【特別対談】ポケトークで世界を変える!〜今後のグローバル戦略

【特別対談】ポケトークで世界を変える!〜今後のグローバル戦略


2023.12.05 TUE 10:30-11:30
ポケトーク株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 松田 憲幸氏
技術の力で言葉の壁をなくし、1人1人の可能性を広げ、世界を進化させる「ポケトーク」。新製品「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」のブラウザ版リリースを記念して、ポケトーク誕生の経緯、サービスの魅力、そして今後のグローバル戦略について、ポケトーク株式会社 松田社長に伺います。インタビュアーは、Tomorrow Access, Founder & CEOの傍島が務めます。

※Tomorrow Accessはポケトーク for Business 同時通訳の紹介パートナーです。

▼ 登壇者
ポケトーク株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 松田 憲幸氏

1965年兵庫県⽣まれ。⼤阪府⽴⼤学⼯学部数理⼯学科卒。
⽇本アイ・ビー・エム株式会社のシステムエンジニアを経て、1996年に株式会社ソース(現ソースネクスト株式会社)を創業。2006年12⽉に東証マザーズ、2008年6⽉に東証⼀部に上場。2012年より⽶国シリコンバレー在住、⽇本と⾏き来し経営にあたる。

「驚速」「特打」「いきなりPDF」「ZEROウイルスセキュリティ」などのソフトウエアや、AI通訳機「ポケトーク」、「ポケトーク字幕」などの企画・開発・販売を⼿がける。

2022年2⽉にポケトーク事業を分社化。同社の代表取締役社⻑兼CEOおよびPOCKETALK Inc. のPresident & CEOに就任。

傍島 健友氏:Tomorrow Access, Founder & CEO
日本の大手通信会社KDDIで25年間、携帯電話システムの無線技術者、経営戦略、新規事業戦略、スタートアップへの投資、イノベーション活動など数々の事業経験を持つ。マイクロソフト社との事業提携、米国Facebook、Google、国内大手ゲーム会社GREE、コロプラ社などとの協業も担当、25名のメンバーを統率。スタートアップへ20社以上の投資経験があり、2015年からは米国シリコンバレーにて活動。最先端の技術からビジネスモデルまで幅広い知見を持つ。2021年グローバルCVC担当2万人の中の Top 50(GCV Top 50 Emerging Leaders Award)に選ばれ、シリコンバレーにて独立。

小川:皆様、こんにちは。お待たせいたしました。それでは、お時間になりましたので、Tomorrow Access主催、特別対談ウェビナーを始めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日は「【特別対談】ポケトークで世界を変える!~今後のグローバル戦略~」と題しまして、ポケトーク株式会社 代表取締役社長兼CEO 松田憲幸さんをお迎えしております。松田さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

松田:よろしくお願いします。

小川:そして、本日の主催者でありますTomorrow Access, Founder & CEOの傍島さん、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

傍島:よろしくお願いします。

小川:そして、私は本日の司会進行を務めてまいります、フリーアナウンサーの小川りかこと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは早速ですが傍島さん、本日はちょっといつも違いまして、特別対談ということなのですが、本日のウェビナーの狙いについて少しお話いただけますでしょうか。

傍島:はい。あらためまして、Tomorrow Accessの傍島と申します。よろしくお願いいたします。

Tomorrow Accessという会社はシリコンバレーを拠点にしたコンサルティング会社になります。主に日本とアメリカのクロスボーダーのビジネスのご支援をさせていただいております。いつもは毎月外部のエキスパートの方をお呼びして、そのときの旬なテーマでいろいろなお話をさせていただくのですが、今日はなんと特別対談ということで、上場企業の社長でいらっしゃる経営者の松田さんにご登壇いただける機会を頂戴しました。まさに日本とアメリカのところで英語でご苦労されている方が非常に多いのですよね。私のところにも「英語で苦労しています」という声をたくさんいただいているということもあった中で、ちょうど先月、ポケトークのほうから新しい機能がリリースされたというお話を頂戴しました。これはぜひ皆様にお伝えしたいと思いまして、私のほうから松田さんに「ぜひお時間をください」というお願いをしまして今日の特別対談が実現したという経緯になっています。本当にいつもと違って、私もピリッと若干緊張しているところもありますが、松田さんは普段からシリコンバレーにいらっしゃって、非常にグローバルな目線で物事を考えていらっしゃいますので、ポケトークの開発の裏側や、どういった思いでこの製品をつくられたのかなど、そういったお話に迫りたいなと思います。松田さん、どうぞよろしくお願いいたします。

松田:よろしくお願いします。

小川:はい、ありがとうございます。さて、本日のウェビナーでは皆様からのご質問を随時受け付けて進行を進めてまいります。参加者の皆様、ぜひ松田さんにご質問があるという方は、Zoom画面の下にございますQ&Aボタンからどしどしご質問をお寄せください。随時私のほうでご紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日の特別対談なのですが、3部構成にて進めてまいりたいと思います。まず、第1部は「ポケトークについて」、第2部は「ポケトークを開発した背景や狙いについて」、そして第3部は「今後のグローバル戦略」ということで、インタビュアーの傍島さんから適宜ご質問をさせていただきまして、松田さんにお答えいただければ幸いです。また、ご視聴の皆様からのご質問にもお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

さあ、それでは早速ですが「第1部 ポケトークについて」を始めてまいりたいと思いますが、松田さん、まずはご自身の自己紹介、そしてポケトーク社のご紹介からお願いできますでしょうか。

第1部ポケトークについて

松田:はい、分かりました。私はポケトーク社およびソースネクスト社 CEOの松田と申します。本日はよろしくお願いいたします。

小川:お願いいたします。

松田:私はもともと日本IBMに勤めていたのですけれども、起業したのはなんと30年も前の話です。1993年9月に最初の会社をつくりました。その後、ソースネクストにつながるのですが、最初はIBMを辞めてコンサルティング的な仕事をしていたのですが、やはり「製品を出さないと会社がスケールしないな」ということで、1996年にソースネクストという会社をつくりまして、最初は算数の教育ソフトから始まり、その10年後には、2006年、東証マザーズに上場しまして、そして2008年には東証一部に上場しました。そして、2012年からシリコンバレーに移住しまして今に至ります。去年ちょうどこのポケトークという会社を1つの会社としてスピンオフしまして、今はそのポケトークの会社のCEOも務めています。

