世界で最も影響力のあるTechイベントCES2023は、コロナ後の本格的なリアル開催となり、17万人以上が参加した2020年規模とまでにはいかないものの、3100以上の出展者、多数の来場者で賑わい、日本からもたくさんの方が来場していました。かんたんに状況を振り返ります。
展示スペース全体像
CESは大きく3つのエリアに分かれ、それぞれ以下のような特徴の会社が並びます。
Eureka Parkエリア:アイデアレベルのスタートアップ
Venetian Expo 2Fエリア:アイデアレベルから製品化したレベルのもの
LVCCエリア:大手メーカなどのコンセプト展示や完全に製品化されたもの
Eureka Parkエリア
ここはたくさんの「スタートアップ」で賑わう非常に楽しいエリアです。イメージとしては「アイデアを形にしました」といったレベルの製品、サービスが数多く並びます。ですので、きちんとした製品を探すというよりは、「こんなアイデアがあるのか!」という発見の場所です。
2013年にフランスは政府としてのスタートアップ支援策「フレンチテック」を打ち出し、2017年にはEureka Parkエリアの約3分の1を占めるスタートアップを率いて展示させてことで世の中を驚かせました。そのこともあり、その後は各国がパビリオンとして展示をまとめているため、サービスの領域毎に見るというよりは、国ごとにサービスを見ていくイメージです。
今年もフレンチテックのスタートアップが多かったのですが、昨年あたりから韓国勢が頑張っており、アイドルグループBTSや韓流ドラマなどの勢いもあってか、相対的に質が高いスタートアップが多い印象でした。
他にはいつも最新の技術で驚かされるイスラエルですが、今年展示されていたものは個人的に驚きが少なく、おそらく昨年まで展示されていた最新技術が新しく製品になって個別のプライベートルームで展示をしていたものと思われます。また、デンマークなどもお国柄もあってか、綺麗に展示されていて、比較的しっかりした印象です。
もちろん、日本勢も負けていません。J-Startupとして36社がまとまって出展していました。
Venetian Expo 2Fエリア
Eureka Parkの2階にあるエリアは、前年までのEureka Parkで活躍したスタートアップがきちんと製品化され、実際のお客様の手元に商品・サービスとして提供している会社が並びます。
最も盛り上がった2020年では、Eureka Parkに入りきらないアイデアレベルのスタートアップが2Fエリアまで侵食していたイメージでしたが、今年は全体的にはおとなしい印象でした。ただ、このエリアでも韓国勢が頑張っているなという印象と、5年ぐらいまえにEureka Parkにいたスタートアップが大きく展示していて、大多数は倒産すると言われているスタートアップ業界で、「よく生き残ったなぁ〜」と感慨深くなることもありました。
LVCCエリア
ここには誰もが見たことがあるロゴが並び、「未来」を予感させる新しいコンセプトや製品化されたものが多数並びます。
エリアもLVCC South、Central、North、Westと非常に広いエリアで展示されており、全体を歩き回るのも大変です。そこで、イーロンマスク率いるBoring Companyが地下にトンネルを掘り、テスラで送迎してくれる「Vegas Loop」というものが昨年2022年に登場しました。送迎は自動運転機能を使わず人間がドライブしてくれるというものでしたが、ドライバー曰く何かの許可を取る必要があるとのことです。そのうち、完全自動運転で運用が始まるでしょう。
さて、このエリアには非常に話題になったソニーとホンダがタッグを組んだ次世代電気自動車「AFEELA」やBMWの車体の色が変わる「i Vision Dee」などに人がたくさんいました。
また、日本人スタートアップが共同創業した空飛ぶ自動車Askaもその全容が明らかになりました。
エリア全体としては、「デジタルヘルス」が特徴的で、サービス・商品そのものに目新しさはないのですが、「それなりに使えるレベルになってきたな」と感じました。医療系はもちろん、ヘルスケアや美容など幅広いものが製品化されており、色々と試したくなるものが多かったです。
まとめ
全体の印象として、Eureka Parkはこれまでどおり「アイデア」の宝庫。有象無象の製品・サービスが並びます。Venetian Expo 2Fは全体的におとなしく、勢いがないなぁという感じ。LVCCでは、ソニーやホンダといった大御所のわかりやすいコンセプトが目立ちますが、全体的にはデジタルヘルスが製品化されたなぁという程度でおとなしかったという感じです。
市場ではWeb3などが活発化していますが、この手のものが今後CESの展示としてたくさん並ぶのか、それともCESとは別のイベントにならんでいくのか、CESは転換期にあるのかもしれません。
おまけ
会場は非常に広く、現地に参加された方でも見逃したスタートアップは多いのではないでしょうか。また、レポートを作成するにあたっても、改めてスタートアップを見返す必要がありますが、なかなかその作業も大変です。
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現地に行けなかった方はもちろん、現地に行った後でもお役に立てるものになっておりますので、あらためてご覧になっていただければ幸いです。