テックニュース2026.08.26読了 約5分

Uberに約9.7億ドルの制裁金、ドライバー自動停止がGDPR違反に

Uberに約9.7億ドルの制裁金、ドライバー自動停止がGDPR違反に


Uberに約9.7億ドルの制裁金、ドライバー自動停止がGDPR違反に


オランダのデータ保護当局が、EUの一般データ保護規則(GDPR)違反でUberに8億2,499万ユーロ(約9億6,600万ドル)の制裁金を科しました。

当局は、ドライバーのアカウント停止を人の判断を挟まずソフトウェアだけで決めていた、と認定しました。

GDPRに基づく制裁金としては、2023年にアイルランドの当局がメタに科した12億ユーロに次ぐ規模と報じられています。



当局が問題としたのは「自動で止めたこと」ではなく「人が見なかったこと」

制裁を決めたのは、オランダのデータ保護当局Autoriteit Persoonsgegevens(AP)で、8月21日に公表しました。

APによれば、Uberはソフトウェアでドライバーの運転挙動と利用者評価を追跡していました。不正の疑いを検知した場合や評価が低すぎる場合はアカウントを自動的に一時停止し、評価の低さが続く場合は恒久的に停止していました。ここに人による評価はありませんでした。

この状態は2018年から2022年にかけて続いたとAPは認定しています。停止された間、ドライバーはUber経由の収入を失いました。

APは、GDPRが定める完全自動の意思決定の禁止に違反し、あわせて自動意思決定についてのドライバーへの説明も不十分だったとしています。副委員長のMonique Verdier氏は「Uberは重大な違反を犯した」と述べました(出典:Autoriteit Persoonsgegevens)。Uberは既に違反行為をやめている、ともAPは記しています。

制裁金は欧州の各当局が共通の方法で算定し、上限は2,000万ユーロまたは世界年間売上高の4%のいずれか高い方です。APによれば、Uberの2025年の世界売上高は約445億ユーロでした。APによるUberへの制裁はこれで4件目で、2018年に60万ユーロ、2023年に1,000万ユーロ、2024年に2億9,000万ユーロの例があります。



GDPRが完全自動の判断を認める3つの例外

APは自動意思決定のルールについて、企業向けの説明も公開しています。

そこでは、法的効果や重大な影響を伴う自動意思決定を企業が行ってよいのは3つの場合に限られる、と整理されています。その決定が本人との契約の締結または履行に必要な場合、本人が明示的に同意した場合、そしてそれを認める法律がある場合の3つです。

例外に当てはまる場合でも、企業には別途「適切な措置」が求められます。APは具体的に、本人が従業員による決定の見直しを求められること、決定について自分の見解を伝えられること、決定に異議を申し立てられること、の3点を確保するよう挙げています。

加えて、自動意思決定の仕組みを透明に説明できること、GDPRを順守していると示せること、使うシステムを定期的に監視・テストして意図どおり動くことを確認することも求められます。

問われているのは「自動化を使ってよいか」ではなく、重大な決定に人がどう関与し、それをどう示せるかという点です。



フランスのドライバー171人の申し立てが、なぜオランダの制裁になったのか

APによれば、この調査はフランスのドライバー171人がフランスの人権団体Ligue des droits de l’Homme(LDH)に申し出たことから始まりました。LDHがドライバーに代わってフランスのデータ保護当局CNILに申し立て、Uberの欧州本社がオランダにあることからAPが調査を担いました。GDPRのワンストップショップ(一元的な窓口)制度に基づく流れです。APは調査でCNILと協力し、決定を他の欧州の監督当局とも擦り合わせたとしています。

欧州のどこに統括拠点を置くかが、どの当局と向き合うかを決める構図です。

Uberはこの決定に上訴しています。Reutersによれば、同社の広報担当者は「この決定と不均衡な制裁金には強く反対する」と述べ、ドライバーの権利を重視しており人による確認と異議申し立ての機会を設けていると説明しました。同社は、2021年に利用者評価の低さを理由に欧州で恒久的に停止されたアカウントは126件だったとしているとも報じられています。特に恒久的なアカウント停止について、人の確認なしに行ったことはないとするUberの説明と、APの認定が食い違っています。

UberはUber Eatsのドローン配送でZiplineと提携するなど事業領域を広げており、扱う事業と地域が増えるほど、各国の規制当局と向き合う場面も増えます。



今後の注目点

制裁金はまだ確定していません。Uberが上訴しており、決着までには時間がかかると報じられています。

APが2023年と2024年にUberへ科した制裁金についても手続きが続いています。今回の上訴では、完全自動の意思決定をめぐるAPの事実認定と、GDPRの禁止規定の適用がどこまで維持されるかが注目されます。



情報源

Autoriteit Persoonsgegevens – Uber fined nearly 825 million euros for automated driver blocking

Autoriteit Persoonsgegevens – Automated decision

Reuters(Euronext配信) – Dutch regulator fines Uber $966 million for automating driver suspensions

TechCrunch – Uber faces fine of nearly $1B over automated driver suspensions


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