【第5回】シリコンバレーが日本企業と「噛み合わない」理由 ― 第5のズレ:未来評価 ― 不確実な未来をどう測るか ―

日米協業の停滞を打破する、意思決定の「7つの決定的なズレ」を解き明かす
日本企業による海外スタートアップとの連携において、最大のボトルネックは「意思決定の論理とスピード感の違い」にあります。
日本側が良かれと思って行う“丁寧な対応”が、相手には“決断の先送り”に見えてしまう。
こうした認識の摩擦は、単なるコミュニケーション不足ではなく、ビジネスを動かす上での「前提条件(判断の土台)」の不一致から生じています。
Tomorrow Accessが提示する、グローバル連携の実務スタンダード
本連載では、弊社代表の傍島が長年の実務経験から導き出した「シリコンバレーが日本企業と噛み合わない理由」を、全7回にわたり体系化しました。
- 第1のズレ:関係構築(なぜ論点整理を急ぐのか)
- 第2のズレ:意思決定(なぜ「検討」と「沈黙」が停滞を招くのか)
- 第3のズレ:計画策定(なぜ完璧な合意がリスクになるのか)
- 第4のズレ:組織運営(なぜ役割より「決断者」が求められるのか)
- 第5のズレ:未来評価(なぜ数字で測れない未来を信じられるのか)
- 第6のズレ:実務推進(なぜ実証実験が事業に繋がらないのか)
- 第7のズレ:戦略ロジック(なぜ日本市場は後回しにされるのか)
第5のズレ:未来評価 ― 不確実な未来をどう測るか
【本稿の論点】なぜ、将来の見通しに関する議論が平行線に終わるのか。
【結論】確定した「数字」を求める側と、成長の「構造」を評価する側の違いを理解する。数字より「成長の仕組み」を評価する。
初期段階のスタートアップにおいて、精緻な収支予測を立てることは現実的ではないと考えられています。
彼らが見ているのは、現在の数字そのものではなく「将来的に価値が大きく伸びる構造(ロジック)」があるかどうかです。
数字という「点」ではなく、成長の「形」を見ているのです。
全体の可能性でリスクを分散する発想
「確実に成果が出るか」を問いすぎると、守りの判断になり、機会を逃すリスクが高まります。
シリコンバレーでは、一部の案件が並外れた成長を遂げることで全体のリターンを最大化させるという確率論的な視点(当たりが出れば全体で勝つ、という発想)が重視されます。
仮説を分解し、解消すべき不確実性を特定する
将来予測を数字で固定できないからといって、感覚だけで判断しているわけではありません。
彼らは「どの条件が揃えば価値が最大化されるのか」を徹底的に分解して整理しています。
数字の粗さは判断が曖昧なのではなく、未来を正直に捉えている表れなのです。
[実務での一手]
「3年後の売上予測」を問い詰めるのではなく、「どのような市場変化が起きれば、この事業は10倍に成長するのか?」という成長の理屈を問い、その確からしさを議論しましょう。

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