなるほどと。確かにそうかもしれないねと。でも一方で世の中、外で起きていることを僕らは見ているよねと。そうすると、こういうところはむしろ組んでやったほうがもっと早いんじゃないか?こういうところはもっと広く視野を外に向けてやったほうがいいんじゃないですか?みたいなところを我々なりにピックアップしたのがこれです。だから必ずしも事業部門と握ってやっているわけじゃないです。

傍島:うんうん、なるほど。。。

杉本:彼らの戦略はもちろん理解していますし、教えてもらって、いろいろ示唆を、アドバイスもらう機会もたくさんあるんですけど、そんな中でじゃあ我々としてベンチャーコミュニティに対する発信としてはこういう領域を我々はフォーカスしてますよっていうふうに定めようかといってやってますけど、これもでも時代とともに変わっていくと思うんですよ。

傍島:うん、確かに。

杉本:ベンチャーだって、そういういろんな新しいベンチャーが出てきていますしね。ですから、そういう意味では、変わっていっていいのかなと思っています。

Xceleratorの中で我々がやっていることというのは、ベンチャー企業にいろいろなリソースとかCapability(能力)とか我々の知見をオファーして一緒にやっていこうということです。お金とかはもちろんですけど、最近ちょっとコロナであまりウチのオフィスに来て一緒にやるっていうのは少なくなってきましたが、オフィススペースとかガレージとか、あとは我々も技術者が来るごとに一緒に入って、新しいものを一緒に作っていく。車とかオートバイは売るほどありますんで、そういうテスト車を提供してベンチャーの技術を例えば車に実際に入り込んで一緒に評価してみるとか、改良してみるとか、そういうことを一緒にやっています。

場所も、もともとはシリコンバレーで僕らは始めたんですけど、先ほども申し上げたようなああいういろんな領域っていうのは世界中にいろんなベンチャーがあるので、違った地域に担当者を置いて現地のベンチャーコミュニティとネットワークを作ってます。ざっくり言うとこんな感じです。

傍島:100もあるんですね、コラボレーションが。

杉本:100Sなんです、「何百も」という意味です。でもそこから実際にプロダクトに入るのは数十件ですね。

傍島:確かに、そうですよね。

杉本:そんなに多くないですね。なかなかやっぱり車に入るっていうのはハードル高いですね。

傍島:うん、そうですよね。

杉本:One AcquisitionということでDrivemodeっていうベンチャー企業さんを2年前に買収したんですけど、それもこのXceleratorのコラボレーションが発展して買収に至ったって感じですかね。

文葉:なるほど。

Honda Xcelerator共創事例:
Apple CarPlay、Android Auto

杉本:事例というか、最初に我々がやったVCチームをプロトタイプラボに変えて最初にやった仕事がこのスライドなんですけど、

傍島:へえー。

杉本:スマホを運転中にいじって起きる事故っていうのがやっぱりすごく多くて、なんとかスマホをいじれなくてもやりたいことがやれる世界が作れないかと。「イジるな」っていうのは簡単なんですよ、それは法律作ればいいだけですね。でもやっぱり運転しているだけだと暇だし、あああの人に電話しなきゃとか、ちょっとメッセージ送っとこうかなとかやっぱりあるんで。。。

そういうことを安全にできるようにするっていうのが私たちの使命でもあり、スマホを作っているアップル、グーグルの使命じゃないのかなみたいなと思い、何かちょっと高飛車なプレゼンを彼らに持っていって・・・

傍島:ホンダさんからプレゼンされたんですね、アップルとか、グーグルに。

杉本:はい。実はうちのチームでプロトタイプも作って持ってたんです。

文葉、傍島:へえー。

文葉:杉本さん、ご質問の中にも「車の電動化は日本メーカーは遅れてしまっているようですが、これからどう挽回すればいいでしょうか」っていうご質問があったんですけど、こういうところに商機があったりしますかね。

杉本:電動化っていうところで?