ミッションという意味でいくと、「言葉の壁をなくす」というのが私の今の最大の、私のというより、これはもうライフワークと言っていいと思いますが、20年ぐらい前からこれに取り組んでいまして、ポケトークが出たのは6年前なのですが、「絶対に言葉の壁をなくす!」という執念に燃えて毎日過ごしております。本日はよろしくお願いします。

小川:お願いいたします。

傍島:お願いします。松田さんはソースネクストさんを創業されてもう30年近くということですが、ソースネクストさんのビジョン・ミッション・バリューに私は実は非常に共感しています。

松田:ありがとうございます。

ミッション:言葉の壁をなくす

傍島:ビジョンは「世界一エキサイティングな会社になる」ということを掲げていらっしゃって、人事制度や会社の取り組みもすごく最先端で、新しいことに取り組んでいる印象があります。ポケトーク自体の「言葉の壁をなくす」というこのミッションはいつ頃思い立ったと言いますか、ソースネクストを始めた頃からなのか、実はもっと幼い頃からなのか、いつ頃こういったことを考えられたのですか。

松田:本格的にお金をかけて開発してつくろうと思ったのは2001年です。ただ、そのときはソフトもハードもインターネットもスピードも全然何も追いついてなくて、それで断念したという思いがあります。

傍島:20年前ですよね。(笑)

松田:はい。だから、もう22年前でしょうか。(笑)でも、最近になって、本当に私もアメリカに住んでいて、アメリカ人は本当に英語しか勉強していませんので、そもそも外国語の勉強をしなくていいということをひしひしと知りました。そして、ボケトークの事業を始めてからは「言葉の壁をなくす」ということ自体が本当に日本人にどれだけギャップになっているのだろうと感じました。日本はむしろ英語ができないと高校も大学も行けないわけですよね。これはどう見てもおかしいだろう。だから、言葉の壁がなくなれば、つまり英語を勉強しなくてもいい世の中になれば、その分やっとアメリカ人と対等に戦えるのだなということで、そこは今、僕の中で執念のように「絶対に実現しよう!」となってきていますね。

傍島:松田さんは2012年ぐらいからですよね。シリコンバレーに完全に移住されて10年以上経つと思います。

松田:そうですね。

傍島:私は2015年からアメリカに来ましたが、私はまだまだ全然英語もできなくて苦労する毎日です。お恥ずかしい話ですが、アメリカ人と話していると、だんだん話しているうちに相手の顔がだんだん怖い顔になってくるのです。「この人は何言っているんだ?」という顔になっていって、本当に何年経っても苦労するということもあります。松田さんは英語に困ることはありますか。

松田:あります、あります。(笑)ありますよ。

傍島:本当ですか。

松田:アメリカ人は当然日本人に話すときはかなり言葉も選ぶし、全然使っているボキャブラリーが違いますよね。だから、普通に仕事をしていて困るかと言いますと、確かにビジネス英語では向こうがそういうふうに合わせているというわけです。ただ、完全にネイティブ同士の中で話すときは、本当にきちんとしないと聞こえないですし、だから、それを開発したいという思いがすごくあったというのはありますよね。

傍島:ものすごく疲れますよね。

松田:はい。

傍島:特に大事な言葉はものすごく集中しないと聞き取れないですもんね。

松田:そうですよね。その集中力はそもそも続かないですし、集中したから聞こえるかと言うとそうでもないので、後天的にもう英語を勉強するのは無理なのではないかという。要するに子どものときに英語圏にいる人は別ですが、20歳を超えてから英語を学ぶと莫大なコストと莫大な時間をかけるわりに成果があまりないという。ですから、これを変えたいですね。

傍島:本当ですよね。一般的には中学1年生ぐらいから、中学校に入って英語を学び始めますよね。最近は小学生ぐらいから学び始めるお子さんもたくさんいらっしゃるかもしれません。小川さんのお子さんもそうかもしれませんが。

小川:はい。

傍島:「これだけ真面目に英語を勉強しているのに、どうして話せないの?」と、アメリカにいると本当にそう思います。

松田:この問題が解決できたら、もう本当にほかは何もしなくてもいいぐらいですよね。これはインパクトが大きいですよ。

傍島:実は私、そろばんができるのです。小さい頃にそろばんを習っていて、暗算もすごい桁の暗算ができましたが、今はそろばんを使っている人はもちろんいないですよね。(笑)電卓を使っていますよね。もしかしたら言語もそうなるかもしれないですよね。

松田:僕はもう、そろばんを目指したいと思っています。そろばんを目指すというのは、昔は「読み・書き・そろばん」と言っていました。でも、もうなくなっていますよね。当たり前ですが、今は「英・数・国」というのが「読み・書き・そろばん」と同じような言い方だと思いますが、その「英・数・国」から「英」を取りたいなと思っています。実際、アメリカのSATは数学と国語しかありません。

傍島:SATというのは学校のテストですよね?

語学学習が足かせになってはいけない

松田:はい、テストです。だから、数学と、いわゆる彼らは英語ですが国語ですよね、数学と国語だけでいいのです。そうすると、すごく楽ではないですか。受験も一気に変わります。今だと数学がものすごくできても、もし英語をまったく何もしないとすれば、英語ができないだけでいい大学どころか大学さえ行けないですね。これは本当に大変な問題ではないかなと思っています。

よくあるのが「理系の人は英語が弱い」と、なんとなくそんな感じがありますよね。でも、アメリカはそれだけ理系の人が上にいっていて、経営者に理系の人が多いのも、僕はそこも理由があるのではないかと実は思っています。僕は結構これはいろいろな点で大きな意味を持っていると思うのですよね。

傍島:確かに。

松田:語学学習がすごく足かせになっているという点です。

傍島:ありますよね。小川さんもお子さんが小さい頃から英語を教えたいですか。

小川:そうですね。実は今3歳で、なんとなく触れさせております。

傍島:おっ。(笑)

松田:そうですよね。それはいいことだと思います。特に小さいときから触れているのが本当に一番いいと思います。

小川:そうですね。私も6歳ぐらいから英語を勉強しているのですけれども、結局もう旅行英語のままで止まってしまって。そうですね、自信を持って話せるとなると、やはり小さい頃からそういった外国に住まないと無理なのかなというのは思っております。

傍島:そうですよね。どうしても単語をまず暗記して、熟語の虫食いテストのようなものをして、大文字と小文字を間違えてバッテンされるというのを過ごしてきて、こんなに10何年も勉強しているのに英語ができない。でも、アメリカに住んでいると、例えば日本語ももちろんそうですけれども、スペイン語やドイツ語、中国語も1年ぐらいしか勉強していないという人も結構ペラペラ話しているように見えるのですよね。これは何なのだろうと。(笑)

