Meta社員のPC操作がAI訓練データに――「MCI」導入と大規模レイオフ計画が同時進行
2026年4月27日

Metaが、米国拠点の社員の業務用PCに新たなツールを導入し、社員のPC操作データをAI訓練に使う方針を社内で示したと報じられています。
このツールは Model Capability Initiative(MCI) と呼ばれ、マウスの動きやクリック、キーボードでどのキーを押したかという操作記録、一部の画面スナップショットを収集します。
対象は業務関連のアプリやWebサイトで、収集されたデータはAIモデルの訓練に使われるとされています。
AIに「仕事の進め方」を覚えさせる
Metaの狙いは、AIエージェントが人間のようにPCを操作し、メールやチャット、社内ツールなど日常的なオフィス業務を自動化できるようにすることです。そのために、社員が実際にどのように画面を操作し、業務を進めているかを学習データとして収集していると見られます。
社員からは強い反発
この取り組みに対し、Meta社内では反発も出ています。
社内告知に対して社員からプライバシーへの懸念や不快感が示されました。特に、会社支給のPCでは、社員がこのデータ収集を拒否する選択肢はないと説明されたことが、反発を招いています。
Meta側は、収集データはAIモデルの訓練に使われ、人事評価には使わないと説明しています。また、センシティブな情報を保護する仕組みもあるとしていますが、どの情報がどこまで除外されるのかについては不透明な部分も残ります。
監視と同時進行するレイオフ計画
この動きをさらに重く見せているのが、同じ時期に報じられた大規模なレイオフ計画です。
Metaは5月20日に第1弾として全従業員の約10%にあたる約8,000人を削減する予定とされています。「効率化」とAIへの巨額投資を進めるなかでの人員削減です。
つまり社員は、自分の操作データがAIの訓練に使われると知らされる一方で、大規模なレイオフ計画にも直面していることになります。
テック業界専門のニュースレター・Platformerはこの状況を「Meta社員が訓練データになった週」と表現し、監視とレイオフが同時期に進む知識労働の未来に関わる問題として論じています。
ホワイトカラー業務の「工場労働化」
これまで、細かな行動データによるリアルタイム監視は、主に配送ドライバーやギグワーカーなどの領域で問題視されてきました。
しかし今回のMCIでは、対象がMetaのホワイトカラー社員です。こうした操作データの収集が、これまで「見えなかった」知識労働を細かく可視化していくことになります。
ホワイトカラーの仕事には、考える時間、迷う時間、資料を読み込む時間、何も入力せずに構想を練る時間があります。しかし、PC上の操作量が細かく記録される環境では、そうした「見えない思考時間」が、単なる空白や非効率に見えてしまうリスクがあります。
こうした動きは、知識労働を記録・最適化・自動化の対象にしていく可能性をはらんでいます。
「AIに仕事を教える社員」という皮肉
Metaの取り組みは、AIエージェント時代の職場で起きる新しい緊張関係を示しています。
企業は、AIを実務で使えるレベルにするため、現場の業務データを必要とします。
一方で社員は、自分の働き方が記録され、分析され、いずれ自分の仕事を置き換えるAIの訓練に使われるのではないかと感じる。しかも同じ時期に大規模なレイオフ計画も報じられたことで、社員の不安はさらに現実味を帯びています。
Metaで起きている反発は、その現実がすでに職場レベルで表面化し始めていることを示しています。
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