文葉:そうですね。それとか他のアップルさんとコラボレーションですね。

杉本:商機っていうか、電動化はもう世の中の流れとしてこれはもうやらなきゃいけないことであって、別に他社を出し抜くとか、競争で勝つということか、そういうことではないと思っているので。

傍島:なるほど。。。

杉本:実はこれもそうなんですよ。これは車を運転するということをやっぱり安全にするというのは僕らの使命なので、スマホメーカーと自動車メーカーが協力してこういうものを作るっていうのは絶対必要だっていうのは思っていたことです。ビジネスとしてこれがどれぐらいプラスになったかっていうと、お蔭様でうちが提案して最初に持っていったから最初に車に積んだんです。ですからお客さんは「僕のiPhoneがつながるフィットはどれですか?」みたいな感じで、お客さん結構店頭でご指名買いっていうのかな、カープレイついてるやつくださいみたいなのが結構ありました。だからそういう意味ではプラスにはなったとは思いますけど。

傍島:自ら行くってことですね。カーナビとか作ってらっしゃる中の事業部の方もたくさんいらっしゃったはずなのに、スマホと連携しようぜって自ら行くっていうのは、やっぱり自ら攻めていくっていう姿勢は大事ですよね。

文葉:アグレッシブ。

杉本:まあ何を隠そう、社内はもう大揉めに揉めましたけどね(笑)。

文葉:あはは、ですよね(笑)

杉本:揉めたけど、もうやっちゃったから載せようよって言って。

傍島:あはは。

杉本:その時の社長が伊東っていう社長だったんです。今の前の前の社長だったんですけど、「おっ、そうだよな。俺だって毎日スマホを普通に使ってるし、これを運転中に使えたら便利だと思うよ。やるしかないだろう」とおっしゃった。「どうせやるんだったら、世界初でなきゃとホンダらしくないぞ」と。

文葉:おー。

杉本:世界初でやれと。というふうに社長が言ってくれたんですよ。

傍島:大きいですねー。

杉本:ええ、揉めましたけど(笑)現場は揉めましたけど、いろんな意味で。

傍島:でも挽回っていうキーワードが出ていましたけど、やっぱ自ら攻めないといけないっていうのはありますよね。

文葉:うんうん。

杉本:そうですね、はい。Drivemodeさんっていうのは、そういうスマホを社内で安全に使うっていうのを、さっきのAndroidauto、カープレイは車とスマホががっちり連携して、車のディスプレイに使うんですけど、あとはマイクとかスピーカーとか。これはもうスマホ単体でそれができちゃうっていうアプリを彼らは作っていて、スマホをつければもう車のナビもいらないし、何もいらないじゃないですか。ディスプレイもいらない。これは面白いねと言って一緒にコラボして、車もそうなんですけど、オートバイってもともとディスプレイないし、運転中に手も離せないし、結構難しい環境なんだけど、やっぱり電話で話したいとか電話をかけたいとかまあ最低限のコネクティビティっていうのはやっぱり求められるだろうということで、

傍島:うん、うん。

杉本:実はホンダの今年発売したオートバイなんですけど、そこからスマホと繋がる機能というのが付いていて、運転中に親指のボタンでピッ、ピッ、ピッって、ここのハンドルバーのボタンをやるといろいろメニューが選べて、電話もかけられるし、ナビも使えるし、いろんなことができるんです。そういう部分は協業でやってみて、面白いねと、社内もすごい盛り上がってくれて、じゃあもうDrivemodeさん、ホンダのファミリーになって一緒にやろうよと。うち、世界にオートバイ作ってるし。で、そうっすねと社長の古賀さんと意見が一致して、加わってもらったんです。

傍島:へぇー。

杉本:これがそういう案件ですね。そんな感じですけど、今後マーケットはどうなっているかとか、そういうふうな話をしちゃっていいですか?

文葉:はい、お願いします。攻めのホンダさんのお話ぜひ伺いたいなと思ってますんで。

杉本:そんななんか一方的にしゃべるばかりでもあれだからなと思って。

文葉:あはは。

自動車業界の市場動向:CASE

傍島:CASEってこれは何ですか?

