テックニュース2026.06.08読了 約5分

Meta、AIデータセンターの一部を「テント型構造物」で建設

Meta、AIデータセンターの一部を「テント型構造物」で建設


Meta、AIデータセンターの一部を「テント型構造物」で建設


Metaが、AIデータセンターの一部で「テント型構造物」を使っていることがわかりました。狙いは、AIサーバーを収容する設備の展開速度を大幅に高めることです。

データセンターの建設動向を追う調査会社Cleanviewの創業者Michael Thomas氏が、衛星画像と自治体の許可記録をもとに報告しました。

建設面ではテスラがModel 3量産時に用いたテント型設備を、電力面ではxAIが広めたオフグリッド型(電力会社の送電網につながず、自前の発電設備で電気をまかなう方式)の発電手法を想起させる動きです。

巨額の設備投資に市場が厳しい目を向けるなか、Metaは建設期間を短縮し、AI向け計算能力をより早く立ち上げる一手として、テント型構造物に数十億ドル規模のAIチップを収めようとしています。



Metaがオハイオ州に建てた6棟のテント

Thomas氏によると、Metaは米オハイオ州ニューオールバニー郊外に6棟のテントを建設しました。Metaはこれを「迅速展開構造物(rapid deployment structures)」と呼んでいます。

同氏が確認した市の建設許可記録では、Metaは4月から6月にかけて、それぞれ12万5000平方フィート(約1万1600平方メートル)のテント5棟の建設を始めたとされています。同氏がX(旧Twitter)に投稿した衛星画像では、これらの構造物がすべて完成済みであることが確認できます。

テントの内部には、総額で数十億ドルに上るとみられるAIチップが設置される見通しです。Thomas氏はこの状況を、AIをめぐる競争が「マッドマックスの段階に入った」と表現しています。



テスラとxAIを想起させる建設・電力の手法

テントを使う手法は、テスラがカリフォルニア州フリーモントの工場で「Model 3」の量産を急いでいた際、駐車場に建てたテントを思い起こさせます。恒久的な建物を建てるより速く、生産能力を立ち上げられるのが利点です。Metaのマーク・ザッカーバーグ氏も昨年、メディアThe Informationの取材に対し、複数ギガワット規模のデータセンターを耐候性のテントで運用する構想を語っていました。

電力面でも、既存の送電網だけに頼らない構成が採られているとみられます。Thomas氏によれば、Metaはエネルギーインフラ企業Williamsと10年契約を結び、ニューオールバニー近郊に各200メガワット、合計400メガワット規模のオフグリッド発電所を2カ所建設しているとされ、これはxAIが広めたオフグリッド型電源に近い考え方です。

Williamsの公式資料でも、ニューオールバニーの「Socrates North」「Socrates South」の2施設は、それぞれ200メガワット、合計400メガワットの発電能力を持つ計画とされています。建設のスピードと、送電網に依存しない電源を組み合わせることで、Metaは用地確保から本格稼働までの期間を圧縮しようとしています。



1250〜1450億ドルの設備投資と「Muse Spark」の遅れ

こうした手法の背景には、Metaが直面するコストと開発の両面の課題があります。同社は2026年の設備投資について、ファイナンスリースの元本返済を含めて1250億〜1450億ドルを見込んでいます。市場はこの巨額投資を好意的には受け止めておらず、Reutersによれば、MetaがAIインフラ資金のために大規模な株式発行を検討しているとの報道を受け、同社株は6月5日に6.6%下落しました。AIチップをテント型構造物に収めるのは、建設期間を短縮し、計算能力を早期に立ち上げるための一つの方法です。

一方で、Metaは自社のAIモデルを開発者に提供する段階で苦戦しているとされます。Wall Street Journalの報道によれば、同社の最新モデル「Muse Spark」自体は完成しているものの、開発者がモデルを利用するために必要なAPI(外部接続の仕組み)の公開が繰り返し遅れているとされています。建設を急ぐ一方で、提供面の遅れが続いている形です。



今後の注目点

今後は、テント方式のデータセンターがどの程度の規模まで広がり、本格的に安定稼働するかが焦点になります。Metaは複数の拠点で同様の構造物を建設しているとされますが、稼働状況や全体の規模は現時点で確定していません。

1250億〜1450億ドルとされる設備投資が業績にどう跳ね返るか、また遅れが指摘される「Muse Spark」のAPI公開がいつ実現するかも、引き続き注目される点です。

TechCrunchはMetaにコメントを求めていますが、記事公開時点で回答は掲載されていません。Muse Spark APIについては、Meta広報がReutersに対し、一部パートナーとテスト中で、今月中の公開を見込んでいると説明しています。



情報源

Distilled (Michael Thomas) – Meta’s Data Center Strategy and the Mad Max Phase of the AI Boom

TechCrunch – Meta steals a tactic from Tesla and builds data centers in tents

Data Center Frontier – Meta’s Dual-Track Data Center Strategy

Reuters – Meta repeatedly pushes back new AI model release for developers, WSJ says

Meta Investor Relations – Meta Reports First Quarter 2026 Results

Williams – Socrates Power Solution Facilities

Reuters – Meta weighs big equity raising to finance AI infrastructure, FT reports


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