アリがたくさん&大家が毎週やってくる

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アリの館

最初は理想の家を見つけたとばかりに喜んで引っ越したアメリカ最初の家だったが、住み始めてみると次々と問題が出てきた。何よりも困ったのはアリ。そう、あの黒い小さな体をした蟻である。普通はアリは家の中ではなく、外にいるものだと思うが、我が家の場合は家の中に住み着いているとした思えないほどしょっちゅう家の中で蟻に遭遇した。

私達より先に入居した夫がキッチンカウンターに残したお弁当に群がる蟻を見て仰天した話は以前ちらっと書いたが、少しでも食べ物をカウンターに残すと翌日にはアリの大群が登場する。あまりの出来事に発狂寸前となった夫がすぐに蟻の駆除剤を購入してくれていたが、何度撒いてもしばらくするとまた現れる。まさにイタチごっこ。当時どれだけ蟻退治の薬を試したことだろう。

そんな事情で我が家では食べ物をカウンターの上に残しておくことは厳禁となり、必ず食べ物は冷蔵庫の中にしまっていた(密閉庫に入れることが大事)。これで大丈夫かと思いきや、調味料の入った戸棚や、パントリーを開けるとそこにもお行儀よく(別に褒めているわけではない)列を作ってせっせと働く蟻の姿に何度絶望したことか。。。

リビングでくつろいでいると、なにやら腕がくすぐったい。目をやると一匹の蟻が私の腕をせっせと登っていた・・・などということも日常茶飯事であった。ええーっ、ここは屋外ですか?いやいや違う、まさに家の中でキャンプしている気分であった。

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当時せっせと購入していたアリ退治の薬

雨漏りもありました

家の築年数は古いが、リフォームをしてあるので一見綺麗に見える家ではあったが、とにかく古いのでアリの他にも次々と問題が出てきた。夏の間はほとんど雨が降らなかったので気がつかなかったのだが、冬になり雨が数日続くとキッチンの出窓からなんと雨漏りが・・・慌てて深めのボールを雨漏りの箇所に置いて対処した。3つのボールにぴちゃぴちゃと落ちる雨音を聞きながら、家って人と一緒で外見だけではわからないものだと悟った。

ガレージが閉まらない!

ある日外出先から車で戻り、自動で開閉するガレージを閉めようとしたところ、閉まらない。何度スイッチを押しても全開になったままピクリとも動かないガレージ。そのまま開きっぱなしでは不用心なので、すぐに大家に助けを求めたところ、スイッチが効かないならとりあえず手動で閉めればいいだろうとの回答。この時初めて手動でも閉まることを知った。(*自動開閉機能が働いているときは手動では開閉できない)その後3週間以上、行く行くと言いながらなかなかやって来ないガレージの修理を待つ日々(アメリカあるある)。毎回車の出し入れの度に車から降りてシャッターの開閉を行うのは大変不便であった。

そして「行く行く詐欺」と名づけたいぐらい、約束の時間に現れない業者。これもアメリカでは決して珍しいことではないことをこの後も思い知らされることとなる。最近ではすっかり慣れてしまって、逆にきちんと約束の時間に来ると「おおーっ、素晴らしい!今日はなんか良いことありそう!」と思ってしまう私。アメリカってどんな国?

大家が毎週やって来る

当時我が家にとっては大した問題ではなかったのだが、人によっては耐えられないであろうと思われるのが、大家が庭のメンテナンスのために毎週訪れて、水撒きをする事であった。実はこの家、大家(チャイニーズアメリカン)が子供の頃に住んでいた大変思い入れのある家。本人は家族と一緒に徒歩圏内の別の家に住みながら、借家に出した家の管理を自ら行なっていた。

水撒きに来る日は大体月曜日が多かったような気がするが、基本的に大家の都合次第なので、こちらはいつやって来るのか事前にはわからない。玄関のインターフォンを押すこともなく、玄関脇にある庭へと続く扉を開けて庭に入り、水撒きを始める。庭からリビングの中は丸見え。当然家の中にいる私と目が合う。”Hi!”とお互い感じ良く挨拶を交わし、時々ちょこっと世間話をするのだが、なんだか見張られているような気分になったのは否めない。とはいえ、大家と仲良くして悪いことはなかろうと極めて友好的に接することに努め、家族ぐるみでお互いの家を行き来して夕食を共にしたり、大家が娘のAちゃんを連れて水撒きにやってきた時には家にAちゃんを招き入れて一緒に遊んだりしていた。

私達一家の前の住人であるBさん一家は典型的なアメリカ人(白人、青い目)であったが、1年間の契約期間を満了することのないまま、隣町の別の家に引っ越していた。蟻の大群と頻繁な大家の訪問。なんとなく早々に引っ越してしまった理由がわかったような気がした。

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