アメリカの常識2026.09.30読了 約8分

保険を使わなくても毎月500ドル?アメリカの自営業者の医療保険

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保険を使わなくても毎月500ドル?アメリカの自営業者の医療保険|日本人が知らないアメリカの常識


保険を使わなくても毎月500ドル?アメリカの自営業者の医療保険|日本人が知らないアメリカの常識

この記事の要点

  • 勤め先などの保険がないアメリカの自営業者は、医療保険を自分で選んで加入し、補助がなければ保険料も全額自分で払います。
  • 保険料は年齢で変わり、サンタクララ郡の同じプランでも40歳の月約500ドルに対し、60歳は約1,050ドルです(2026年・補助前)。
  • ブロンズ〜プラチナの区分の違いは医療の質ではなく、医療費全体でみて保険が払う割合の目安(60〜90%)です。


アメリカの会社員が入る医療保険は、多くの場合、勤め先が用意したもので、保険料の大部分を会社が払います。一方、勤め先などを通じた保険がない自営業者は、自分で保険を選んで加入し、補助がなければ保険料も全額自分で払います。

カリフォルニア州の公的な保険の窓口であるCovered California(カバード・カリフォルニア)の2026年の料金表では、シリコンバレーのあるカリフォルニア州サンタクララ郡(サンノゼ市やグーグル本社のあるマウンテンビュー市などを含む郡)に住む40歳が1人で保険に加入する場合、保険料が比較的安い「ブロンズ」という区分(詳しくは後で説明します)の中でいちばん安いプランでも毎月約500ドルです。病院に一度も行かない月も、この額を払います。

日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでの回は連載のページにまとめています。

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会社員は保険料の多くを会社が払う

カリフォルニア・ヘルスケア財団の2025年の調査では、州内で勤め先の保険に1人で入っている会社員の保険料は、年平均10,033ドル(月約840ドル)でした。このうち、本人が負担する割合は平均14%で、残りは会社が負担しています。



自営業者は自分で選んで買う

勤め先の保険がない自営業者は、州や国が運営する保険の窓口(マーケットプレイス)で、自分で保険を選んで加入できます。カリフォルニア州では、冒頭のCovered Californiaがこの窓口です。

会社を辞めたあとに会社の保険を自己負担で続ける仕組み(COBRA)については、解雇された翌日の回で解説しています。

保険料の決まり方も日本と違います。日本の多くの自営業者が入る国民健康保険の保険料は、世帯の所得や加入する人数などをもとに、市町村が条例で定める方法で計算されます。一方、カリフォルニア州の法律は、同じ個人向けプランであれば、加入者によって保険料を変えてよい要素を、「年齢」「住む地域」「1人か家族か」の3つに限っています。収入はこの中に入っていません。

このうち年齢による差は大きく、州の法律は、21歳以上では年齢による保険料の差を最大3倍までと定めています。冒頭のプラン(ブロンズの中でいちばん安いもの)は、40歳の月約500ドルに対し、50歳は約690ドル、60歳は約1,050ドルです(2026年の料金表・補助を受ける前)。

保険料は年ごとにも改定されます。Covered Californiaの発表では、サンタクララ郡の保険料は、前の年と比べた平均で、2024年から4年続けて値上げになっています(2027年は予定)。

加入する年前の年と比べた平均の改定率(サンタクララ郡)
2024年8.9%の値上げ
2025年8.5%の値上げ
2026年12.4%の値上げ
2027年(予定)11.3%の値上げ

収入が関わるのは、国の補助(保険料税額控除)を受けられるかどうかです。この補助には、もともと収入の上限があります。米内国歳入庁(IRS)の説明では、2021年から2025年までは、この上限が一時的になくなっていました。新型コロナウイルス対策として2021年に成立した法律(米国救済計画法)で始まった特例です。特例は延長されず、2026年は再び、収入が一定の水準を超えると補助を受けられません。冒頭の約500ドルは、補助を受ける前の金額です。



ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナとは

自分で保険を買うときは、主にブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの4つの区分から選びます。オリンピックのメダルのような名前ですが、HealthCare.govは、区分の名前は医療の質とは関係がないと説明しています。どの区分のプランでも、外来、救急、入院、出産、処方薬など、法律で定められた10分野の基本的な医療が保険の対象になります。

違うのは、医療費のうち保険が払う割合の目安です。ブロンズは60%、シルバーは70%、ゴールドは80%、プラチナは90%で、残りを本人が払います。ただし、病院にかかるたびにこの割合で払うという意味ではなく、平均的な加入者の1年間の医療費全体でみた目安です。実際の本人負担は、免責額(保険が払い始める前に本人が払う額)や定額の自己負担など、プランによって異なります。



保険会社とプランも自分で選ぶ

同じ区分の中にも、保険会社ごとに複数のプランがあります。Covered Californiaの2026年の料金表では、サンタクララ郡で4社がプランを出しています。選んだ保険会社やプランによって、保険料や、保険を使ってかかれる医師や病院が違います。

サンタクララ郡に住む40歳が1人で保険に加入する場合の、区分ごとの月額の幅(2026年の料金表・補助を受ける前)は次のとおりです。負担の割合は、医療費全体でみた平均的な目安です。いちばん安いプラン同士で比べると、保険料はブロンズからプラチナの順に高くなっています。

区分医療費全体でみた負担の目安(平均)毎月の保険料(いちばん安いプラン〜いちばん高いプラン)
ブロンズ保険60%・本人40%492〜889ドル
シルバー保険70%・本人30%619〜1,098ドル
ゴールド保険80%・本人20%637〜1,326ドル
プラチナ保険90%・本人10%754〜1,804ドル

日本では、どの健康保険に入っていても、窓口で払う割合は年齢などで決まり、小学校入学前の子ども(2割)を除いて、70歳未満は3割です。この3割は受診のたびに窓口で払う割合で、アメリカの区分の割合とは計算の仕方が違うため、数字をそのまま比べることはできません。アメリカでは、どの区分の、どの保険会社のプランにするかを本人が選びます。その選択によって、毎月の保険料と、病院にかかったときの負担の大きさが変わります。

大人の歯科と眼科の保険は、カリフォルニア州の公的な保険の販売サイトでは医療保険とは別に申し込みます。詳しくは歯科・眼科の保険の回で解説しています。

なお、本記事の内容は2026年9月時点のものです。保険料や補助の条件は、年ごとに改定されます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を提供するものではありません。個別の事案については、適切な資格を有する専門家にご相談ください。



情報源

Covered California – Data and Research(2026 QHP Individual Product Prices=2026年の料金表を掲載)

Covered California – Health Plans and Rates for 2024(2023年7月25日)

Covered California – Rates and Plans for 2025(2024年7月24日)

Covered California – Rates and Plans for 2026(2025年8月14日)

Covered California – Rates and Plans for 2027(2026年7月21日)

HealthCare.gov – Health plan categories: Bronze, Silver, Gold & Platinum

米メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS) – Essential Health Benefits, Actuarial Value, and Accreditation(ファクトシート)

HealthCare.gov – What Marketplace health insurance plans cover

HealthCare.gov – Health insurance plan & network types

カリフォルニア州議会 – Health and Safety Code §1399.855(法律本文)

カリフォルニア州議会 – Insurance Code §10965.9(法律本文)

HealthCare.gov – Health coverage for the self-employed

米内国歳入庁(IRS) – Questions and answers on the Premium Tax Credit

米財務省 – About the American Rescue Plan

米メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS) – Inflation Reduction Act Tax Credits Improve Coverage Affordability for Middle-Income Americans(2022年8月10日)

KFF – 2025 Employer Health Benefits Survey

カリフォルニア・ヘルスケア財団(CHCF) – California Health Benefits Survey 2025

厚生労働省 – 国民健康保険の保険料・保険税について

厚生労働省 – 窓口負担割合等のご相談窓口について

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アメリカで働く・暮らすときの前提を、日本との違いから1本1テーマで解説しています。

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