小川:確かに。

傍島:そういうところはありますよね。教育のところは結構大きいですよね、松田さん。

語学は楽しく学べるように

松田:そうですね。教育はもちろんあると思いますが、もともと受験英語、やはり受験のための英語となっていますので、意味のないものになっているというのが私は大きいのではないかなと思っています。だから、もし英語の試験がなかったら、おそらく授業はもっと楽しくできると思います。例えば「今日は映画を見ましょう」ということも全然できると思います。

傍島:確かに。

松田:要は、アメリカでは外国語学習は選択科目として美術や音楽と同じレイヤーなわけですよ。

小川:アート的な感じなのですね。

松田:そう。だって、音楽などは当たり前ですけれども試験がないですよね。だから、楽しくできますよね。英語がもしそうだとしたら、もっと楽しくできると思います。受験があるから、くだらないものをたくさん覚えて、絶対に使わないような文法のテストをしないといけないという。だから、英語の試験がなくなったら、もっと楽しく英語を勉強して、結果的には英語のスキルは上がるのではないかと僕は思います。もっとプラクティカルに、外国人教師をもっとたくさん入れて、本来そもそも日本人が教えていること自体おかしいですものね。

傍島・小川:(笑)

傍島:確かにね。

松田:そう思いませんか。これね、私は最近気付いたのですよ。私の息子が12歳なのですが、外国語学習で日本語を選択していまして。僕が「それは日本人が来ているの?」と聞いたら、「うん、日本人が来ている」というので、「えーっ、それはいいよ」と思いましたが、もしアメリカ人が日本語を教えていたら超怪しくないですか。「そんなの意味ないよ」と言うと思います。

小川:確かに。(笑)

松田:でも、日本はその逆で、全部そうなのですよ。

小川:本当ですね。

松田:ですよね。なぜ英語を日本人が教えているの? そもそもおかしいですよね。

小川:本当だ。

傍島:確かにね。

松田:そこに気付いて、ますますこれは危ういなと。(笑)

傍島:確かにね。松田さんの12歳のお子さんは、英語脳ですか、日本語脳ですか、どちらになっていますか。

松田:英語だけです。英語だけしか学ばせていませんので、もう完全に英語脳です。だって、普通のアメリカ人はそれでいいので、日本人の両親だからと言って日本語を教える必要はないと思って英語にしています。

傍島:すごいですね。

松田:ポケトークで話せばいいだろうと思っています。

傍島:(笑)確かに。日本語を話せばいいということですね。

松田:そうです。(笑)

小川:その通りですね。

第2部:ポケトークを開発した背景や狙いについて

傍島:今回まさにライブで対談させてもらっていますが、ポケトーク、皆さん日本ではCMなどもありますし、いろいろなところで露出もされていると思いますが、小川さんは実際に見たことありますか。どんな通訳、翻訳ソフトなのかご存じですか。

小川:そうですね。とにかく便利そうだなと思って、テレビなどで拝見していた気がします。

傍島:もし、松田さんよかったら、最近出たポケトークfor BUSINESSの同時通訳をライブでデモを見てもらおうかなと思っています。

小川:ぜひお願いします。

ポケトーク:LIVEデモンストレーション

松田:そうですね。実は今、傍島さんが今話している内容もどんどん英語に同時通訳されていました。今話していた内容がこれです。全部これは戻れるのですが。今までのポケトークはボタンを押しながら話して、それがほかの言語になるというものでしたが、今はもう何もしなくても、話したものを全部このように訳していくことが可能になりました。今の会話のほかにも、CNNぐらいのものも少しご覧いただきたいと思いますので、CNNを流します。

(ポケトーク:CNNの英語が流れる)

松田:こんな感じです。

小川:早い。

傍島:やばいですね。

松田:このように、今この言葉がずっと過去も含めて日本語と英語が出てくるのですが、今は日英だけでやりましたが、中国語でも韓国語でもできます。これは手元にタブレットもしくはスマートフォンを置いておくと、相手の言っている英語は全部ここで分かるようになるのですよね。

傍島:そうですよね。

首脳会談からヒントを得たポケトーク

松田:しかも、相手に分からないかたちで分かります。これをお互いに両方持っていると、もうほとんど何もしなくていいということで。実は私たちがこのポケトークを発売したのは6年前なのですが、そのときからずっと言われていたのが、「やはりポケトークはいいけれども、話を聞くときが使えない」と。というのは、相手に渡さないとできないので、何もしなくても聞けるようにしたいという要望をすごくいただいていました。それと、「スマホで使いたい」「タブレットで使いたい」という要望がありました。それを実現したのがこのポケトーク同時通訳なのです。

もう1つやろうと思ったのが、やはりやるからには、世界で最もお金をかけている翻訳が使われている部分を同時通訳に置き換えたいなと思っていまして、おそらくこの首脳会談はまさしく世界で一番高い翻訳システムなわけですよね。

傍島:確かに。(笑)

松田:これ以上お金をかけているものはないと思うのです。では、その最もお金をかけている翻訳システムはどうなっているかと言いますと、皆さんがしているような同時通訳レシーバーがあるわけではなくて、実は1人1人にああやってウィスパリングする人がついているということなのです。これが最も現段階でリアルタイムで一番スムーズに会話ができる方法だということだと思います。なぜならここはお金を無限にかけていい話なので。ですから、このようにヒントがあったのです。これは、岸田さんが話している内容をウィスパリングする人が英語に変えていて、岸田さんの横の人は英語を日本語に変えるという、ただ耳の役割をしているということが分かりました。これは、今までのポケトークは、話したものをスピークアウトしていましたよね。声を高らかに言って聞こえる。でも、実は声を出して言う必要はないということに気付きまして。要はみんなが聞ける機能さえ持っていれば、会話が成り立つということなのですよね。実は言葉を発しなくても。だから、みんなが母国語をどんどん話していけば、それでコミュニケーションが成立するということが分かりました。今回の同時通訳はとにかく聞くことだけに集中しようと。だから、どんな言葉でも聞き取りますよという機能をつくって、それを今、われわれは「同時通訳」と呼んでいます。

傍島:なるほど。先ほどの首脳会談の写真がありましたが、岸田さんは日本語を話しているのですよね。

松田:そうです。岸田さんはただ日本語を話しているだけです。

傍島:日本語を話しているのですよね。これは普段あまり声は聞こえないですけれども、日本語を話していらっしゃって、バイデンさんの後ろにいらっしゃる方がその日本語を英語にして、その逆も然りということですよね。

