食べられない物がたくさんあります

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アメリカに来て友達づくりをするのに最も効果的だったように思うのがホームパーティーだ。まずは自分の家に来てもらって、一緒にごはんを食べることで親しさがぐっと増したように思う。アルコールが入ることで、みんながいつも以上に饒舌になるのも楽しい。(たまに夜遅くまでなかなか帰ってくれない人がいて、困ったことがあったのはご愛嬌😅)

パーティーに人を招待する上で気をつけたのが提供するお料理。宗教上の理由やアレルギーなどで食べられない物がある人のために、毎回必ず事前に苦手な食べ物はあるかを聞くようにしていた。英語表現としては”Do you have any food sensitivities?”とか、”Do you have any food restrictions?”を使った。

何でも食べるという人ももちろんいるが、ベジタリアンやペスカテリアン(野菜と魚類は食べるが、肉は食べない)、ナッツアレルギー、グルテンフリーの料理を希望、宗教上の理由で豚肉、牛肉は食べられない等、さまざまな答えが返ってきた。

こういった理由から集まった全員が同じ物を食べるということは難しいので、人を招いたときは何種類かの料理をつくってテーブルに並べ、ゲストには好きな物を自分で自由にとって食べてもらう方式が主流となった。

観察していて興味深かったのは、宗教上の理由等で食べられない物が非常に多い人もいるかと思えば、同じ宗教を信仰していても宗教上はNGとされている食べ物を全く気にせず食べる人もいたことだ。例えば「ハヌカパーティに招待された」の中に登場するS夫妻の場合、奥さんのMさんはかなり厳格なユダヤ教徒。肉類、甲殻類は一切口にしない。一方旦那さんのJさんは肉類大好き。牛肉、豚肉、鳥肉、何でも食べる。Sさん夫妻の他にも何でも食べるユダヤ人の一家もいたので、ユダヤ教徒だからといって必ずしもみんなが豚肉を食べないわけではないことを知った。日本でも厳格な仏教徒は肉を食べないが、一般的には気にしない人がほとんどであるのと同じといった感じだろうか。

我が家のパーティーには必ず出されるステーキで気をつけたのは焼き加減。BBQグリルでお肉を焼くのは夫の担当だ。日本人の場合はミディアムレアで少し赤身を感じる焼き加減を好む人が多いが、日本人以外だと赤い色は血を連想させて、どうにも受け付けないという人が確実にいる。実際にゲストの中でお肉の赤い部分はきれいにお皿に残して、周りのよく焼けた部分だけを食べる人もいたので、それ以降はミディアムレアとウェルダンの2種類の焼き方をしたステーキを出すようにした。牛肉はコストコ(Costco:英語ではコスコと発音)のUSDA Prime Beefが美味しいと教えてもらって以来、それを使うようにしている。リブアイ、トップサーロイン、どの部位も確かに美味しい。

ナッツや、グルテンなどのアレルギーがある人はあらかじめ家で食事を済ませてきて飲み物だけを飲む人もいた。ナッツアレルギーは命に関わることもあるのだから慎重にならざるを得ないのだろう。グルテンに関してはグルテンフリーの食材が購入できるので、それを利用した。それまで気にしたことがなかったのだが、一般的に売られているお醤油にはグルテンが含まれているということ、「たまり醤油」であればグルテンフリーだから大丈夫であることをグルテンアレルギーの知人から教えてもらい、大変勉強になった。

宗教、アレルギーは全く関係なく、単なる好き嫌いで非常に食べる物が偏っている子供もいた。パーティーで出された料理には手をつけずに「シリアルはあるか?」と私に尋ねる。「この子は毎日イチゴとシリアルばかり食べていて、他のものを食べようとしないの」と言う両親は特に自分の子供の偏食を直そうとしている様子はない。「ソーダ(炭酸飲料)は体に悪いから飲ませないようにしている」とも言っていたが、その横で子供はスポーツ飲料を何本もがぶ飲みしていた。。。どうやら炭酸飲料と同様にスポーツ飲料にも糖分がたっぷり入っているという事実は知らず、スポーツ飲料=体にいいものという認識らしかった。「アメリカに食育はない」と言われるはずである。。。

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