杉本:CASEっていうのは、あっ、そっか。自動車業界じゃない方にはあまり馴染みが無いんだけど、これから起きる自動車業界を襲う4つのトレンドみたいな。

文葉:うん、うん。

杉本:ちょうど3年ぐらい前かな、ベンチャーキャピタル業界で言い始めて、これは頭の一文字ずつ取ったんですけど、Connected, Autonomous, Shared, Electric。

文葉:そういうことか。

杉本:そうそうそう。車がつながってい木、自動運転が出てきて、それからシェアリング、UberとかLyftみたいな。あとは電動化です。こういう4つの大きな波が襲うぞっていって、4年ぐらい前かな、この手のベンチャーがすごくいっぱい出てきました。

文葉:なるほど。

杉本:こんな感じで、CASE関連スタートアップへの投資額、投資件数です。赤い棒が投資額。一番ピークの時だと2018年かな、46ビリオンだから5兆円ぐらいですかね。

傍島:すごい。

杉本:すごいですよね。これを見ると、件数自体は実は18年ぐらいからちょっと落ち着いてきていて、今年は9月までの数字ですけど、、、

傍島:多いですね。

杉本:多いんですよ。だけど件数はだいぶ落ちてきていて。EXITしちゃってるケースが多いんです。あとはLater Stageの結構でかい調達案件が増えてきていて、したがって件数は少ないけど金額は結構でかいみたいな感じになってきています。

傍島:1件あたりの投資が大きいんですよね。

杉本:そうですね。

傍島:2021年、今年9月の段階でもう去年と同じか、過去最高ぐらいまでいっているってことは。。。件数は257件と4分の1ぐらいにもかかわらず投資額が多いってことなんで、ソフトバンクビジョンファンドとか大きいところがドカーンという動きはありますよね。

杉本:そうですね。そういうのもあるし、結構大手の会社からの出資をドカーンと受けるとかね。買収も結構あります。

自動車業界から見たハイプ・サイクル

杉本:Zooxなんていう、自動運転の会社がアマゾンに買収されたりとか、まあそんな感じです。これはよくあるハイプカーブと言われているやつで、ブワーっと盛り上がって、一旦落ち着いて、実態がやっと伴ってきて成長軌道に載るみたいな。ここで下に落っこちていく物もたくさんありますけど(笑)。今のCASEに関連するようなものでいうと、まあこんな感じかなと思っていて、これはSAEっていう、自動車工学会なのかな、日本語でいうと。アメリカの自動車工学。航空産業も入っています。飛行機も入ってますけど、自動車とか航空とかそういう業界の集まりがあってそこが出してるやつなんですけど、よく言うConnectedになったらいろんな車のデータを集めて、新しい車にっていうのはずーっと言われてるけど、なかなか花が咲かないっていうんですかね。

傍島:ふーん。まだそんな手前なんですね。騒がれてはいるけど、まだまだ話題のピークまで来てないぐらいの場所だってことですよね、一番左端の。

杉本:まあ実際繋がっている車ってまだ少ないですしね。

傍島:確かにConnected、先ほど杉本さんがおっしゃった、車に繋げてとかいうところは右端ですもんね、10何年前に始められたところが。

杉本:そうですね。

傍島:MaaS(Mobility as a Service)って盛り上がっていますけど、まだ山を下りてきたところなんですね。

杉本:そう。今はちょっとコロナのせいもあるかもしれないけど。

傍島:下火になってきて・・・

杉本:モビリティ自体がだいぶガガッと落ちてきた。まあ来年ぐらいからこっちに移ってくるかもしれないですけどね。自動運転なんか今が底みたいな(笑)。

傍島:ここから上がってくると・・・

杉本:そうですね。3、4年ぐらい前は、もう2020年には出しますみたいなことを言っている自動車メーカーがいっぱいいましたけれど・・・全然出てないから。まあ全然でもないか、少しずつは出ていますけど。機能が追加されていってる感じなんですかね。ホンダも手前味噌ですけど、レベル3の車を一応出しましたけどね。まあ高速道路で一定の条件下では手を放してもいいし、ある程度制約条件の中では自動運転ができますっていうことで。