松田:そうです。

傍島:面白い。(笑)

松田:そうなのです。逆に言えば、それしかしていないということです。ですから、耳さえあればいい、何でも聞き取れればいいのですよね。これを世界全員ができたら、言葉の壁はなくなります。

傍島:確かに。

松田:でも、これは超金持ちしかできないわけですよね、当たり前ですけれども。(笑)それともう1つあるのが、このウィスパリングができる人、同時通訳できる人というのはそもそも1万人に1人もいないぐらいの天才なわけですよね。ですから、まず人数もいないのです。金はかかるし、人数がいない。この問題をポケトークなら解決できます。つまり、もっと値段を安くできますし、ものすごく安くできますし、もっと人も無限に、もっと言うと80億人の人口分配置することだって可能なわけです。ですから、われわれの中で今もうイメージができて、あとはこれを、今はタブレットでおこないましたけれども、これは例えば耳でも聞けますので、今、傍島さんがやられているようにAirPodsで聞けば、基本的にウィスパリングする人がいるのと一緒なのですよね。

傍島:これは面白いですよね。まさにこのイヤホンもそうですし、例えば小川さんがかけているメガネでも、英語で話しかけられたときも相手の言葉を日本語でささやいてくれればいいわけですよね。

松田:そうなのです。これを全員持っていれば会話は全部成り立つということが分かってしまったので、「もうやることはこれだ」ということが決まりました。(笑)今、それを実現しようとして、まずはWebで全部できるようになりましたので、少なくとも今、皆さんがタブレットやiPhoneを持っていて、いろいろな会話の中でこれを使えば、相手が言っている英語は全部聞けます。逆に、アメリカ人にも日本語→英語を渡しておけば、同じように彼らも英語で理解できます。先ほどから傍島さんと話している内容が、今、全部英語になっていますが、これをお互いに持っていればできます。ですから、今、言葉の壁がグッとつぶれかかってきているということです。

傍島:2人の人が自分の言葉で話しているのに通じ合うという世界ですよね。ものすごく面白いですね。

松田:そうです。それをつくろうとしています。

傍島:今までは、私の言葉を英語に変えて、英語で伝えてもらうというワンクッションがあったのがなくなるということですから。それにしても、これは最大の発明と言いますか、思いつきと言いますか、これはすごいですね。

松田:そうなのですよ。この首脳会談のブレイクスルーは本当にもう僕の中ではやることが明確になったと言いますか。ですから、首脳会談で例えば言葉の壁があって難しかったですという話にはならないわけですよね。おそらく超一流の翻訳者がついていて、ウィスパリングするタイミングもすごく完璧だと思います。ですから、それをポケトークで実現できればいいなと思っています。全然安い、値段も下がります。あと1つ、ご存じの通りウィスパリングされる方、同時通訳の人は本当に疲れますので、交代しないといけないのですよね。

傍島:確かに。

松田:マシンだと疲れないですし。

傍島:24時間365日働いてくれますからね。(笑)

松田:ですから、専属のウィスパリングしてくれる通訳がいるというのが今のポケトークの理想形として持ってこようとしていることです。それを世界中に使ってもらいましょうというのが今明確になりました。そうすると、先ほど言った教育の問題もだいぶ変わってくると思います。先ほど傍島さんもおっしゃったような、そろばんをやるのかというような。(笑)今からやるのかというような。(笑)

傍島:確かにね。

松田:今もおそらく英語はやりましょうと。でも、中国語やスペイン語をやりますかと言うと、それは自動翻訳でいいのではないのかというのがだいたいの流れになってきていますよね。第2言語、第3言語までやるぐらいならほかのことをしようよという感じにはおそらくなってきていると思います。

傍島:確かにね。

松田:これは、日本の母国語を英語にするというのは無理ですから、カルチャーもありますし。母国語を大切にする意味でも、やはりこれは絶対に成し遂げたいなと、1,000時間ぐらいは最低でも日本人は英語の勉強に使っていますので、大人ですとだいたい2,200時間と言われています。

小川:えーっ。

松田:その膨大な英語勉強時間を取り除けます。私なんて13歳から数えると45年間英語を学んでいるわけで、45年学んでも先ほどの翻訳レベルなんて絶対に分かりませんので、あと45年あってもできないという確信がありますから。

小川:(笑)

通訳/翻訳分野はGAFAより日本勢が有利

松田:どれだけコストと時間がセーブされるかということを考えますと、本当に絶対やろうという気になります。もう執念です。

もう1つあります。これをやろうとしている理由がもう1つありまして、だいたいIT産業は全部アメリカ人がほとんど総勝ちですよね。GAFAもそうですし、ほとんど全部。でも、翻訳の部分だけは、これがどれだけすごいことかが絶対に彼らは分かりませんので。

傍島:なるほど。困っていないから。

松田:そうなのです、はい。これを私はメガネのような例えをよくするのですが、例えば私は実は視力が0.02まで悪くなったときがありまして、それでそのあとレーシックをして今は1.2で見えます。何が言いたいかと言いますと、目が悪くなったときの状態を知っています。目が悪い人だからこそ、メガネやコンタクトレンズ、レーシックのありがたさが分かりますよね。

傍島:確かに。

松田:でも、ずっと視力が1.5で見えている人に「メガネがすごいよ」「コンタクトがすごいよ」と言っても、絶対に分からないのです。(笑)

小川:(笑)そうですね。

松田:ですから、これをやっているのは、やはりビジネスをやる以上勝たなければいけませんので、最大の敵であるアメリカ人がこのトーナメントに対して言うと不参加なのです。

傍島:なるほどね。(笑)

松田:最大の強豪国が出席していないという。ですから、ここは勝てるチャンスがあるというのはありますね。そして、世界的なインパクトも大きい。言葉の壁がなくなれば、いろいろな過去の発明がありましたが、馬から車になったり、電球をつくったり、フォードやエジソンもありますが、「言葉の壁をなくす」というのはそれに匹敵か、下手したらそれよりも大きいのではないかと。やはりこのミッションが限りなく大きくて、社会的インパクトが大きくて、かつ、本当にそれ以外の産業がもっと変わってくるということをいろいろ考えていくと、これは本当に意地でもやらなければいけないなと思います。そして、英語圏でない国で経済力があるとしたら、やはり日本になるのかなと思っています。

