シリコンバレー奮闘記Midori2026.10.22読了 約7分

社会保障庁からメールが届いた。アメリカの子ども約7,000万人に「トランプ口座」ができていた話

この記事の要点

  • アメリカの子ども約7,000万人に、国が投資口座「トランプ・アカウント」を自動で用意した
  • 親がクレームすると口座を管理でき、2025〜2028年生まれの米国市民の子どもは1,000ドルを受け取れる
  • 18歳になる年の1月1日までは原則として引き出せない

2026年10月20日、アメリカの社会保障庁(Social Security Administration)から1通のメールが届きました。

件名は “Giving America’s Children a Stake in the American Dream”。「アメリカの子どもたちに、アメリカンドリームの持ち分を」といった意味です。

本文には「約7,000万件のトランプ・アカウント(Trump Accounts。日本の報道では「トランプ口座」)が、すべてのアメリカの子どものために開設されています」とあります。

子どもの名前で、国が投資口座を用意した。そんな話です。

まず、本物かどうかを確かめました

アメリカでは、社会保障庁をかたる偽メールが出回っています。社会保障庁の監察官室は2026年2月にも、「明細書をダウンロード」型の偽メールが急増していると注意喚起を出していました。

なので、内容より先に送信元を見ました。

  • 送信元のアドレスは Information@update.ssa.gov。末尾が .gov です
  • Gmailの詳細表示で、署名元が update.ssa.gov になっていました
  • 同じ送信元から、2026年2月と7月にも社会保障庁の案内が届いていました
  • メールが求めているのは、公式アプリストアからアプリを入れることだけ。案内先は公式サイトの TrumpAccounts.gov です

本物でした。

何が起きているのか(2026年10月時点)

時系列で整理すると、こうなります。

  • 2025年7月:税制法(通称 One Big Beautiful Bill Act。政権は Working Families Tax Cuts と呼んでいます)が成立し、子ども向けの投資口座「トランプ・アカウント」が創設されました
  • 2026年7月4日:財務省が、対象の子どもへの1,000ドルの入金を始めました
  • 2026年10月1日:財務省が「自動開設の完了」を発表。18歳未満で有効な社会保障番号(SSN)を持つ子ども6,000万人超に口座が用意されました
  • 2026年10月7日:ホワイトハウスが「約7,000万口座」と発表。7月4日からこの日までに、全米の口座に実際に入金されたお金は合計45億ドルにのぼります。内訳は、国の1,000ドル分が13億ドル、親や親戚などが自分の財布から入れたお金が6億ドル、企業や篤志家からの寄付が26億ドルです

つまり、親が何もしなくても、条件に合う子どもの口座はすでに「ある」状態です。

仕組みはこうなっています

公式サイトと内国歳入庁(IRS)の案内から、要点だけ書きます。

  • 口座は自動で用意されていますが、親や法定後見人が「クレーム(受け取り手続き)」をすると、口座を管理でき、家族や友人、勤務先からの入金を受けられるようになります。手続きは公式アプリ「Trump Accounts」で、本人確認と親子関係の確認をします
  • 国からの1,000ドルは、2025年1月1日〜2028年12月31日生まれの米国市民の子どもが対象です。クレームのときに受け取りを選択する仕組みになっています
  • 家族や友人などからの入金は年5,000ドルまで。勤務先からの拠出は従業員1人につき年2,500ドルまでで、この5,000ドルの枠に含まれます
  • 一定の非営利団体や自治体などからの寄付(制度上の「適格一般拠出」)は、この5,000ドルとは別枠です。デルの創業者夫妻は62億5,000万ドルを拠出し、最大2,500万人の子どもに250ドルずつ入れると発表しています
  • お金は自動で、S&P500に連動する指数ファンドで運用されます。手数料は年0.1%以下です
  • 18歳になる年の1月1日までは原則として引き出せません。それ以降は通常の伝統的IRA(個人退職口座)のルールが適用され、引き出すお金の種類によって税金がかかる場合があります

社会保障庁は、新生児に社会保障番号のカードを送るときに、この口座の案内を同封し始めたと2026年10月20日に報じられています。

図解:トランプ口座の仕組み(対象・1,000ドル・積立・運用・引き出し)
図解:トランプ口座の仕組み(2026年10月時点)

わが家は対象外でした

わが家の子どもはすでに成人なので、残念ながら対象外です。

ただ、アメリカで子育て中の日本人のご家庭には、意外と関係のある話だと思います。

  • アメリカで生まれた子どもは米国市民なので、2025年以降に生まれていれば1,000ドルの対象になる仕組みです
  • 口座そのものは「18歳未満で有効なSSNがある子ども」が対象です。日本生まれで米国市民でない子どもは、1,000ドルの対象には入りません
  • 手続きをする親の側は、米国市民でなくてもかまいません。申請フォームには、親のSSNまたは納税者番号(ITIN)を書く欄があります

10年前にこの仕組みがあったら、わが家もきっと家族LINEで盛り上がっていたと思います。

国が子ども全員に投資口座を用意する。日本では聞いたことのない発想で、「アメリカらしいな」と感じた出来事でした。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的・税務的助言や投資助言を提供するものではありません。個別の事案については、適切な資格を有する専門家にご相談ください。

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