傍島:うん、それでここか。空飛ぶ車がまだ左端の坂上り途中なんですね。

杉本:ええ、今まさに崖っぷちに向かって突っ込んでる感じですね。

文葉:質問の中にも「空飛ぶ車の開発はどうですか」って書いてくださっている方がいるんですけど、まだ・・・

杉本:研究所がやっていますよ。この間、発表しましたけど、まあまだ事業にするとかそういう段階ではなくて、いろいろホンダのオリジナルのアイデアを突っ込んだものって、どんなものになるのかなとかというのをいろいろリサーチしている段階です。

傍島:実際飛び始めてる奴らとかは今いるんですか、マーケットの中に。

杉本:トヨタさんが出資されたJobyとか、どんどん飛んでいます。中国でやっているんですけど、EHangとか、あれなんかも飛んでるし。飛んでいるというのはビジネスとして飛んでいるわけじゃないですけど、機体が飛行しているという意味では飛んでます。まだああいう飛ぶものって、認証を取るのが大変なんですよ。FAAっていうお役所、陸運局みたいな、日本でいうと何だろう、国土交通省か。そういうところが認証しないと正式にコマーシャルに飛べないんですよ、お客さんを乗せて。

傍島:うん、うん。

杉本:なので、まだまだそれには時間がかかると思いますけど、今はそういう段階ですね。早いところはそんな感じ。まあこんなふうに考えています。我々はこの間、4月に社長が三部っていう社長に代わって、彼はわりと企業変革、次の50年ホンダがどうやって生き残っていくのかみたいなことをすごく思ってるので、足元の事業も大事なんだけど我々は変わってきますということを就任していきなり言っちゃって、、、

文葉:そうですね。先月NewsPicksにも独占記事みたいなのが出ていました。

杉本:出ていましたね。彼は非常に強くそれを思っていて、我々がやらなきゃいけないことっていうのは、まあこれはさっきも言いましたけど、ある意味やらなきゃいけないことであって、別に新しい機会かって言われるとどうなのかなっていう気はするんだけど、我々に強いられた社会責任みたいなもんだと思うんです。カーボンニュートラル、Zero Fatality、死亡者ゼロということです。ですからあんまりそういう意味じゃ空飛ぶ車とか、そういうワクワク感はあんまりないですけど(笑)

文葉:(笑)

杉本:ただ非常に大きなテーマだし、さっきも言いましたけどうちで年間3000万台エンジンを作っているんで、それを全部カーボンニュートラルにするためには・・・

文葉:いや、ほんとホンダさんの強みでもありますもんね、エンジン開発とか技術力みたいなところで。それをある意味捨てるというか、変革していくってすごいチャレンジだと思うんですけど・・・

杉本:ほんとそうですよ。みんな青くなってますよ(笑)

文葉:あはは。

傍島:でも社会的な責任というか、背負ってるものがやっぱり大きいですよね。人命もそうですけど、環境もそうですけど。

ホンダの注目領域:
モビリティ、ロボティックス、エネルギー

杉本:それを使命だからやる以上のオポチュニティーに変えていきたいなと思って、我々なりにこの領域で新しいビジネスを作っていきたいなと思っているのが、このモビリティ、ロボティックス、エネルギーという分野なんです。ホンダは車とかオートバイとかいくつか製品もありますけど、例えば水素燃料電池なんていうのは昔からやっていて、自前の燃料電池システムを作れる自動車メーカーってたぶんあまりなくて、トヨタさんとうちぐらいじゃないですかね。