傍島:確かにね。日本は島国ですからね、本当に日本語で完結してしまっているところもあると思います。アメリカに来ようと思っても、それだけでやめておこうという感じになってしまって、ビジネスチャンスも閉ざされている気がしますよね。でも、これで普通に日本語を自分は話しているだけで相手に伝わってビジネスができるとしたら、こんなに楽なことはないですし。

松田:こんなに楽なことはないですよ。

傍島:先ほどの松田さんの話ではありませんが、私も今、アメリカにいて英語が通じない苦しみを知っていますので。(笑)

松田:(笑)

ビジネスにおける言語の壁

傍島:この喜びはすごく身にしみて分かります。仕事をしていても、自分の言いたいことの半分ぐらいしか、もしかしたら半分以下ぐらいしか伝えられなかったり、相手が話していることも半分ぐらいしか聞き取れないようなレベルで仕事の勝負をしなければいけないのですよね。本当にただのハンディキャップと言いますか、ハンデしかないところですので、ここに対してポケトークのようなものが出てきたら、ものすごくビジネスも拡大するチャンスがありますよね。

松田:母国語だけ話していればいいという世界は、これはいずれ絶対に来ると皆さん思っていると思います。当たり前ですが、100年後ぐらいには。私たちはそれをもう3年で実現しようとか、そういうショートタームでこれをやり切らないと意味がないと思っています。ですから、いずれ来る未来ですが、それをいかに早くするかというのがやはり燃えるところですよね。

傍島:(笑)

小川:はい、ありがとうございます。そして、ご質問もいただいております。もうね、「世界平和にもつながる気がします」というコメントもいただいておりますけれども、まさにその通りかもしれません。

視聴者からの質問

小川:そして、ご質問です。テクニカルライターの方からです。「グローバルロジック社からテクニカルライティングでAI系の仕事のオファーをもらっていますが、英語を同時通訳するなど今のChatGPT等ですでにできそうです。まだ仕事があるのが不思議だなと思ったのですが、どういうところが機械翻訳の通訳では不足しているのでしょうか。しばらく第一線を離れていたので疑問に思っています」というご質問ですが、いかがでしょうか。

松田:今、ChatGPTでも実はこれはできないのですよね。実はGoogleのトランスレーターでもできていません。1文章だけならできますが、こういう長い文章をざーっと自然なかたちで話したものを、こうやって普通の言語、英語から日本語に訳すというものは、実は現段階ではほぼ存在していません。これが難しいのは、文章をいかにどこで切るかというところがやはりなかなかつかめないということと、そもそもvoice to voiceに関してよりも、みんなtext to textの翻訳、それはもうDeepLなどどこでも行われていると思いますが、そちらはもうどんどん極められているのですよね。Voice to voiceに関しては、特に自然に話すものに関しては、どこで切れてどうなって文章が終わるのかというのが分からないのですよね。テキストだとピリオドを打ってくれるし、カンマも打ってくれるのですが、話すのはどこで止まっているか分かりません。私がヒントにしたのは、でも、人間はやっていますよねと、ヒューマントランスレーターができているわけですから、機械でできないわけないのではないかということで、実はこれをずっと長い年月われわれはやり続けてきました。

また、ポケトークという会社を1つつくって、さらに集中しているというのもありまして、そもそもここがまだマーケットとしてまずありませんでした。まだほとんどどこも取り組んでいませんでした。ですから、ここは一番大きなブレイクスルーだと思いますので、やり続けています。ポケトークはすごく売れて100万台以上売れましたが、今でも売れていますが、良かった点は、ポケトークはボタンを押しながら話すというインタフェースなのですよね。これはどういうことかと言いますと、文章の始まりと終わりを教えているのですよね。

傍島:確かに。

松田:そこがやはり大きいです。

傍島:このようにしてね、話してこんな感じですよね。

松田:そうなのです。話して、ボタンを押して止めるという、そこができるできないで全然、教えてあげる、教えてあげないで精度が変わりますので、今のようにザーッと話されると訳せないということが起きていました。

傍島:そうですよね。私もシリコンバレーに行って、いろいろな機械、こういうIoTデバイスをさんざん見てきましたが、ないのですよ。できそうなのはあるのですが、やはりなくて。しかも、今回はインターネットにつながって、クラウド上で、スマホで、しかもブラウザで動くというのが出てきましたよね。これは個人的には実は衝撃を受けました。アプリを入れてやれば割とできるのですが、ブラウザ上で動くというのは今回最大の進化だと思います。松田さんはよくユーザーエクスペリエンスとおっしゃっていますが、個人的には使い勝手が全然違うだろうなと思います。

松田:最初につくったのはWindows版とMac版でした。でも、それだとやはりインストールの数が全然少なくて、やはりスマホでできないと意味がありませんので、ブラウザ版にしようと決めました。

傍島:やはりダウンロードするのは面倒くさいですからね。(笑)

松田:あと、企業の場合、ダウンロードと言ってもセキュリティの観点で入れさせてくれないところも多いので。

傍島:なるほどね。

松田:ですから、かなりここはいろいろ、マーケットに出して、お客様から聞いてまた直して、というのを繰り返しながら。ですから、ショートカットしているわけではなくて、いろいろ壁にぶち当たりながら今ここに来ていると思います。

傍島:確かにね。なるほど。

小川:ありがとうございます。今ご質問をいただいた方からも、「なるほど、参考になりました」というコメントを頂戴しております。ありがとうございます。

それでは、いろいろお伺いしてまいりましたが、最後の第3部に入らせていただきたいと思います。「今後のグローバル戦略について」ということですが、傍島さん、お願いいたします。

第3部:今後のグローバル戦略

傍島:松田さん、今後の展開ですね、もちろん差し支えない範囲でいいのですが、先ほど出てきたChatGPTやGoogleなど、本当に超大手企業がシリコンバレーには目の前にいるわけですよね。

松田:はい。

傍島:先ほどのお話にあったように、通訳や翻訳という領域では日本に分があるということでしたが、今後、ポケトークはどのように進化していくのですか。アメリカ人が使っていくような展開になっていくのですか。

