テックニュース2026.08.01読了 約6分

ハンドルなしZoox、乗客輸送AVで米初の商用配備免除 有料ロボタクシーへ

ハンドルなしZoox、乗客輸送AVで米初の商用配備免除 有料ロボタクシーへ


ハンドルなしZoox、乗客輸送AVで米初の商用配備免除 有料ロボタクシーへ


米国家道路交通安全局(NHTSA)は2026年7月30日、Amazon傘下の自動運転企業Zooxに対し、連邦自動車安全基準(FMVSS)8項目の一部要件を一時的に免除すると発表しました。

これによりZooxは、ハンドルもペダルもない専用設計ロボタクシーを連邦上、商用配備できるようになります。乗客を運ぶADS(自動運転システム)搭載車両として、この一般免除制度が適用されるのは初めてです。

ただし、実際の有料運行には州や地域の許可も必要です。

TechCrunchによれば、Zooxはまずラスベガスで有料サービスを開始し、州ごとの要件を満たし次第、他の都市にも広げる計画です。



現行FMVSSには人間の運転を前提とした要件がある

現行の連邦自動車安全基準(FMVSS)の多くは、人間の運転者がいることを前提に作られています。今回免除されたのは、フロントガラスの曇り取り(第103基準)やブレーキ系統(第135基準)、乗員保護(第208基準)など8項目の一部要件です。運転席や手動操作装置がないZooxの車両は、これらの基準に含まれる一部要件に設計上適合しません。

連邦官報の公示によれば、Zooxの車両は前後が対称で、乗客4人が向かい合って座る対面シートの箱型です。通常の遠隔支援では、オペレーターが状況情報や推奨経路を車両に提供し、ADSが実際の走行方法を判断します。これとは別に、現場の支援員が車両を直接目視できる範囲で、携帯型コントローラーを使って低速操作する機能も備えています。

NHTSAは、免除対象となった特定要件について、同一の車両が当該要件に適合した場合と比べ、同等の総合的な安全水準を確保できると判断しました。ただし、これはADS全体の安全性や、その他すべてのFMVSSへの適合を包括的に認証したものではありません。官報によれば、ADS搭載車両への一般免除は無人配送車のNuroに先例があり、乗客を輸送する車両としてはZooxが初めてです。



免除の条件:年2,500台・2028年7月末まで、監督は強化

免除には条件が付いています。連邦官報によれば、対象車両は12か月あたり2,500台まで、期間は2028年7月31日までの2年間です。NHTSAは併せて、技術の成熟に応じて内容を更新・拡張できる「運行認可」を発行し、強化された監督体制の下にZooxを置くとしています。なお2,500台は、12か月間に製造し、商用サービス用として米国内に投入できる車両数の上限です。同時に運行できる車両数は、初回の運行認可で別途制限され、後続の認可で変更される可能性があります。

Zooxは車両を販売せず、自社で保有して運行し、車両管理や遠隔支援、顧客対応まで一体で担う事業モデルです。アイシャ・エバンスCEOは声明で「専用設計のロボタクシーとしてNHTSAから史上初の商用免除を受け、光栄に思う」と述べたとTechCrunchが伝えています。

Zooxは2025年8月、公道での実証目的の運行を可能にする連邦免除を受け、その後、州の許可の範囲でサンフランシスコやラスベガスにおいて無料乗車サービスを提供してきました。ただし、この免除では商用配備は認められていませんでした。今回の決定で、連邦レベルの主要な壁がなくなった形です。



連邦の壁は越えた、次は州の認可

米国では、車両の安全基準は連邦、旅客運行の営業認可は州という二層構造になっています。TechCrunchによれば、本社のあるカリフォルニア州では、有償の無人旅客サービスに必要な車両管理局(DMV)の自動運転車配備許可と、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)のDriverless Deployment許可をまだ取得しておらず、現在は無料送迎にとどまっています。

ハンドルのない専用設計車では、テスラも「Cybercab」をオースティンの公道でテストしていますが、商用化前の試験段階です。当サイトでもハンドルなしCybercabの公道テスト開始 やMobileyeが2027年の自社ロボタクシー運営を計画する動き を報じており、専用設計車の商用配備に向けた連邦承認では、Zooxが一歩先に出たことになります。



同日発表の制度改革:全米統一のAV基準づくりへ

今回の免除は、NHTSAが同日まとめて発表した自動運転関連施策の一つです。同庁は、免除の発効前に製造された車両も商用配備免除の対象にできる暫定最終規則を公表するとともに、Part 555免除の申請ガイダンスを更新し、一般からの意見募集を始めました。さらにSAE Industry Technologies Consortiaと、3年間・500万ドル規模の「A2SCEND」コンソーシアムを設け、AV性能基準の策定に必要なデータ収集を進めます。狙いは、全米共通のAV安全基準づくりにつなげることです。

ジョナサン・モリソン局長は「イノベーションを妨げる不要な障壁を取り除き、業界向けの指針を整え、性能要件を策定する間も強力な執行監督を行う。バランスの取れたアプローチだ」と説明しています。ロサンゼルスの新興企業Robomartが申請した低速配送車(最大500ポンド、約227キログラムの荷物を搭載)の免除も審査中です。



今後の注目点

有料サービスはラスベガスで2026年8月に開始予定と報じられていますが、具体的な開始日と料金体系はまだ公表されていません。免除は2028年7月末までの時限措置で、年2,500台の上限もあるため、これを超えて拡大するには、恒久的な基準改定や追加の免除などが必要になります。NHTSAの運行認可がどのような条件で更新されていくか、カリフォルニア州の認可がいつ下りるか、そして全米統一基準づくりが実際に進むかが当面の焦点です。



情報源

Federal Register – Zoox: Grant of Temporary Exemption from Portions of Various Requirements of the FMVSS

Federal Register – Temporary Exemption From Motor Vehicle Safety and Bumper Standards(暫定最終規則)

NHTSA – Cutting Red Tape to Safely Fast-Track Automated Vehicle Innovation

NHTSA – First-Ever Demonstration Exemption(2025年8月)

TechCrunch – Zoox clears final federal hurdle to launch paid robotaxi service

The Next Web – Zoox wins first US approval to charge for no-wheel robotaxi rides

TechCrunch – Federal regulators give Zoox an exemption for its custom-built robotaxis(2025年8月)

The Verge – Zoox cleared to charge for robotaxi rides(2026年8月開始の報道)

California DMV – Autonomous Vehicle Permit Holders

CPUC – Autonomous Vehicle Program Permits Issued

TechCrunch – Robomart unveils new delivery robot with $3 flat fee(積載量500ポンドの出典)


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