NIMBYとYIMBYとは?アメリカの住宅建設をめぐる2つの立場|日本人が知らないアメリカの常識
2026年10月3日

この記事の要点
- NIMBY(ニンビー)は「Not In My Back Yard(うちの裏庭にはやめて)」、YIMBY(インビー)は「Yes In My Back Yard(うちの裏庭にもどうぞ)」の頭文字です。
- カリフォルニア州では、鉄道の駅などの近くに集合住宅を建てやすくする州法が2026年7月に施行され、賛成と反対の意見が出ています。
- 駅の近くに集合住宅を増やすことを「良い」と答えた人は、ベイエリア全体のことなら63%、自分の町のことなら47%でした(2020年の調査)。
アメリカでは、住宅の建設をめぐる議論で「NIMBY(ニンビー)」と「YIMBY(インビー)」という言葉が使われます。
NIMBYは、望ましくないと考えるものが自分の近所にできることへの反対を表す言葉です。YIMBYは、自分の住む近くに新しい住宅などが建つことを受け入れる人を指します。
シリコンバレーのあるカリフォルニア州では、鉄道の駅などの近くに集合住宅を建てやすくする州法が2026年7月に施行されました。この州法をめぐっても、賛成と反対の両方の意見が出ています。
日本人が知らないアメリカの常識を、日本との違いから解説するシリーズです。これまでの回は連載のページにまとめています。
NIMBYは「うちの裏庭にはやめて」
NIMBYは、英語の「Not In My Back Yard(うちの裏庭にはやめて)」の頭文字をとった言葉です。
アメリカの辞書メリアム・ウェブスターは、NIMBYを、刑務所やごみ焼却施設など、望ましくないと考えられるものを自分の近所に置くことへの反対、と説明しています。
日本でも、日本経済新聞が2019年に、福祉施設の計画への地域住民の反対運動が各地で相次いでいると報じ、こうした動きを海外ではNIMBYと呼ぶと紹介しました。同紙は、日本では火葬場やごみ処理施設への反対運動が以前からあったとも伝えています。
アメリカでは、この「望ましくないもの」は施設に限りません。住宅の議論では、近所に新しい集合住宅などが建つことへの反対を指して使われることがあります。
YIMBYは「うちの裏庭にもどうぞ」
YIMBYは「Yes In My Back Yard」の頭文字で、NIMBYと反対の立場を表す言葉です。
イギリスの辞書ケンブリッジは、YIMBYを、ほかの人が反対するような場合でも、自分の住む近くに新しい住宅などが建つことを受け入れる人、と説明しています。
カリフォルニア州には、名前にYIMBYを掲げて、住宅を増やす政策を後押しする団体「California YIMBY」があります。この団体は、発表文の団体紹介で「もっと多くの隣人を歓迎する隣人たちの集まり」と名乗り、公平なカリフォルニア州は、十分にあり、安定して住み続けられる、手ごろな住宅から始まると主張しています。
駅などの近くの住宅をめぐる州法
カリフォルニア州で2025年に成立した州法「SB 79」は、鉄道の駅や一部の主要なバス停から半マイル(約800メートル)以内で、条件を満たす集合住宅を建てやすくする法律です。対象となる計画について、市は州の基準より低い高さの上限を課すことができなくなります。
ベイエリアでは、シリコンバレーのサンタクララ郡やサンマテオ郡などが対象です。両郡を走る通勤鉄道カルトレイン(Caltrain)の駅の周りも含まれます。
法案を提出した州上院議員は、州の住まいの費用が高い根本的な原因は、深刻な住宅不足と、公共交通を使える人が少ないことだと主張しています。
一方、アップルが本社を置くシリコンバレーの市、クパチーノ市の市長は、法案の審議中だった2025年5月に、反対する手紙を出しました。手紙では、住民の意見を聞かないまま、駅の近くの開発を市が認めなければならなくなる、と主張しています。
成立した州法には、州の承認を受ければ、市が対象の地域の一部を外せる仕組みも入りました。
賛成と反対のあいだ
2020年に広報会社と調査会社がベイエリアの有権者800人を対象に行った調査では、駅から歩いて行ける場所に高密度の住宅(同じ広さの土地に、より多くの世帯が住む集合住宅)を建てることについて、ベイエリア全体にとって「良い影響がある」と答えた人は63%でした。
ところが、自分の住む町に建てる場合となると、「良い影響がある」と答えた人は47%に下がりました。
| NIMBY | YIMBY | |
|---|---|---|
| 元の英語 | Not In My Back Yard(うちの裏庭にはやめて) | Yes In My Back Yard(うちの裏庭にもどうぞ) |
| 辞書の説明 | 望ましくないと考えられるものを近所に置くことへの反対 | 近くに新しい住宅などが建つことを受け入れる人 |
| 住宅の議論での使われ方 | 近所に新しい集合住宅などが建つことへの反対 | 自分の住む近くに新しい住宅などが建つことへの賛成 |
まとめ
NIMBYは近所に望ましくないものができることへの反対を、YIMBYは近くに新しい住宅などが建つことを受け入れる立場を表す言葉です。カリフォルニア州で2026年7月に施行された、鉄道の駅などの近くの住宅に関する州法をめぐっても、賛成と反対の意見が出ています。
シリコンバレーの家賃については、年収1,500万円の回でも解説しています。
なお、本記事の内容は2026年10月時点のものです。
情報源
日本経済新聞 – 福祉施設、家の近くはお断り 「NIMBY」相次ぐ(2019年4月8日)
カリフォルニア州住宅・地域開発局(HCD) – SB 79 Transit-Oriented Development
ABAG(ベイエリア自治体協議会) – Senate Bill 79 (2025) Summary(PDF)
California YIMBY – Governor Newsom Signs Historic Housing Legislation
クパチーノ市 – SB 79 Opposition Letter(PDF)
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