松田:そうですね。少し今の現状をお知らせしたいのですが、まず、アメリカですでにポケトークはかなり使われています。

傍島:本当ですか。

松田:数十万単位で使われていまして、アメリカ、全米いたるところで使われていて、今画面に出ていますけれども、パブリックセクター、例えば郵便局やDMVなど、そういうところから、ほかにも名だたる名前、ExonやAmazonなど、さまざまなところでもうすでに使われています。まず、アメリカは移民が20%ですので、そもそも英語があまり話せないと書いている人だけでも7,000万人ぐらいいるわけです。ですから、今、アメリカではもう英語を話せないということでサービスが低下するのは許さないということで、それでそういった、郵便局にもポケトークを入れて、彼らが英語を話せなくても、パブリックのサービスをきちんとできるということを進めていきましょうというのがだんだん義務化されつつあるというのが現状です。そういう意味では、むしろ日本よりもアメリカのほうがポテンシャルは高い可能性があります。

傍島:なるほど、確かに。私も実は先日アメリカの病院に健康診断に行きましたが、病気のことを英語で伝えられないのですよね。目が少ししょぼしょぼするとか。

小川:難しそう。(笑)

傍島:喉がイガイガするということを英語で言えないのですよね。ですから、病院には実は人間の通訳の方が電話ですぐに入ってくれるようなシステムがありました。ありがたいなと、移民、日本人はもちろんそうですし、スペインやフランスなど、いろいろな国の人がいますので。でも、そういったものはアメリカのほうがすすんでいるなと、まさに先日体験したばかりです。

松田:多言語対応というのは今後の大きなテーマですよね。だから、それをしないのは駄目というふうになっていく感じですので。あとは学校ですね、当社で一番買っていただいているのは学校だと思います。学校にはどんどんポケトークが入っていて、もう移民の子どもたちが使ったり、あとはその両親ですね、親御さんとの会話等にも使われていますね。ですから、まずアメリカでは結構もうありますので、このグローバルのときに、先ほどの「アメリカ人は使うのでしょうか」は、「もうすでに使われている」というのがまず回答になります。

傍島:失礼しました。そうなのですね。すごいですよね。私もアメリカにいて感じるのですが、アメリカに来たときに前職の会社の名前を誰も知らないといったことになるのですよね。「大手の通信会社から来ました」と言っても、「どこですか? それは」という感じになってしまうのですが、やはりモノがいいと言いますか、使われるモノがあるとこのように広がっていくのですよね。

松田:はい。

傍島:松田さん、この製品開発の部分というのは今後はどうなっていくのですか。先ほど、イヤホンに組み込んだり、それこそメガネに入ったり、いろいろなところに組み込まれていくようなイメージを少し思い浮かべましたが、ブラウザで動くとなった時点でいろいろな可能性が広がるのかなと思いましたが、製品開発についてはいかがですか。

松田:でも、今はスマホで動くので、AirPodsでそのまま聞くことも可能ですね。これは今、テキストで出していましたけれども。

傍島:なるほど。

松田:ですから、現段階で傍島さんがされているようなAirPodsにただつなげば、言っている内容を先ほどのようにウィスパリング的に聞くことは可能です。

傍島:なるほど。

松田:ただ、テキストで見たほうが早いですし、やはり人間は前に言った内容を少し遡ったりしたいというのもありますので、今はテキストでさせていただいているのですが、カンファレンスなどではやはりずっと見ているのも疲れますので、耳で聞いていらっしゃる方も多いです。ですから、現段階で専用のイヤホンをつくるというのではなくて、もうお使いのエアポッドを使ってくださいのほうがむしろ普通だと思いますし、みんなそんなにたくさんほかにモノも買いたくないと思いますから、AirPodsで使えるというのがいいと思います。

傍島:なるほど。

3年以内に実現したい世界

松田:それと、やはり耳というのはほかの人とシェアしたくありませんので、基本的にはそういうのを相手につけさせるというのも少し抵抗があると思います。基本は、もしくは耳に入れないかたちの骨伝導型、あとは肩掛けスピーカーでもいいと思いますが、何かウィスパリングしてくれるようなものは1つヒントになるかなとは思っていますね。物理的にはどうにでも可能です。1つ遅れているとすれば、どうしてもテキストを読み上げるとなると、まだ時差が少しあります。ですから、テキストのほうが今のところ早いし理解度が進むので、今はそうしています。これがもう少し進んでくれば、おそらく先ほどの首脳会談とまったく同じことができるだろうと思います。どんなに遅くても、そこに3年以内でいきたいですよね。

傍島:3年ですか。どんなに遅くても3年、すごいですね。スピード感が全然違いますね。

松田:3年ぐらいやりきらないと、やはりやっているということにはならないと思うのですよね。そうすると、本当にいろいろなものが変わってくると思います。本当に先ほど傍島さんがおっしゃったように、どんな人とも日本語で全部ビジネスができたら、絶対にビジネスの効率は上がりますよね。

傍島:本当ですよね。

松田:そう。だって、ミスコミュニケーションも多いし、そもそも外国人と話したくないと言っている人のほうが絶対に多いと思うのですよね。

傍島:本当に悔しいのですよ。お恥ずかしながら、英語がやはりできないのですが、仕事はしなければいけないではないですか。「こんなの日本語だったらもっと話せるのに…」と思うことがよくあるのですよね。(笑)

小川:(笑)もどかしさが伝わってきます。

松田:そして、アメリカ人は勉強しなくても全然、しかも、日本語ができないことを別に向こうは恥じているわけでもないですし、「あなたたちはなぜ英語が話せないのですか」と。

傍島:確かに。

松田:だって、明らかにばかにされていますよね、どう見てもね、態度からしてもね。(笑)

傍島:そうなのですよね。

松田:あれは大問題ですよね。だから、これは根性で何とかなる問題ではないのですよ。それこそAIをフルに活用しないと。今、皆さんは想像できていないかもしれないですが、それはもう乗り物と一緒で、昔はアメリカに行くのに船で渡っていた時代もあるわけですから、飛行機が出た瞬間にね、普通に「今日着きました、明日行きます」ということを普通にしていますが、おそらくこれは同じようなブレイクスルーになると思います。今までは、「えっ? みんな、英語を勉強していたのですか」というような、絶対にそういう時代が来るのです。(笑)

傍島:もう、そろばんですよね。「そろばん、やっていたのですか」というような。(笑)

松田:そうですね。100数十年前から見たら、今の車だってあり得ないブレイクスルーなわけで、今まで馬などで行っていたわけですから、それってもうすごいですよね。ですから、おそらくそれ以上の大きなインパクトがあることは間違いないし、その恩恵を受けるのは日本人、日本が受ける恩恵はかなり大きいと思います。

