カード払いは3%増し?アメリカの店がクレジットカード手数料を客に請求できる理由|日本人が知らないアメリカの常識
2026年10月9日

この記事の要点
- アメリカでは多くの州で、店がクレジットカード払いの客に手数料を上乗せできます。
- Visaのルールでは、上乗せできるのは店が実際に払う手数料率か3%の低いほうまでで、デビットカードは対象外です。
- 日本では、カード会社と店の契約(加盟店規約)で、この上乗せが禁じられています。
カリフォルニア州では、店の入口やレジの横に、クレジットカード払いには3%の手数料がかかる、という掲示を見かけることがあります。
デビットカードや現金で払えば、この手数料はかかりません。
日本でこの掲示を見ることは、まずありません。日本では、店がカード払いの客に手数料を上乗せすることを、カード会社との契約で禁じているためです。
日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでの回は連載のページにまとめています。
Visaのルールでは上乗せできる手数料は最大3%
店がクレジットカードの支払いを受け付けると、店はカード会社に手数料を払います。アメリカでは、この手数料を店が客に上乗せして請求することが、多くの州で認められています。
ただし、何%でも上乗せできるわけではありません。Visaの加盟店向けのルールでは、上乗せできるのは、その店が実際に払っている手数料率か3%の、どちらか低いほうまでです。100ドルの買い物なら、足されるのは3ドルまでです。
上乗せできるのはクレジットカードだけです。デビットカードとプリペイドカードには上乗せできません。
店は、入口と会計の場所に上乗せすることを掲示し、レシートにも手数料を別の行で示す決まりです。Visaは外部の調査員による覆面調査を毎年行っており、ルールに反した店の決済会社に罰金を科すことがあります。
Visaのルールの要点は次のとおりです。
| 項目 | Visaの加盟店向けルール |
|---|---|
| 上乗せできる上限 | 店が実際に払っている手数料率か3%の、どちらか低いほう |
| 上乗せできるカード | クレジットカードだけ(デビットカードとプリペイドカードは不可) |
| 客への表示 | 入口と会計の場所に掲示し、レシートにも別の行で示す |
| ルールの確認 | 外部の調査員による覆面調査を毎年行い、違反した店の決済会社に罰金を科すことがある |
どのくらいの店が上乗せしているのでしょうか。調査会社J.D. Powerがアメリカの小規模事業者約4,400社に行った調査では、クレジットカード払いの客に手数料を上乗せしている事業者は35%でした。2025年8月から10月に行った調査で、前年の調査から1ポイント増えました。Payments Diveが2026年1月に報じています。
日本では「契約違反」、例外は税金のカード納付
日本でこの上乗せを禁じているのは、カード会社と店の間の契約(加盟店規約)です。
公正取引委員会が2022年にまとめた調査では、VisaやMastercard、JCBなどのカードの仕組みを提供する会社(国際ブランド)の全てと、カードを発行する会社の約9割が、契約でこの上乗せを禁じていました。
一方で、払う人が手数料を負担する仕組みが公式にある支払いもあります。国税のクレジットカード納付です。
国税庁の案内では、納める税額1万円ごとに99円(税込)の決済手数料を、納める人が払います。この手数料は、国税庁長官が指定した民間の納付受託者が決めるもので、国の収入にはなりません。
日米の違いは次のとおりです。
| 項目 | アメリカ | 日本 |
|---|---|---|
| 店がカード払いの客に手数料を上乗せすること | 多くの州で認められている | カード会社との契約(加盟店規約)で禁じられている |
| 上乗せの上限 | Visaのルールでは、店が実際に払っている手数料率か3%の低いほう | (上乗せ自体ができない) |
| デビットカードへの上乗せ | できない | (同上) |
| 上乗せしている店 | 小規模事業者の35%(J.D. Powerの調査) | (上乗せ自体ができない) |
| 払う人が手数料を負担する公式の仕組み | 店の上乗せ(上限3%) | 国税のカード納付(1万円ごとに99円)など |
まとめ
アメリカでは、店がクレジットカード払いの客に手数料を上乗せすることが、多くの州で認められています。Visaのルールでは上限は3%で、デビットカードには上乗せできません。調査会社J.D. Powerの調査では、小規模事業者の35%が上乗せしていました。
日本では、上乗せはカード会社との契約で禁じられています。払う人が手数料を負担する仕組みが公式にあるのは、国税のカード納付などです。
アメリカのクレジットカードの使われ方については、カードの残高の回で解説しています。
なお、本記事の内容は2026年10月時点のものです。
情報源
Visa – U.S. Merchant Surcharge Q and A(PDF)
Payments Dive – Consumers push back on swipe fees: survey(J.D. Power 調査の報道)
公正取引委員会 – クレジットカードの取引に関する実態調査報告書(PDF)
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