あとのメーカーは割と外のシステムを買ってきているところが多い。だからそういうところの知見だったり、実はそういうものって、水素燃料電池って何かいうと水素と酸素をくっつけると電気が起きるんですよ。電気と水ができるんです。電気を作るのって燃料電池っていうぐらいで、電気化学反応なんです。だから電池に通じるノウハウがかなりいっぱいあるんです。

傍島:うん、バッテリーもそうですね。

杉本:電気自動車って燃料電池以外でも普通の電池を積んで走っている自動車、今はテスラもそうですし、世の中の電気で走る車ってたいてい今電池で走ってますんで。その辺への知見みたいなものは実は結構あって、電池の研究も昔から社内でずっとやってきていて、それなりに出来上がりつつあるようですし。

まあ出遅れたという意味では、製品をご覧になっている限りにおいては、確かにあんまりうちは電気自動車を出してないからね。Honda eっていう、ちょっと小さいやつは出しましたけど、なので出遅れ感はそこは否めませんけど。まあ1年、2年の勝負ではないと思っていて、これから20年30年かかって社会が変わっていくという中でどうやって我々がそこにコミュニティを作っていくかっていう、割と長い目で見ています。

傍島:まさにエンジン部分ですもんね。今でいうコアの心臓部分のエンジンの開発がこのバッテリーの部分に変わってくるって感じですよね。

杉本:そうですね。まあ自動車メーカー各社は電池メーカーと組んで電池の工場を建てたりとか、すごいたくさんやってますんで。我々もそういう意味では電池メーカーさんとも協力し合ってやっていますので。。。

文葉:ご質問にも「全固体電池どうですか?」っていうご質問あるんですけど、トヨタさんも開発されていたと思うんですけど、ホンダさんも取り組みをされてらっしゃるんですかね。

杉本:うーんと発表していたかな?わかんないけど(笑)

文葉:あはは。言えないこともあるかもしれない。

杉本:やってない会社はないと思いますよ。固体にすることのメリットっていうのはたくさんあるんでね。それを研究してない会社というのはたぶんほとんどない。

文葉:そうですよね。

杉本:ただ、実用化した会社というのもほとんどないです。

文葉:なるほど。

杉本:非常に小さい電池だったら村田製作所さんとか、作られているものはあると思いますけど、日立さんはやってたかな?出光さんもやってたかな?まだまだ車に実際に積んで走れるレベルになっているものはまだ少ないです。

文葉:確かに。。。

杉本:まあぼちぼち出始めていますよね。

文葉:車ってもう最新技術の結晶みたいな形だから、取り組んでないってことはきっとないですよね。

杉本:取り組んではいます。ただいつじゃあ車に乗るかって言われたら、「うーん」です。

文葉:うーん、なるほど(笑)

杉本:「ちょっとまだわかんねえ」みたいな。わかんないっていうか、目標はもちろん中では持ってやってますが、まだちょっと外に対してお約束できる段階ではないなっていうのが正直なところです。

文葉:ありがとうございます。

杉本:あとはロボティックスとか、エネルギーとか。エネルギーなんかはCarbon Neutralityというのをやるのは当然ですよね。

Zero Fatalityというのをやろうとすると、やっぱり車が知能化していって賢くなる。事故を自分で未然に避けるとか防ぐとかいうことができるようにならなきゃいけないし、それが車だけじゃ駄目で、アジアなんか行くとオートバイの数がものすごいですから、やっぱりいろんな道を使うもの、歩行者も含めてですけど、そういうところとの連携も必要になってくるし、ロボティクスっていうのは広い意味ではそういうところが生きてくる領域で、うちでASIMOっていうロボットをずっとやってたり、

傍島:あー、ありましたね。

文葉:ASIMOはそうですね。

杉本:ASIMOっていうのは、もともとは鉄腕アトムを作ろうっていうものだったんだけど、残念ながら鉄腕アトムまではちょっといけてないですけど(笑)そこで生まれたいろいろな技術っていうのは実は自動運転の制御技術に入っていたりとか。

