テックニュース2026.09.02読了 約4分

AIエージェントの拡張機能を審査、AIRが5,000万ドル調達

AIエージェントの拡張機能を審査、AIRが5,000万ドル調達


AIエージェントの拡張機能を審査、AIRが5,000万ドル調達


AIエージェントが利用する「スキル」や「MCPサーバー」などの拡張機能を審査するセキュリティ企業AIRが、9月1日にステルス状態を解除し、事業を公開しました。

TechCrunchによれば、同社は2回のシードラウンドで計5,000万ドルを調達しています。

AIエージェントの普及とともに、拡張機能の供給網そのものが新しい攻撃対象になりつつあり、それを守る市場が立ち上がっています。



AIRの製品と5,000万ドル調達の中身

TechCrunchによれば、AIRはイスラエル軍の情報部門「8200部隊」で攻撃側のサイバーセキュリティに従事したYair Saban氏(CEO)とNiv Hoffman氏(CTO)が創業しました。

製品は、社内で稼働するAIエージェントを洗い出し、エージェントが使うスキル・ツール・MCPサーバーを継続的に審査し、セキュリティ基準を満たさない外部ソースとのやり取りを遮断する構成です。審査済みの拡張機能を集めたマーケットプレイスも提供しています。

Saban氏がTechCrunchに語ったところでは、シードの1回目はSequoiaがリードして1,000万ドル、2回目はGreenoaksがリードして4,000万ドルで、2つのラウンドは短い間隔で相次いでクローズしました。



公式MCPレジストリで155件、自社調査「MCPJacking」

AIRは8月27日、MCPサーバーの公式レジストリ「Official MCP Registry」で、乗っ取り可能な状態のMCP登録を155件発見したとする自社調査「MCPJacking」を公開しました。MCPサーバーのコードそのものの欠陥ではなく、レジストリに残った登録エントリーが期限切れのドメインを参照している問題です。

AIRによると、期限切れのドメインを取得し直して自前のMCPサーバーを置くことで、その登録情報を信頼して接続するエージェントに対し、遠隔からプロンプトを実行できたとしています。



スキルとMCPが「新しい攻撃対象」になる構造

AIエージェントは、スキルやプラグイン、MCPサーバーといった拡張機能を通じて社内システムやインターネットに接続します。攻撃者にとっては、エージェント本体を直接攻撃しなくても、エージェントが読み込む情報や利用する外部ツールを汚染することが攻撃経路になり得る構造です。

Saban氏は、OSのドライバーで署名による検証が一般化した経緯を引き合いに、スキルやプラグインには同等の署名の仕組みがまだないと指摘しています。

また同社は、オンラインで見つかるスキルやアドオンの約27%を審査で除外しているとSaban氏は述べています。AI供給網への攻撃の実例は関連記事でも解説しています:OpenAI、Hugging Face侵害の公式報告書を公開



競合がひしめくエージェントセキュリティ市場

この分野にはすでに複数の競合がいます。TechCrunchによれば、Noma SecurityやZenity、Astrix Security、Operant AIなどが近い領域で製品を提供しており、Zenityは2026年8月に1億2,500万ドルのシリーズC、Nomaは2025年に1億ドルのシリーズBを調達しています。

第1ラウンドをリードしたSequoiaのパートナーBogomil Balkansky氏は、TechCrunchへの声明で、単発のスキャンではなく、変更のたびに全社のエージェントが触れる拡張機能を検査し直す継続的な再検証の基盤が参入障壁になるとの見方を示しています。

Saban氏は、AIラボやAIサービスの提供企業がいずれ安全機能を組み込むとしても、複数ベンダーを横断して機能する独立製品の需要は残るとみています。



今後の注目点

顧客は20社を超え、約4分の1が大企業だとしています。金融サービスや製薬など、規制の厳しい業界からの需要が特に強いといいます。従業員は約40人と報じられています。

調達資金の使途は、研究者の採用と、米国・欧州での事業展開体制の強化とされています。エージェント基盤を提供する各社が、拡張機能の審査をどこまで標準機能として組み込むかは現時点で明らかになっていません。

Zenity、Nomaなど競合の大型調達も続いており、規制の厳しい業界を中心にどの企業が顧客基盤を広げるかが次の論点になります。



情報源

AIR – AIR is Coming Out of Stealth

AIR – MCPJacking: 155 Hijackable MCPs Discovered Live in the Official MCP Marketplace

Model Context Protocol – The MCP Registry

TechCrunch – AIR raises $50M to help companies vet the skills and add-ons AI agents use


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