欧州スーパーの冷蔵庫に再びサイバー攻撃の疑い、食品を廃棄
2026年11月2日

この記事の要点
- 11月1日深夜から、ベルギーなど欧州のスーパーで冷蔵庫へのサイバー攻撃の疑いが相次ぎ、食品を廃棄する店舗も出ました。
- ベルギーでは50店超が特定されたと報じられ、10月にはフランスで約700店が同様の被害を受けています。
- 攻撃した者は特定されておらず、公表済みの脆弱性が使われたかどうかも分かっていません。
ベルギーやアイルランドなど欧州のスーパーで、2026年11月1日深夜から2日未明にかけて、冷蔵庫へのサイバー攻撃の疑いがある被害が相次ぎました。冷蔵・冷凍の設備が遠隔から操作されたと報じられ、温度の上がった商品を廃棄する店舗も出ています。
10月にフランスで約700店が被害を受けたのに続く、2度目の波とされています。10月の被害について、制御装置メーカーのDanfossは、被害を受けた機器の多くがセキュリティ更新の止まった旧製品だったと説明していました。
ベルギーで50店超、アイルランドやスウェーデンにも広がった被害
The Recordによると、ベルギーでは50店を超える被害が特定されました。食品スーパーDelhaizeの冷蔵設備を運用する設置業者Sabcobelは、サイバー攻撃だと説明しています。ベルギーの通信社Belgaによると、攻撃は11月1日の深夜ごろに始まりました。
Belgaはまた、攻撃者が冷蔵設備を遠隔で霜取り(デフロスト)の運転に切り替えたと報じました。SabcobelのCEOは、ソフトウェアの更新だけでは足りず、機器の物理的な改修が必要だと述べています。Delhaizeの親会社Ahold Delhaizeは、一部の店舗でのITのインシデントと表現しています。
NBC Newsによると、ベルギーでは、小売大手Colruytが運営するSparの5店と、仏小売大手Carrefourの15店でも冷蔵設備に被害が出ました。アイルランドではSuperValuなどを展開するMusgraveの13店で、一部の冷蔵・冷凍品の販売を止めています。
スウェーデンでも、生協のCoopや大手ICAの一部の店舗で冷蔵設備に影響が出たと報じられています。
フランスでは約700店 当局が名指しした制御機器
AP通信によると、フランスのロラン・レスキュール(Roland Lescure)財務相は10月、国内の約1万店のスーパーのうち約700店が被害を受けたと議会で説明しました。パリ検察のサイバー犯罪部門が捜査しています。
フランスのサイバーセキュリティ当局ANSSI(国家情報システムセキュリティ庁)の対応チームCERT-FRは、10月12日に警告を出しました。対象として、デンマークのDanfossの制御装置AK-SM・AK-SCと、米空調・冷凍機器メーカーCopelandのxwebなどを挙げ、多数の侵害を把握しているとしています。
AP通信によると、Danfossは10月、被害を受けた機器の多くはソフトウェアの更新が止まった旧製品だと説明しました。
セキュリティ企業Clarotyは2026年8月、Danfossの制御装置AK-SM 800Aの脆弱性3件を解説し、検索サービスCensysの調査をもとに、インターネットから到達できるAK-SM 800Aが2,765台あるとしていました。ただしSecurityWeekは、この脆弱性が10月の攻撃に使われたかどうかは分かっていないと報じています。
誰が攻撃したのかは、2つの波とも公式に特定されておらず、犯行声明も出ていません。ベルギー・サイバーセキュリティセンター(CCB)は、犯人を特定できない可能性もあるとしています。
米国でも、Nextgov/FCWが関係者の話として、軍の基地内の売店で冷凍庫が攻撃された疑いがあり、国防総省が調べていると報じています。欧州の件との関係は分かっていません。
本来どう防ぐべきだったか 当局が出していた対策
冷蔵庫の制御装置のような機器を守る対策は、事前に公表されていました。米サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー安全保障庁(CISA:Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は2025年5月、工場や設備を動かす制御機器の主な対策の1つ目に、インターネットとの直接の接続をなくすことを挙げています。
Danfossの脆弱性についても、CISAは2025年5月の注意喚起で、機器をファイアウォールの内側に置き、外から操作する場合はVPN(仮想専用線)などの安全な方法を使う対策を示しました。Clarotyも、修正版のファームウェアへの更新を求めていました。
CERT-FRは10月の警告で、ネットへの直接の露出をなくし、安全なVPNか保護されたネットワーク経由でのみアクセスを戻すこと、霜取りを含む設定全体を確かめること、初期パスワードが変更済みかを確かめることを求めています。更新が終わった機器は修正が出ないため、ネットにつながったままでは危険が非常に高いとしています。
今後の注目点
攻撃した者は特定されておらず、Clarotyが指摘した脆弱性が使われたかどうかも分かっていません。捜査や当局の分析で、侵入の経路が明らかになるかが焦点です。
Sabcobelは機器の物理的な改修が必要だとしており、店舗の冷蔵設備がいつ元に戻るのかも、まだ示されていません。
情報源
CISA – Danfoss AK-SM 8xxA Series (ICSA-25-140-03)
CISA – Primary Mitigations to Reduce Cyber Threats to Operational Technology
Claroty Team82 – Freeze the Controller, Defrost the Food
The Record – Cyberattack hits grocery freezers across Europe
NBC News – European supermarkets hit by new fridge cyberattack
Belga News Agency – Cyber attack sabotages refrigeration systems of supermarket chains
SecurityWeek – Refrigeration Controller Hack Spoils Food Across European Supermarkets
Nextgov/FCW – Officials suspect Iran in series of cyberattacks on military base freezers
TechCrunch – A fresh wave of cyberattacks has hit Europe’s supermarket refrigerators
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