傍島:本当にそうですよね。日本でこれまでの経済成長の進化がなかなか大変だったところが、先ほどおっしゃったように3年のスパンでこれから一気に回復しようと思ったら、まず言語の壁を越えていかないといけないというのは本当に肌身にしみて私は分かります。小川さんのお子さんも、もしかしたら英語を勉強しなくてよくなるかもしれないですね。

小川:そうですね。(笑)ある程度勉強すればぐらいの。

傍島:ええ。楽しく。

松田:英語を勉強していいのですが、楽しいかたちにしたいですよね。だから、映画を理解したいというのもよく分かりますのが、あの変な文法を、それこそアメリカ人の教師が来て、アメリカでもイギリスでもいいですが、英語の教師が来て、きちんと子どものときから教えるという、受験勉強ではなくて。先ほど言ったように、日本人が教えていたるというのは絶対におかしいですよね。だって発音だってめちゃくちゃですから。

小川:それは今まで気付けなかったです。今日すごくハッとしました。本当にその通りですよね。

松田:(笑)だって、日本語をアメリカ人が教えていたら、絶対その学校には行かせないですよね。(笑)

小川:発音も絶対違いますよね。

松田:違うと思いますよ。絶対に。だから、僕は聞いてホッとしたのですが、でも、本当に「えっ、そうだ、逆だ!」と思って、逆ができていないと気付きました。アメリカにいると本当に気付くことが多いですね。絶対に日本にいると、さまざまなことが気付かないですね。

傍島:そうですね。外に出ていろいろなものを見聞きして、体験しないといけないと思いますよね。松田さん、グローバル展開について。

松田:そうですね、グローバル展開ですね。

傍島:そうですね、グローバル展開という意味では、先ほどいろいろなロゴがありましたが、どういう領域で使ってもらいたいとか、どういうパートナーシップをこれから増やしていこうかとか、例えば医療現場でもっと使ってもらおうというような、先ほど学校の例が出ていましたけれども、今日はおそらくたくさんの大手企業の方がいらっしゃると思いますので、どのようにしてこのポケトークとパートナーシップを結んで世界に出ていこうかという話が参考になればなと思いましたが、どんな領域がありますか。

松田:そうですね、どのインダストリーもだと思いますが、アメリカで今、特に使われているのは、先ほど話に出た教育や、やはりメディカル、病院は結構クリティカルですので。

傍島:そうですよね。

松田:ですから、いわゆるパブリックセクターのほうがやはりどうしてもマストで取り組まなければいけないというところが多いので、使われています。わりとプライベートセクターは、どちらかと言うと倉庫やブルーカラーの方々との会話に皆さん苦労されていて、やはりスマホですと、例えばスマホを別途支給しようとするともっと高いですし、値段的にもいいというのと、やはり翻訳に特化しているというので、今、ポケトークが結構使われているというのはあって、今後この同時通訳というのが出てくれば、スマホでももちろん使えて、タブレットでもすべて使えますが、さまざまなそういったサービスセクターもみんなターゲットになるかなと思います。普通のレジカウンターに置いて普通に話したら全部その言葉になるという、今は言語認識もできますので、英語・中国語・韓国語、何を話しても、これは韓国語を話しているなというのは分かりますので、そういった話者判別や言語判別というのが今後どんどん進んでいくと、本当に世の中、さまざまなセクターで変わっていくのではないかなと思いますね。

傍島:確かに。アメリカは訛りもひどいですよね。インド英語や日本人英語ももちろんそうですけれども、白人の方はそこで結構苦労している人はいますよね。

松田:この同時通訳はこの訛りにまた強いのですよね。ですから、今日はデモをしていなかったですが、インド英語なども全然普通に聞き取ってくれますので、もう本当に楽です。ですから、先ほど傍島さんが「すごく集中しなければいけない」とおっしゃっていたのですが、これがあると集中しなくてよくなって、内職もやり放題になるのですよね。(笑)

傍島:(笑)確かにね。議事録も別に履歴が残っているわけですからね、あとでエクスポートして出せますし、それをそれこそChatGPTではないですが、いろいろなものに展開してメモにしたり、資料にしたりすることも今は簡単にできますからね。

松田:そうなのです。

傍島:こんなに楽なことはないですよね。確かに。でも、10年かかると言われたら、私が働いている間は、生きているうちは大丈夫かなと思いますが、3年以内と松田さんが先ほどおっしゃったので、まだまだ期待したいですよね。

松田:今から数カ月以内にさまざまなアップデートをします。どちらの言語を話しても両方出るようになったり、いろいろなことが変わっていきますので、この1年だけでも相当進化すると思います。ですから、絶対に勉強のスピードよりもはるかに速いです。(笑)45年学んでもこのレベルですから、これはもうやる意味がないという。(笑)

傍島:いえいえ。小川さん、本当は話せるのですよ。松田さんは英語を全然話せるのですけれども。(笑)

小川:いや、もうお2人は絶対に話せると思っていますよ。(笑)そう思っていますけれども。

松田:(笑)

傍島:(笑)でもね、先ほども話しましたが、自分の言いたいことが半分ぐらいしか伝えられないというのはあります。アメリカに30年ぐらいいる人でも「残り5%、10%ぐらいは言えないのだよね」とおっしゃる方もいるぐらいで、やはり言語の壁というのはすごく高いですね。そこをなんとかしようというのはすごいですね。松田さん、でも、グローバル展開は本当に最後はどの辺まで行くのですか。どこに行ってしまうのですか。

松田:それは、だからもうソフトになった時点で、今までハードウエアはやはりいろいろな各国ごとのサーティフィケーションがあって、認証を取らなければいけないなど結構大変でした。でも、ソフトになると一気に行けてしまうので、それこそ昔で言えば、Windowsがいきなり世界中に広まったように、ソフトウエアはグローバル展開が本当にしやすいですよね。だからもう、こうしている間にも、今、この同時通訳は実は世界中で結構使われているのです、日本でしか発表していないにもかかわらず。ですから、このグローバリゼーションと言いますか、グローバルにいくのは自然にプロダクトやサービスであれば広がっていくと思います。製品をつくる意味はそこにあると思うのです。製品というのは世界中に広まりやすいですよね。流通なんて、ウォルマートぐらい大きくても日本に入るのにこんなに苦労するわけですから。やはりプロダクトやサービスをつくる、しかも、ソフトウエアというのはグローバルということに関して言えばやりやすいです。もちろんそこできちんとマーケットを獲っていくというのはまた別の戦略が必要になってきます。でも、ほかのものに比べればはるかにやりやすいです。今、アメリカだけの話はしていなくて、実はヨーロッパにもすでに支社があって、ヨーロッパでもポケトークは売っているのですよね。アジアでもいくつか、ベトナムやタイでも売っているのですが、これがおそらくこういうサービスになってWebベースになっていくと、もっと一気にいくと思います。この製品自体と言いますか、私がシリコンバレーに引っ越した最大の理由はグローバルな製品をつくりたいということでしたので、本当に目標はそこです。ただ、日本人の最大の悩みの1つを早く取り除きたいという気持ちも一方であり、両方別に分けているものではないのですが、とにかく早くやりきりたいですね、これは。この世界は絶対にいずれ来ますから。ただ、いつまでにできるかが本当に重要だと思います。