傍島:確かに。繋がりますね。

杉本:いろいろなものに入っていますね。そういう意味では会社の技術の基盤を作っていく、プロジェクトとしてね。プロジェクト自体もそういうふうに再定義して、用途、要素をさらに進化させていくっていうことをやっています。だから必ずしも二本足で立って走る、飛ぶ、そういうことをできなくても別にいいんじゃないのと。

もっとその用途に応じて人間のできないものができた方が役に立つでしょということです。従ってこの3つの領域でいろいろ注目して、ベンチャー企業さんなんかともいろいろ話しています。

文葉:ありがとうございます。

傍島:激しいですからね、この3つの領域は。

文葉:そうですよね。外部環境の変化もだいぶありますもんね。

ホンダ杉本氏が注目するスタートアップ3社

杉本:今日のお題で、注目するスタートアップなんていうことで、注目するっていうとなんかホンダがここと何かするのとか、買収するのとか何かそういうふうに勘ぐられるかもしれないけど、別にそういう意味ではなくて、我々いろんなベンチャーを見ているんで、そんな中で、あー、こんなトレンドがあるんだねっていうことで、ちょっと発見のあったものをいくつか持ってきました。必ずしも別にホンダがここに強い関心を持っているとか、皆さんにお勧めしているとか、そういうことではございませんが、モビリティーの領域でいうと電動というのはもちろんアレなんですけど、一方で我々のチームの中ではインバースモビリティと言ってるんですけど、要するに人間が自分でどこかに出かけていくそのモビリティー、Uberが出てきたり、いろんなものが出てきてる。MaaSが出てきたりしていますけど、その逆。人間は動かなくて世の中が動いてくるっていう。

文葉:ほう、面白い。

杉本:インバースモビリティと呼んでいて、その手のトレンドがやっぱりぶわっと出てきていて、面白いなと思っています。

傍島:杉本さん、なんとおっしゃいましたか?インバース・・・

杉本:インバースモビリティです。Inverse、逆っていう意味。だから逆モビリティというのかな。世の中があなたの周りで動いている。

文葉:なるほど。あはは、面白い。

杉本:あなたは動かなくていいですという。その1つの例ですけど、Uber Eatsとか、アメリカでいうとDoorDashとかInstacartとかありますけど、それはお店からあなたまでをピックアップして持って行ってあげますっていうデリバリーサービス。

傍島:うん。

杉本:これ(Gorillas)なんかもうちょっと突っ込んでやっていて、そこから食べ物とか日用品とか、いろんな文房具とか、電気製品とか、何を頼んでも10分以内に持ってきますという・・・

傍島:うーん、10分か。早いですね。

杉本:ですね。10分なんてちょっとおしゃべりしてたら、すぐ10分経っちゃうからね。

文葉:ほんとですね。

傍島:でも、Uber Eatsとかもありますけど、10分とかそれをいかに効率的にやるか。これ、1300億円ぐらい投資集まっているような会社ですよね。ただのUber Eatsみたいな会社じゃんって思っちゃうと思うんですけど。

杉本:そうなんですよ。それで、これはバリエーションがもう3ビリオン。

傍島:おー、3000億円。

杉本:そう。ヨーロッパを中心に立ち上がった会社なんですけど、アメリカで、ニューヨークでもサービスが始まって、これは自分でダークストアっていうのかな、配送センターみたいなもので、都会の真ん中にいっぱい置いてるんですよ。

傍島:なるほど。

杉本:そこで配送員もいわゆるUber Eatsみたいに普通の人が空き時間にやるんじゃなくて、もう雇ってある。オーダー来たら、ばばっとピッキングして10分以内にばーんと届けるみたいなね。

