テックニュース2026.06.03読了 約5分

核融合のThea Energyが1億ドル調達、出光興産も出資

核融合のThea Energyが1億ドル調達、出光興産も出資


核融合のThea Energyが1億ドル調達、出光興産も出資


核融合発電の実用化を目指す米スタートアップ、Thea Energy(シア・エナジー)が、1億ドルのシリーズB資金調達を実施しました。今回の調達には、日本の出光興産も出資しています。

核融合は、太陽の中で起きている反応と同じ仕組みでエネルギーを生み出す技術です。実現すれば、二酸化炭素をほとんど出さずに、大量の電力を安定して生み出せる可能性があります。

一方で、核融合を発電に使うには、1億度を超えるような超高温の燃料を安定して閉じ込める必要があります。この超高温の燃料は「プラズマ」と呼ばれ、普通の容器では閉じ込められません。そこで重要になるのが、強力な磁石です。

Thea Energyは、この磁石をソフトウェアで細かく制御する独自の方法で、核融合の実用化を目指しています。

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Thea Energyが調達した1億ドルの使い道

発表によれば、今回のシリーズBは募集枠を上回る応募が集まり、総額1億ドルにのぼりました。調達を主導したのは、トーマス・タル(Thomas Tull)氏が率いる米投資ファンドU.S. Innovative Technology Fund(USIT)です。

出資には、日本の出光興産のほか、既存投資家であるHitachi Ventures(日立グループのベンチャー投資部門)やLowercarbon Capitalなども参加しました。同社は2024年初めに2000万ドルのシリーズAを実施しており、今回の調達で累計の民間投資額は1億3000万ドルになりました。

資金は、超伝導磁石の製造能力を高めるための米ニュージャージー州北部での第2拠点整備、実証装置「Eos(イオス)」の建設、そして人員の倍増に充てられます。



「ピクセル」のように磁石を制御する技術

Thea Energyの特徴は、磁石の使い方にあります。

核融合では、超高温のプラズマを磁石の力で閉じ込めます。プラズマは熱すぎるため、金属などの容器に直接触れさせることはできません。そのため、磁場を使って宙に浮かせるように閉じ込める必要があります。

Thea Energyは、多数の小さな磁石を並べ、それぞれをソフトウェアで細かく調整します。同社はこの仕組みを、画面を構成する「ピクセル」にたとえています。

スマートフォンやテレビの画面は、小さなピクセルが集まって1枚の画像をつくっています。それと同じように、Thea Energyは小さな磁石を細かく制御することで、プラズマを閉じ込めるための複雑な磁場をつくろうとしています。



なぜこの技術が重要なのか

Thea Energyが採用しているのは、「ステラレータ」と呼ばれる核融合炉の方式です。

ステラレータは、プラズマを比較的安定して閉じ込めやすい方式とされています。一方で、プラズマをうまく閉じ込めるには、非常に複雑な形の磁場をつくる必要があります。そのため、従来は磁石や装置の形も複雑になり、製造が難しくなりやすいという課題がありました。

Thea Energyは、この課題をソフトウェア制御の磁石で解決しようとしています。最初から複雑な形の磁石をつくるのではなく、比較的つくりやすい磁石を組み合わせ、ソフトウェアで細かく調整することで、必要な磁場をつくろうとしているのです。

イメージとしては、1つの巨大で複雑な部品をつくるのではなく、小さな部品をたくさん並べて、コンピューターで全体を調整する方法です。Thea Energyがこの仕組みを「ピクセル」にたとえているのは、そのためです。

ただし、この方法が本当に大きな核融合炉でもうまく機能するかは、まだ実証が必要です。実験室レベルでは有望でも、大型装置で同じように製造しやすく、安定して動かせるかが今後の焦点になります。



商用化はいつごろか

Thea Energyは、実証装置Eosを2030年に、商用炉「Helios(ヘリオス)」を2034年に稼働させることを目指しています。

この時間軸は、競合のCommonwealth Fusion Systemsがバージニア州で進める実証炉「Arc」の計画とも近い水準です。核融合スタートアップの間では、2030年代前半に実証レベルの成果を出せるかが大きな焦点になっています。

ただし、核融合は実用化までに巨額の資金と長い時間を必要とする分野です。今回の資金調達は大きな前進ですが、すぐに発電所ができるわけではありません。

今後は、2030年を目指す実証装置Eosの建設が予定通り進むか、そしてThea Energyの磁石技術が大きな核融合炉でも通用するかが注目されます。



情報源

GlobeNewswire – Thea Energy Raises $100 Million Series B Funding to Build Scalable Fusion Power Plants

出光興産公式リリース(PR TIMES配信)- フュージョン(核融合)発電の商業化に取り組むThea Energy社に出資

Bloomberg – Thea Energy Raises $100 Million to Build Fusion Power Prototype

TechCrunch – With a new $100M raise, Princeton’s Thea Energy is now a top-funded fusion startup


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