AI支出上位1%企業は1人あたり月約7,500ドル、中央値11.38ドルで格差約650倍
2026年6月11日

企業はAIにどれだけお金を使っているのか。
米フィンテック企業Rampの調査によれば、従業員1人あたりのAI支出が上位1%に入る企業は、月およそ7,500ドルをAIに投じています。
一方で中央値はわずか11.38ドルにとどまり、企業の間で有料AI支出が大きく開いている実態が浮かび上がりました。
Rampが示したAI支出の3つの階層と数字の前提
Ramp AI Indexは、Rampの法人カードや請求書支払いのデータをもとに、米国企業の有料AI利用を測る指標です。今回の更新では、従業員1人あたりのAI支出が企業によって大きく異なることが示されました。
Rampが「AI-pilled(AI漬け)」と呼ぶ、1人あたりのAI支出が上位1%に入る企業は、月およそ7,500ドル(公式値で約7,449ドル)を使っています。
この金額は各社員が個人で支払う額ではなく、会社全体のAI支出を従業員数で割って1人あたりに換算したものです。規模の異なる企業を同じ基準で比べやすくし、人件費との比較もしやすくするため、1人あたりの金額として示されています。
もっとも、これほどの水準でAIに支出している企業はごく一部です。上位10%でも月611ドル程度、中央値は11.38ドルにすぎません。公式値に基づくと、上位1%と中央値の差は約650倍に達します。中央値の11.38ドルは、AIサブスクリプション1席分に近い水準です。
ただし、この数字はあくまでRamp上で観測できる支出にもとづくものです。Rampは、法人カードや請求書支払いのデータを測定対象にしているため、無料AIツールの利用や、従業員が個人アカウントで業務に使っているAI利用は捕捉されない可能性があります。そのため、これは米国企業全体のAI利用を完全に示すものではなく、「企業が公式に支払っているAI支出」の実態として捉える必要があります。
「AIは人間より高くつくのか」という問い
今回の調査が投げかけるのは、企業がAIに人件費以上のお金を使い始めているのか、という問いです。
Nvidiaの幹部ブライアン・カタンザロ氏(Bryan Catanzaro)は、自身のチームでは計算資源のコストが従業員のコストを大きく上回っていると語ったと報じられています。
AIエージェント企業MercorのCEOも、社内エージェント用のトークン(AIの処理単位)への支出が、従業員の人件費を上回っていると述べたとされています。
ただしRampのデータを見る限り、企業全体としては「まだそこまでではない」ようです。TechCrunchは比較対象として、米国のソフトウェアエンジニアの月額報酬を約1万6千ドルと紹介しています。上位1%の企業がAIに支払っているとされる従業員1人あたり月7,500ドルは、これに届きません。
支出格差が映すAI導入の二極化
注目すべきは、少なくとも直近では支出がさらに伸びている点です。上位1%の企業ではAI支出が直近1か月で従業員1人あたり14.1%増えました。この層は、複数の最先端モデルを使い分けたり、より安価なオープンソースのモデルを組み合わせたりして、用途に応じてプラットフォームを行き来する傾向があります。
一方で、中央値の企業がほとんど支出していない現状を踏まえると、有料AI支出の度合いは企業によって大きく二極化しているといえます。先行する企業がコストをかけて試行錯誤を重ねる間に、多くの企業はまだ本格的な支出には踏み出していません。
今後の注目点
上位1%の企業のAI支出が直近1か月で14.1%伸びた一方、この傾向が今後も続くかどうかははっきりしていません。最先端モデルと安価なオープンソースモデルの使い分けが進むなかで、企業間の支出格差が縮まるのか、それともさらに開くのかが、AI導入の次の局面を見るうえでの焦点になります。
情報源
Ramp Economics Lab – How much does it cost to be AI-pilled?
TechCrunch – ‘AI-pilled’ firms spend $7,500 per employee each month on AI
The Next Web – The most AI-obsessed companies spend $7,500 per employee per month
Fortune – Nvidia executive says compute costs exceed employee costs
Business Insider – Mercor’s CEO says it spends more on AI tokens than employee headcount
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