韓国LetinARがAIグラス光学部品で1850万ドル調達、日本企業にも供給
2026年5月19日

韓国のスタートアップLetinARが、AIスマートグラス向けの光学部品で1850万ドル(約28億円)を調達しました。
日本のNTT QONOQ Devicesや東芝のPC事業を引き継いだDynabookなどに既に部品を供給しており、2027年の韓国IPO(株式新規公開)を視野に入れています。
メタやサムスンなど大手のAIグラス参入が相次ぐ中、光学部品サプライヤーの存在感が高まっています。
1850万ドルを集めたLetinARと独自技術PinTILT
LetinARは2016年にCEOのキム・ジェヒョク(Jaehyeok Kim)氏とCTOのハ・ジョンフン(Jeonghun Ha)氏が共同で設立した、AR(拡張現実)光学技術のスタートアップです。今回の調達はKDB(韓国産業銀行)と韓国ロッテグループのベンチャー投資部門ロッテベンチャーズが中心となり、累計調達額は4170万ドルに達しました。過去にLetinARへ出資していたLG電子は、その後自社でAIスマートグラスの開発に着手したと現地メディアが報じています。
同社の中核技術はPinTILTと呼ばれる光学設計です。レンズ内部に微小な光学素子を配置し、光をユーザーの眼に直接届ける構造になっています。既存技術と比較すると、waveguide方式は薄型化はできるものの光が分散して暗くなりやすく電池消費が大きい、birdbath方式は明るいものの嵩高で通常のメガネ形状に収まらないという課題があります。PinTILTはその中間を狙い、薄く軽くて明るい映像を低消費電力で実現するとしています。
AIグラス市場の急成長と部品サプライヤーの競争
調査会社Omdia(オムディア)によれば、AIグラスの世界出荷台数は2025年に870万台に達し、前年比300%超の伸びを記録しました。同社のアナリストは2026年に1500万台を超えると予測しています。
市場が立ち上がる中、大手の参入も相次いでいます。メタは2023年からRay-Banブランドの AI搭載グラスを販売、グーグルはAndroid XRを開発中、アップルの市場参入も予想されています。サムスンはアイウェアブランドGentle Monsterと共同設計したAI対応スマートグラスを、7月のロンドン開催のGalaxy Unpackedで初披露すると報じられています。中国でも、ファーウェイ、アリババ、シャオミなどが動いています。
光学モジュールを供給する側もWaveOptics、DigiLens、Lumusなど競争相手が並びます。LetinARは韓国・日本に強い顧客基盤を持つことで差別化を図っています。
日本企業との取引と次世代AIグラスの研究開発
LetinARは、日本のNTT QONOQ DevicesとDynabook(旧東芝クライアントソリューションズ)を顧客に持ち、量産経験を蓄積しています。
さらに、スイスのディープテック企業Aegis Riderにも光学モジュールを供給しています。Aegis RiderはスイスのETHチューリッヒ・コンピュータビジョン研究室からのスピンアウトで、AI搭載ARヘルメットを開発する企業です。バイクのライダーの視界に、ナビゲーション・速度・安全警告を実際の道路上に重なるように表示するシステムを、EUおよびスイス市場で2026年に投入予定としています。
LetinARはBig Tech企業とも次世代AIグラスの研究開発を協議していますが、社名は明かしていません。今回の調達資金は、AIグラス市場が早期採用層から量産フェーズに移行するタイミングでのスケールアップに充てられます。
今後の注目点
LetinARが協議中とするBig Tech企業の社名や、2027年に予定されている韓国IPOの進捗は現時点で明らかにされていません。サムスンが7月のGalaxy Unpackedで披露するとされるAIスマートグラスの仕様、Aegis RiderのAR搭載ヘルメットの2026年欧州投入時期、そしてアップルの市場参入時期も、今後の市場の方向性を左右する論点となります。
情報源
South Korea’s LetinAR is building optics behind AI glasses(TechCrunch)
Aegis Rider公式サイト(AR搭載バイクヘルメット)
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