文葉:へえー、なるほど。

傍島:料理を分散化して置いておくってことですね。

杉本:ちょっと究極のそういう形態。まあおそらくアマゾンなんかも当然これがうまくいっているのを横目で見たらね、おそらくやり始めるんじゃないかと思う。

文葉:そうですよね。確かに。

杉本:ただアマゾンのあの品揃えを、例えばニューヨークの街の2マイルごとに全部置いとくというのは無理でしょう。

文葉:大変ですね。

杉本:ということはベンチャーにも商機があるわけです。ある程度限られたものだけ用意しておいて、日常的に必要なもの。それは卵だったり牛乳だったり野菜だったり、いろんなものをばーんと届けますみたいな、そういうサービスっていうのは面白いな。まあ昔の日本でいうと、なんか八百屋の出前みたいな感じ。

文葉:確かに。ラストワンマイルのちょっとした距離をいっぱい集積しておくみたいな感じなんですかね。面白いですね。

杉本:うちはオートバイもやっているので、こういうのがもしうまくいくんだったらこれ専用のバイクもいかないと、とか。。。

文葉:確かに。

杉本:そういうスケベ根性もなくはないという(笑)

傍島:(笑)

杉本:あとは、ロボティックスの分野で面白いなと思ったのは、一次産業の二次産業化っていうんですかね?

傍島:なんとおっしゃいました?(笑)

文葉:一次産業の二次産業化(笑)

杉本:AgTechってAgriTechって言いますけど、やっぱり一次産業って世界のどこを見てもなかなかつらい産業で、天候にも左右されるし、労働時間も長いし、非常に重労働だしみたいな。Bear Flagは自動運転の技術の会社なんですけど、農家の持っているトラクターに後付けでつけると勝手に自動で走るようになります。だからドライバーを派遣しているようなものです。面白いのがRaaSって彼らは言ってますけど、Robotics as a Serviceと言っていて、1エーカーそれを走らせるとお幾らみたいな、そういうその・・・

傍島:おー、ビジネスモデルが。

杉本:サービスモデルでやっている会社で、まだシリーズAかな、12ミリオンぐらいの会社なんですけど、つい最近John Deereっていうアメリカの会社が買収しちゃいました。

文葉:あの農業機械とかの・・・

杉本:そうそう。芝刈り機とか、ああいう・・・

傍島:動きが早い、早いですね。

文葉:確かに。

杉本:早い。すげーなって思いました。うちもここを見ていて、うちの芝刈り機とかをやっている部門があるんで、そこに紹介して、ちょっとこういうすげーことをやろうとしてるよと。ちょっと見ろと言っていたんですけど、あっと言ってる間にかっさらわれてという思いをしたんですけどね。

文葉:なるほど。

傍島:後付けでできるんですもんね。

杉本:日本でいうと何だろうな、例えばクボタさんとか、ヤマハさんとか、すごいIT系とかは自動運転やられてますよね。John Deereはそれをもう外の会社を買収することで具体化しようとしているという。

文葉:確かに。

杉本:M&Dっていうのかな、Merge and Develop、そういうやり方でしたね。だからやっぱり日本企業にないそういう動きっていうのは、やっぱりすげーなってちょっと感じました。うかうかしてられないなと。

傍島:なるほどね。

文葉:うかうかしてられない。スピード感がありますね。

杉本:そうですね。最後はエネルギーで、これはもう結構有名な会社で知っている人も多いかもしれないですけど、Redwood MaterialsっていうテスラのCTOをやってた人が創業者の会社で、、、

傍島:へえー。

杉本:当然テスラに居られた方だから、これから使った後の電池が山のように出てくると。電池ってここにもありますけど、リチウムとかコバルトとかいろいろなレアメタルが入っているんです。これがまた結構国が限られているんです、産出する国が。

傍島:へえー。

杉本:だから需要がドーンと高まると供給量がそんなにいきなり増やせないので、ということは電池の値段が下がらないっていう。そういう需給という中でこの会社はわりと独自のプロセスを作って、そういう希少な金属類を使い古しの電池から取り出す、安価に取り出す技術でその材料をまた電池メーカーに供給するという。彼らはマイニングだって言っていますけど(笑)

