「今のところ配当の予定はない」と書いて3か月。Jersey Mike's が1株0.35ドルの特別配当を決めました
2026年11月2日|株価は 10月30日 終値時点
サンドイッチチェーンの Jersey Mike's Subs が、10月28日の決算の発表で、株主に1株0.35ドルの特別配当を払うと発表しました。特別配当は、定期的な配当とは別枠で、臨時に払う配当です(この会社には定期的な配当はありません)。あわせて、最大1億ドルまで自社の株を買い戻せる枠も決めました。上場したのは7月30日で、まだ3か月です。
ひとことで言えば、上場のときに「今のところ配当の予定はない」と書いていた会社が、3か月で株主にお金を返すと決めた、ということです。
7月29日付の目論見書(上場のときに投資家に配る、会社の説明書)には、こう書かれていました。「この募集のあと、Class A 株に配当を払う予定は今のところない」。Class A 株は、市場で売り買いされている株のことです。
「今のところ」は、約束ではありません
目論見書は「この先もずっと払わない」とは書いていません。配当を出すかどうかは、そのつど取締役会が決めるとも書いています。別の箇所では、税金を払うために傘下の会社から受け取ったお金が、実際に払う税金などより多くて余った場合の使い道の例として、株の買い戻しや、特別配当を含む配当を挙げていました。配当の可能性は、はじめから書類に残っていたことになります。
一方で、目論見書のリスクの節は「配当の予定がないので、株を買った値段より高く売れなければ、投資のもうけが出ないかもしれない」とも注意していました。
会社は今回の理由を、お金をしっかり稼げていることと、余ったお金を株主に返す方針だと説明しています。取締役会が決めたのは10月26日です。7月29日から、いつ、何がどう変わって予定が変わったのかは、書類に書かれていません。
誰が受け取るのか
配当は、11月5日の引けの時点で株を持っている人に、11月19日に払われます。
上場のときの計画では、Class A 株の65.8%を投資会社の Blackstone が持つ予定でした。8月24日に、引受会社が追加で株を買える権利が一部だけ使われましたが、今の比率は今回の書類に書かれていません。
この会社は、上場した会社の下に、事業を営む会社がある二階建ての形をしています。目論見書によれば、上の会社が配当のためのお金を下の会社から受け取るときは、下の会社に直接出資しているほかの持ち主にも、持ち分に応じてお金が配られます。今回それがどうなるかは、書かれていません。
業績の数字とお金の位置、前回残した問いの続きは、答え合わせのページにまとめました。
スコアボードの動き
私たちのスコアボードの「直近の上場」11社は、それぞれの上場初日の終値で1,000ドルずつ買っていたら、10月30日の終値で合計9,752ドルです。Freenome だけは、SPAC 合併が完了した日の終値で数えています。1週間前の10月23日の終値では、9,908ドルでした。それぞれの上場日に同じ額を S&P500(配当込み)に入れていたら、10月30日の終値で1万1,538ドルです。
Jersey Mike's もこの11社のひとつで、初日の終値で買った1,000ドルは10月30日の終値で846ドルです。この表が言うのは、いくらになったかだけです。今回の決定が目論見書のどの一文に当たるかは、表には出てきません。
先週の提出物
10月26日から30日に、私たちが追っている会社が出した主な書類です。上で書いた Jersey Mike's の決算と、前号で書いた Anthropic の最初の S-1 は、ここでは省きます。Anthropic だけは、今週月曜(11月2日)に出た改訂版を先に入れます。
Anthropic(11月2日)
11月2日・S-1 の改訂版:7〜9月期の数字が加わりました。売上は170億ドルで、前年同期の14億ドルから増えました。一方、営業損益は5億6,700万ドルの赤字でした。前号で書いた、目論見書が載せる期間で初めて営業黒字になった4〜6月期は9億7,400万ドルの黒字でした。書類は赤字の主な理由として、短期の約束で確保した計算資源の費用50億ドルと、寄付のマッチングの制度に関わる現金を伴わない費用20億ドルを挙げています。
SpaceX
10月26日・8-K:10月24日に、Apollo Global Management が運用する会社と、GPU の設備のファイナンスリースを結ぶ確約書を交わしました。元本の支払いの総額は約400億ドルの見込みです。条件つきで年内の締結を見込み、リースの開始は2027年上期の見込みです。
Meta
10月29日・8-K(あわせて10月26日〜28日に S-3ASR と424B5):優先株の預託株式2億5,000万単位の発行が10月29日に完了しました。1単位は、配当率6.50%で将来普通株に強制転換される優先株の20分の1です。あわせて、A種株4,000万株の先渡し売却の契約を結びました。売るのは金融機関が借りた株で、会社に現金が入るのは決済のときです。決済日は条件つきで、2027年11月19日までに会社が指定します。
Alphabet
10月28日・8-K と10月29日・10-Q:7〜9月期の決算です。売上は前年同期から25%増えて1,275.8億ドル、営業利益は30%増えました。検索の売上は12%増の633.5億ドル、Google Cloud の売上は103%増の307.1億ドルです。一方、設備投資は前年同期の2.1倍の513.6億ドルで、営業で得た現金の422.9億ドルを上回り、フリーキャッシュフローは91億ドルのマイナスでした。自社株買いは0ドルで、前年同期は115.0億ドルでした。逆に、新しい株を発行して124億ドルを集め、社債でも287億ドルを調達しています。純利益は前年同期から24%減りました。営業利益は増えましたが、保有する株の評価損益が、前年同期の107億ドルの益から87億ドルの損に変わっています。
Tesla
10月29日・DEFA14A:12月3日の年次株主総会に向けた株主への手紙と、投票の案内サイトの更新です。
Jersey Mike's
10月26日・13G:Abu Dhabi Investment Authority などが Class A の15.3%の実質保有を届け出ました。
Andersen Group
10月30日・13G:Vanguard Capital Management が5.01%の保有を届け出ました。
値決め・上場
私たちが追っている会社では、ありませんでした。FireFly Robotics は10月27日に S-1 の改訂版を出しました。ナイジェリアで始まった金融アプリの OPay は、10月29日付で上場の届け出の効力が発生しましたが、10月30日に新規株式公開を完了しないと決めました。引受会社との契約は合意のうえで解約し、ニューヨーク証券取引所での取引は始まりません。理由は、事業の上で重要ではないという地域に関する、規制当局からの最近の問い合わせだとしています。
新しく出た S-1/F-1
新しく出た S-1 は Anthropic を含めて20件、F-1 は3件で、Anthropic のほかに記事の候補として取り上げたものはありません。SPAC、上場済みの会社の届け出、小型の案件は、はじめから外しています。
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