テックニュース2026.09.16読了 約5分

VWの超高効率EV試作車、途中充電1回で1,278km走破 空気抵抗係数0.158

VWの超高効率EV試作車、途中充電1回で1,278km走破 空気抵抗係数0.158


Mission Efficiency VWの超高効率EV試作車、途中充電1回で1,278km走破 空気抵抗係数0.158


ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は2026年9月14日、電力の消費を極限まで抑えた電気自動車(EV)の試作車「Mission Efficiency」を公開しました。

VWの本社があるドイツ北部の都市ヴォルフスブルクから、オーストリアの首都ウィーンまでの1,278kmを途中1回の充電で走り切り、到着時にはなお164kmの航続距離が残っていました。

VWは空気抵抗係数0.158を含む3つの世界記録を掲げていますが、量産の計画は示していません。



3つの世界記録と1,278kmの走行テスト

VWが世界記録とするのは、公道走行が認められた車としての空気抵抗係数0.158、時速68kmの定速走行で測った理想条件の電費6.48kWh/100km、そして同クラスで最も経済的な量産直前のEVという3点です。

走行テストは、ドイツのヴォルフスブルクからポーランドのポズナン、チェコのオロモウツを経て、オーストリアのウィーンに至る1,278.36kmで行われました。実測の電費は充電時のロスを含めて7.51kWh/100km(ロスを除くと6.89kWh/100km)です。

平均速度は時速67.72km、最高速度は時速138kmでした。正味54.9kWhの電池を途中で1回だけ充電し、到着時に164.0kmの航続距離を残しています。

欧州の公式基準(WLTP)での電費は8.4kWh/100kmです。VWは、時速80km以上の領域では量産車のID. Poloより30%以上少ないエネルギーで走るとしています。



「量産に近い」が量産計画はなし——VWが示した位置づけ

VWはMission EfficiencyをEUの公道走行認可を得た「量産に近い」試作車と呼んでいますが、生産の時期や台数は発表していません。VWブランドのトーマス・シェーファーCEOは、電動化の時代にVWを特徴づけるのは「一部の人ではなく大衆のための技術」だと述べています。この車はそれを示す理想的な方法だとしています。

VWは、2013年に発表したプラグインハイブリッド車XL1を当時世界で最も経済的な量産車と位置づけており、Mission Efficiencyはそれに続く効率追求のモデルです。

VWは2026年5月に米Rivianの筆頭株主 になるなど、EV分野への投資を続けています。電費が良ければ同じ航続距離をより小さな電池で走れるため、ここで示した技術がどこまで量産車に移るかが問われます。



効率を生んだ設計——持ち込み端末の室内、涙滴形の車体、太陽電池

室内にはインフォテインメント画面がありません。省いたスピーカーの代わりに持ち運べるBluetoothスピーカーを置き、利用者が自分の端末を持ち込む「Bring your own device」の考え方を採っています。TechCrunchは、車載画面を持たず利用者のスマートフォンを使う米国のEVスタートアップSlate Autoのピックアップトラックと同じ発想だと指摘しています。

駆動系はID. PoloとID. Crossに使う量産技術を流用し、99kW(135PS)のモーターと電池を前輪駆動のMEB+プラットフォームに載せています。全長4,775mm、全高1,392mmの2+2シーターで、後席は身長約1.60mまでの乗員を想定し、荷室は481リットルです。

車体は空気の流れに合わせた涙滴形です。前面投影面積は2.08平方メートルで、空気の流れを整える特許取得のホイールデフレクターを備え、後輪の軸はID. Poloより170mm狭めています。

タイヤはContinentalのEcoContact 7をもとにした専用品で、転がり抵抗は1トンあたり4.9kgと、EUの最上位クラスAの基準を約25%下回ります。屋根とテールゲートには出力370Wの太陽電池を組み込み、季節や地域、天候によって1日あたり最大30kmの航続距離を上乗せします。

比較の目安として、米国の環境保護庁(EPA)の基準で最も効率が高いとされるLucid Air Pureを見ます。84kWhの電池で420マイル(約676km)を走り、1kWhあたり5.0マイルです。測定方法が異なるため単純には比べられませんが、TechCrunchはMission Efficiencyの効率をこの約2倍と評価しています。



今後の注目点

Mission Efficiencyの生産の有無や時期、台数は公表されていません。ID. PoloやID. Crossと共通のMEB+を使っているため、ホイールデフレクターや低転がり抵抗タイヤなどの要素が量産車に採用されるかが確認点です。

XL1のように少量生産に踏み切るのか、技術の実証にとどめるのかについても、VWは明らかにしていません。



情報源

Volkswagen Newsroom – Mission Efficiency: Volkswagen presents the world’s most efficient near-production electric car

Volkswagen Newsroom – At a glance: Mission Efficiency

Lucid Motors – 5.0 miles/kWh: Say Hello to the World’s Most Efficient Car

TechCrunch – Volkswagen’s crazy-efficient EV borrows an idea from Slate


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