傍島:まあ確かにマイニングといえばマイニングですね(笑)採掘ですからね。

文葉:うん、うん。なるほど。

杉本:そういう会社です。ネバダにもでっかい工場があって、ガンガン電池からレアメタルを取り出すのを始めています。Amazonも出資しましたね。

文葉:杉本さん、残り時間が短いんですけど。。。

傍島:早い。早い。

文葉:聞き入ってしまって、あとご質問に1つ、2つクイックにお答えできればと思うんですが、最初にVCの飛び込み営業のお話をされてらっしゃったと思うんですけど、「VCとコネクションを作るために工夫したこととか、そのためのコツ、心がけていることなどあれば教えてください。会社の最初の駐在員としてアメリカに来ているんですが、ネットワーク作りに苦労してます」っていう切羽詰まったお悩みが。。。

杉本:なるほど。世の中ギブアンドテイクなんで、何がギブできるかをちゃんと考えられるってことが大事。

文葉:なるほど。売り込むだけじゃないってことですね。

杉本:そうそうそう。ベンチャーキャピタルとかベンチャー投資家の人、あるいはベンチャー企業がやっぱり持っていなくて、自分たちにあるものは何なのかということです。僕の場合たまたまクリーンテックっていうすげー波が来て、電池だ、ソーラーだ、電気自動車みたいな話になったんで、ニックってそういえばいたなと。その頃自動車メーカーでシリコンバレーにオフィスを持っている会社ってそんなになかったんです。ですので、いろいろ・・・

傍島:そんな前の話なんですね、環境とかね。まさに今話題のカーボン何とかとかって話題になっていますけど、それぐらい前からやってらっしゃったんですね。

杉本:ラッキーな部分もありますけどね。

文葉:でも、いつそういうお名前を思い出してもらえるかわからないので、やっぱり種まきは一生懸命しておかないといけないですよね。

杉本:もう死ぬほどネットワーキングに行きましたよ。

文葉:そうですよね。行動あるのみ、みたいなところもありますよね。ありがとうございます。もう1つ、「ホンダさんは日本企業の中で、唯一航空産業で成功した企業と言われていますが、スターウォーズに出てくるミレニアムファルコンとか、スタートレックに出てくるエンタープライズのような核融合エネルギー、プラズマエネルギーを利用した宇宙船を設計製造する予定はありますか」っていうご質問もありますが・・・壮大な話で(笑)

杉本:宇宙も興味ありますっていうのは、先日発表した中に入っていて、宇宙は興味ありますよ。核融合までやるかどうかはちょっとわかりませんけど(笑)まだ研究段階なのでそんな事業になるかどうかわからないですけど。

文葉:そうですよね。ホンダさんはいろんな技術領域持ってらっしゃるので、もしかしたらいつかそういうところでのニュースが出てくるかもしれないですよね。

杉本:かもしれない。

最後に

文葉:ありがとうございます。残り時間わずかなので最後杉本さんから一言メッセージいただき、事務局側からご案内して終了とさせていただければと思うのですが、杉本さんぜひシリコンバレーにいながら感じておられることとか一言いただければと思います。

杉本:はい。ホンダって規模でいうとトヨタとかフォルクスワーゲンとか、そういう世界の大手の半分ぐらい、小さな会社で同じようなことをやりたいとは全く思ってなくて、やっぱりちょっと違うやり方とか独創的なアイディアとか、そういうもので世界を変えたいみたいな。そういう意味では、すごくベンチャー的なDNAがある会社だなっていうんで、入る前もそう思ってましたし、入ってからも実感してます。ですので、そういうベンチャーコミュニティーとしっかりネットワークを作って一緒に「ユナイテッドドリームス」って書きましたけど、一緒に夢を叶えていくってことをやりたいなと思ってます。

文葉:はい。杉本さん、ありがとうございます。ということでちょうど1時になりましたので、今日のゼロワンエキスパートピッチ終了とさせていただきたいと思います。杉本さん、傍島さん、ありがとうございました。

杉本、傍島:ありがとうございました。

以上

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