Claude Codeに調査させた「AIで減少が予測される職業」と必要になる人材
2026年8月29日

AIで減少が予測される職業は何か——。本記事は、当社がAI社員の運用にも使う米Anthropic社のAIエージェント型ツール「Claude Code」に世界の主要調査を調べさせ、一次ソースで事実確認して記事化したものです。
調査対象は、世界経済フォーラム(WEF)の雇用予測、Microsoft Researchの利用実態研究、米国のレイオフ統計の3系統です。
減少する職業と、同じ調査が示す「これから必要になる人材」を整理します。
雇用主1,000社が予測する「減少する職業」
WEFが2025年1月に公表した「Future of Jobs Report 2025」は、55の国・地域の雇用主1,000社超(従業員計1,400万人超)への調査に基づく雇用予測です。2025年版が現時点での最新版です。2030年までに1億7,000万件の職が新たに生まれる一方、9,200万件が置き換えられ、差し引きでは7,800万件(現在の雇用の7%)の純増になると推計しています。
減少が最も速い職種として報告書が挙げるのは、郵便窓口事務員、銀行窓口係、データ入力係などです。絶対数で最大の減少が見込まれるのは、レジ・チケット係や一般事務・役員秘書を含む事務・秘書職です。減少側のリストにはこのほか、経理・簿記・給与計算係やテレマーケターなども含まれます。
今回の報告書では、グラフィックデザイナーと法務秘書が初めて減少予測に入りました。報告書はこれを、生成AIの能力が知識労働に及び始めたことを示す可能性がある変化だと指摘しています。2023年版ではグラフィックデザイナーは緩やかな成長職とされていました。
レイオフ統計と利用実態データが示す現在地
実績のデータにも変化が表れています。米再就職支援会社Challenger, Gray & Christmasの集計では、2026年7月に米国企業が発表した人員削減3万3,429人のうち、約33%にあたる1万970人がAIを理由とするもので、AIは5カ月連続で削減理由の首位でした。
2026年は7月までにAIを理由に挙げた削減が11万2,713人にのぼり、2025年通年の5万4,836人をすでに大きく上回っています。
Microsoft Researchが2025年7月に初版を公表し、同年12月に改訂した論文は、対話AI「Bing Copilot」の米国内の匿名化された約20万件の実会話から、AIの適用度が最も高い職業として通訳・翻訳者(スコア0.492)、歴史学者(0.462)、作家・著述業(0.454)を挙げました。
ただし、このスコアの読み方には注意が必要です。スコアが示すのは「その職業の仕事に、AIをどれだけ広く、うまく活用できるか」の目安であり、スコアが高い職業ほどAIに置き換えられるという意味ではない、と著者ら自身が強調しています。
AI適用度スコアが高い職業トップ10(Microsoft Research・スコアは最大1.0)
| 順位 | 職業 | スコア |
|---|---|---|
| 1 | 通訳・翻訳者 | 0.492 |
| 2 | 歴史学者 | 0.462 |
| 3 | 作家・著述業 | 0.454 |
| 4 | サービス分野の営業担当 | 0.449 |
| 5 | CNC(コンピューター数値制御)工作機械プログラマー | 0.419 |
| 6 | 放送アナウンサー・ラジオDJ | 0.409 |
| 7 | カスタマーサービス担当 | 0.408 |
| 8 | テレマーケター | 0.404 |
| 9 | 政治学者 | 0.391 |
| 10 | 数学者 | 0.386 |
※Microsoftが公開する集計データ(GitHub「working-with-ai」v1.1・CC BY 4.0)と論文(2025年12月改訂版)のTable S3をもとに当社訳で作成。スコアは、その職業に関係する業務をCopilotがどの程度広く、かつ成功裏に支援・実行できているかを組み合わせた指標で、職の置き換え予測ではありません
テレマーケターは、WEFの減少予測とこの適用度リスト(上の表)の両方に登場しています。
