Lucid Motors、2026年 生産台数の業績見通し(ガイダンス)を撤回。新CEO体制で再起動
2026年5月6日

米国の高級EV(電気自動車)メーカー Lucid Motors が、2026年の生産台数の業績見通し(ガイダンス)を撤回しました。
新しいCEO(最高経営責任者)への交代と、全社的なコスト削減という大きな転換期に入っています。
ガイダンス撤回の中身
Lucid Motorsは2月時点で、2026年通期に2万5000〜2万7000台を生産する計画を発表していました。これは2025年の約1万8000台から大幅な引き上げだったものの、2021年の上場時に同社が示した「年間数十万台」という規模からは遠い数字です。
今回、第1四半期決算カンファレンスでCFO(最高財務責任者)の Taoufiq Boussaid が、この生産見通しを撤回すると説明しました。Boussaid氏は「経営判断として」と述べ、新たに就任予定のCEO Silvio Napoli が事業全体の見直しを進めていることを理由に挙げています。完全な見通しの再提示は、第2四半期決算時の予定です。
12%人員削減と29日間の生産停止が背景
このガイダンス撤回の背景には、複数の要因が重なっています。
まず数か月前に同社は従業員の12%にあたる人員整理を実施。今回の決算で、この人員削減は短期的に約4000万ドルのコストになる一方、数年間で最大5億ドルの節減につながると説明されました。
さらに第1四半期は、座席部品の供給メーカーの問題により29日間の生産停止と一時的な販売停止が発生。これが在庫を膨らませ、当面は需要に先行した在庫を作らない方針が打ち出されています。Boussaid氏は「我々は生産能力に制約されているのではなく、需要に先行して在庫を作らないという自らの規律に制約されている」と述べました。
中型EV量産と自動運転タクシー計画は維持
業績見通しは撤回されたものの、年内に始まる予定だった戦略的プロジェクトの大枠は維持されています。
Lucid Motorsは年内にも、価格5万ドル以下の初の量産型車両(中型プラットフォーム)の生産を開始する予定。同社は今回の決算でも「中型車両の量産立ち上げは2027年に向けて軌道に乗っている」と表明しています。
さらに、配車サービスのUberおよび自動運転スタートアップのNuroと組む自動運転タクシー(Robotaxi)サービスも年内ローンチ予定。Gravity SUVの自動運転対応版が使われる計画で、2026年第4四半期に道路走行可能な版の生産を開始する見通しです。
米国EV市況の踊り場を象徴
Lucid Motorsの今回の動きは、米国EV市場全体が踊り場に差し掛かっていることを象徴します。
新興EVメーカーは、生産能力の積み上げと販売拡大の両立に苦戦している状況です。在庫過多 → 生産調整 → 上方修正の見通し撤回というサイクルは、Tesla以外のEVプレーヤーが一様に直面している課題です。
新CEO Silvio Napoli が掲げるのは「シャープな焦点と、一貫した実行、特に簡素化・優先順位付け・スピード」。経営の言葉として常識的ですが、これまで「ハイエンドの技術差別化」を掲げてきたLucidが、量産規律と需要に合わせた生産にシフトする転換点とも読めます。
この記事からわかること
・Lucid Motorsは2026年の生産ガイダンス(2.5〜2.7万台)を撤回し、第2四半期決算で再提示する予定。
・12%人員削減と29日間の生産停止による在庫過剰が背景にあり、新CEO Silvio Napoli が事業全体を見直し中。
・中型量産車(5万ドル以下)の2027年量産立ち上げ、UberとNuroとの自動運転タクシー年内ローンチ計画は維持されている。
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