傍島:なるほど。うれしいですよね。私もいろいろなスタートアップのメンタリングをしていて、言語依存しないものはわりとグローバルで勝負ができるのではないかという会話がよくあるのですが、松田さんはこの言語の部分でグローバルで勝負しようというわけですから、これは全然違いますよね。言葉が分からなくても、この面白いロボットは広まるよという話もあるのですが、言語でグローバルで勝負しよう、しかも日本をよくしようという活動には本当に感服しますし、私も何かできることがあったらぜひご協力して、どんどん広めていきたいなと思いました。

松田:はい。どうもありがとうございます。

告知)ポケトーク for BUSINESS 同時通訳のご購入

小川:ますます楽しみですね。いろいろなお話が聞けてとても楽しかったです。ありがとうございます。今回ご紹介いただきましたポケトークのご購入サイトをご案内いたします。傍島さん、画面のご案内をお願いいたします。

傍島:はい。今、ポケトークさんのご協力で、Tomorrow Accessということで特別サイトを出していただきました。チャット欄にURLを入れましたが、今日お話があったように、インストール不要ですぐに使えるところや、聞き逃しても、先ほどのように画面をピッと戻って読み返すことができるところ、英語に関わらずいろいろな言葉が使えるというものです。今日お話があったこの「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」はこちらからご購入ができるようになっております。今日は12月5日だと思いますが、今週金曜日12月8日まで、今だけお得なキャンペーンということでポケトークさんのキャンペーンがありまして、なんと33%OFFということで非常にお手頃な価格で使えるということです。月額の3,300円というプランもありますが、年額のプランを申し込んでいただければずっと1年分33%OFFということになりますので、ぜひもう本当に英語で困っていらっしゃる方はご利用いただいて、ビジネスの幅を広げたり、自分の勉強の幅を広げたり、ぜひ使っていただければなと思いますので、ご紹介をさせていただきました。

小川:ありがとうございます。そして、Tomorrow Access社から『CES®︎かんたんガイドブック』のご案内です。お願いいたします。

告知)CES®︎かんたんガイドブック

傍島:はい。こちらも今ご紹介いただいた通訳翻訳ソフトが使えるということで、弊社のほうから『CES®︎かんたんガイドブック』というものがリリースされております。年明けの来年1月にアメリカのラスベガスというところでCES®︎という大きなイベントがあります。こちらは東京ドーム5~6個分ぐらいの非常に広いエリアを歩いて回って、もしかしたら松田さんも行かれるかもしれませんが、現地でたくさんのスタートアップやサービスが並びます。こういったところの歩き方をご紹介しています。また、イノベーションアワードというのがあって、毎年素晴らしいサービスが表彰されていまして、今年は500ぐらいリストが出ていて、Webサイトには350ぐらいをこういった会社名やサービス名、概要をExcelのスプレッドシートに入れました。どういったものの商品が多いのかも載せていますし、また、会食などもあると思いますので、ラスベガスのレストランなどの情報も載せています。今日はチラ見せで、これがそのガイドブックですが、歩き方ですね、Tech EastやWestなど、どういうエリアにどういうものが展示されているかといったお話や、アワードのリストということで、こちらは会社名、サービス名、写真があって、右側にいくと英語の原文があります。これをいちいち読むのがなかなか大変だということがありますので、私のほうで英語の日本語訳を付けましたので、こういったものをExcelのスプレッドシートで見ていただけます。また、展示されている会場をクリックしていただくと、CES®︎の公式Webサイトの地図にリンクされていますので、どこで展示されているかというのが一目で分かるようになっています。こういったExcelのスプレッドシートをご提供させていただいています。また、たくさんの基調講演があり、いろいろな講演の話が聞けると思いますが、まさに今回のポケトークが最大の効果、力を発揮する場所だと思いますので、英語の基調講演を聞いているときに手元のスマートフォンで日本語に訳したものを見て、しかもこの日本語のログも残りますので、日本への報告もすごく楽になると思います。まさにこういったもので使っていただければなと思いましたので、今回リリースをしました。販売価格はこちらの通りです。小川さん、お願いいたします。

小川:はい。ありがとうございます。こちらは販売価格が44,000円となっております。CES®︎に行かれる方は本当に便利なガイドブックだと思いますので、どうぞお使いになってください。よろしくお願いいたします。

本日はほかにご質問もいただいていたのですけれども、傍島さん、ちょっとお時間が厳しいでしょうか。

傍島:そうですね。また、松田さんにご相談して、ご回答できるところはお答えしたいと思います。

松田:はい。

小川:はい。ご質問いただいた皆様、どうもありがとうございました。それでは最後に、松田さんからぜひ一言頂戴できますでしょうか。

最後に

松田:どうも、今日は本当にありがとうございました。先ほどのCES®︎は、実はポケトーク社も出ますので、ブースを出します。今日の話が参考になったかどうか分かりませんが、私としてはとにかく「言葉の壁をなくす」ということに日々考えてやり尽くしていきたいと思います。このミッション「言葉の壁をなくす」ということだけに本当に集中して、なんとか少しでも皆さんのお役に立ちたいと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。本当に今日はご清聴ありがとうございました。

小川:松田さん、本当にありがとうございました。それでは最後に、傍島さんから一言お願いいたします。

傍島:はい。松田さん、ありがとうございました。本当になかなかこういった場でお話される機会は少ないと思いますが、言葉の壁をなくすというところの思いを聞けて、まさに日本の皆さんに元気になってもらって、どんどんビジネスを拡大していただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

小川:ありがとうございます。本日は、松田さん、傍島さん、本当にありがとうございました。そして、ご視聴いただいた皆様もありがとうございました。それでは、さようなら。

松田・傍島:ありがとうございました。

以上