変化は職業にとどまりません。調査会社Gartnerは2024年2月、AIチャットボットへの移行により従来型の検索エンジンの検索量が2026年までに25%減少するとの予測を発表しました。また、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは2025年4月、社内リポジトリのコードの20〜30%はAIが書いていると述べたと報じられています。
WEFの調査でも、人間だけで行う業務タスクの割合は調査時点の47%から2030年には約33%まで下がる見通しです。
同じ調査が示す「これから必要になる人材」
WEFの予測は「職が減る」だけの話ではありません。伸び率で成長が最も速いのは、ビッグデータ専門家、フィンテックエンジニア、AI・機械学習専門家、ソフトウェア開発者といったテクノロジー職です。自動運転・EV(電気自動車)や再生可能エネルギー関連の専門職も成長上位15職種に入っています。
絶対数で最も増えるのは農業従事者で、配達ドライバー、建設作業員、販売員などが続きます。看護師や教員など介護・教育分野の職も大きく伸びる見通しです。
なぜ現場の仕事が増えるのでしょうか。ポイントは、職の増減を動かす力がAIだけではないことです。WEFは雇用の変化を、技術の進展に加えて、脱炭素の流れ・人口の変化・生活コストの上昇といった複数の要因の組み合わせで予測しています。
農業従事者が典型例です。二酸化炭素の排出削減や気候変動への適応に向けた投資が世界的に広がること(グリーン移行)が主な押し上げ要因とされます。もともと世界で2億人超が働く巨大な職種のため、絶対数では3,500万件の増加になります。
配達ドライバーは、デジタル化の進展がむしろ需要を押し上げる側に働く職種としてWEFが挙げています。建設作業員や販売員は人口や経済の動向が、看護師は高齢化が、教員は主に低所得国での生産年齢人口の増加が、それぞれ追い風になる構図です。
「現場の仕事こそロボットやAIで置き換えられるのでは」という疑問もあります。Microsoft Researchの分析では、Bing Copilotの実利用データ上、AIの適用度は文章作成や情報収集など情報を扱う作業で高く、身体作業を多く含む職種では相対的に低いことが示されました。WEFでも減少上位の多くは事務・窓口系で、主な要因はAIなどのテクノロジーの進展です。
少なくとも今回参照した調査では、AIの適用度や雇用減少の予測は、身体作業を多く含む職種よりも、情報処理や事務・窓口系の仕事で強く表れています。
スキル面では、いま持っているスキルの39%が2030年までに中身が変わるか古くなり、労働者100人のうち59人が学び直しを必要とすると推計されています。
需要の伸びが最も速いのは、AI・ビッグデータ、ネットワーク・サイバーセキュリティ、テクノロジーリテラシーといった技術系のスキルです。あわせて、創造的思考や、レジリエンス(変化があっても立て直して適応する力)、柔軟性、学び続ける姿勢の重要性も高まるとされています。個別の技術を覚えるだけでなく、スキルの入れ替わりそのものに対応し続けられる力が併せて求められる、という整理です。
今後の注目点
WEFの数値は雇用主の回答に基づく予測であり、実際の雇用がこの通りに推移するかは確定していません。Challengerの統計も企業が「AIを理由に挙げた」件数の集計であり、個々の削減にAIが実際どこまで寄与したかは検証されていません。
Gartnerが予測した「検索量25%減」も、2026年の実績はまだ確定していません。次回のFuture of Jobs報告書の改訂と、月次レイオフ統計でAIを理由とする削減の比率がどう推移するかが、これらの予測の確度を測る材料になります。
情報源
世界経済フォーラム – The Future of Jobs Report 2025(PDF)
世界経済フォーラム – Future of Jobs Report 2025: These are the fastest growing and declining jobs
Microsoft – working-with-ai(研究データ公開リポジトリ・CC BY 4.0)
TechCrunch – Microsoft CEO says up to 30% of the company’s code was written by AI
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