以前も書いたのだが、我が家はアメリカに来て以来、大家に対して良い思い出があまりない。1軒目も2軒目の大家もマーケットの状況に応じて、至極当然のごとく1ヶ月500ドル以上の値上げをしてきた。2軒目の家の大家は、パンデミック中の2020年10月に「家を売りたいので、今住んでいる家を買うか、出て行くか決めてほしい」と言ってきた。

当時アメリカは家のローン金利が2〜3%ぐらいまで下がっており、私たち一家が住む地域では需要が供給を大きく上回り、高値で家の取り引きがされていたので、大家も今が売り時と考えたようであった。お陰で我が家は人との接触を避けるようにしなくてはならなかった時期にマスクをしながら家探しする羽目になったのだが、彼らには「家を借りている側の身になって考える」という発想はどうやらないらしい。

よく「日本人はお人好し」と言われるが、私もアメリカに来てからさまざまな場面でそれを痛感させられることが多い。どんなに綺麗に家を使っていようと、大家と仲良く付き合っていようと、これはビジネス。おそらく日本人だったらしてこないだろうということを言ってきたり、やってきたりするので、こちらもだいぶ強くなった。

若い頃に「アメリカ人の弁護士の友人に、プライベートな集まりの時にちょっとした法律関係の相談をしたら、後から数百ドルの相談料の請求書が送られてきた」という笑えない話を聞いたことがある。当時は「冗談でしょ?」という気持ちだったが、現在ではそういうこともあるかもしれないと思うようになった。

3軒目の家となる現在の家には2020年11月下旬に引っ越してきた。家の契約や更新、修理依頼など、それまでは大家と直接のやり取りだったのが、今回の家は大家が利用している不動産屋と連絡を取ることになった。それまで借りていた家は毎月家賃を小切手で大家に送付していたのが、現在の家はアプリで毎月家賃を自動引き落としに設定できたり、大家の顔色を伺う必要なく、家の修理依頼を事務的に不動産屋にすることができるので、心の負担がかなり軽くなった。

そんなわけで、今の家に住み始めてから約2年間、一度も大家に会うことなく過ごしていたのだが、なんと2週間前に何の前触れもなく大家が訪問してきた(→驚くからやめてほしい)。訪問の理由としては、家に備わっている「隠し金庫」の鍵(ダイヤル式)を持ってきたとのことだったのだが、こちらにしてみれば「なぜ今頃?」という感じである。隠し金庫があるのは入居前に不動産屋から聞いていたが、一度も使ったことがなく、特に鍵を要求したこともなかった。

そして本日、不動産屋から家賃の値上げの通知を受け取った。12月から家賃を270ドル値上げるとのこと。これまでの家賃が$5,400だったので、5%の値上げである。通知は至って事務的で、こちらがあたかも普通にOKするかのような書かれ方であった。インフレで物価上昇してるんだから、当たり前でしょといった感じか。我が家としては新しい家賃$5,670を払って今の家に住み続けるか、引っ越すかを決める必要があるのだが、カリフォルニアの公立高校に通う息子がいる我が家は、住む地域で通える高校が決まっているので賃貸できる家が限られる。

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とっても事務的な家賃値上げのお知らせでした

子供の学校を変えることなく、それなりに満足できる家を探すのは容易ではないので、おそらく家賃上昇を受け入れることになると思う。大学3年生の娘は大学近くのアパートを借りているし、息子はあと2年で高校を卒業する。子供たちの学校問題が解決したら、夫と2人で自由に住む場所を選択できるようになる。そうしたらもう割り切って家賃が値上げされる度に良さそうな家を探して引っ越し、いろいろな家や場所に住むのも楽しそう。持ち家ではなく賃貸だからこその身軽さを大いに利用したいと思う。

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我が家に家賃値上げの通知が届いたのと同時期に、ご近所さん情報交換アプリ「Nextdoor」内で見つけた、とある老人からの投稿。

「筑99年の古くて小さな2LDKのボロ家の家賃が$3,000超に値上げされた。大家は自分(投稿者)がステージ4の癌患者であることを知りながら、クリスマス前に値上げしてきた。妻と共に引っ越さなくてはいけないかも」との内容

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