S-1 ジャーナル
週刊 S-1 ジャーナル|米国 IPO × S-1 の定点観測

私たちが読んでいる上場前の6社に、共通していることが1つあります

2026年9月7日|株価は 9月4日 終値時点

上場を待っている会社が、私たちのスコアボードにいま6社たまっています。

その下のほうに「上場待ち」という節があります。S-1 を読み解く対象として並べている、まだ上場していない会社です。Syntiant、Holtec、CoVolt Power、Bamboo Insurance Services、SB Energy、そして Oura の6社。このうち5社は解説記事を出していて、SB Energy は準備中です。

8月31日からの1週間で、そのうち3社が書類を出しました。8月31日に Syntiant が登録の修正版、9月1日に SB Energy が最初の S-1、9月3日に Oura が最初の S-1。SB Energy は9月4日にもう1通、修正版を出しています。こちらは添付書類を足しただけのもので、書類自身が「この修正は、登録届出書に添付書類を提出するためだけに行うものである」と書いています。目論見書の本文は変わっていません。

それだけ動いていて、6社に共通していることが1つあります。値段が、まだ1社も決まっていません。

募集の値段が決まると、会社は「424B4」という番号の書類を出します。売り出しの最終版の目論見書です。9月7日に SEC の提出記録を6社ぶん引きました。424 で始まる書類は、6社あわせて1通もありません。登録の効力が発生したという記録も、まだ1件もありません。

値段が無くても、読めるもの

では、値段が決まるまで読めないのかというと、そんなことはありません。

9月7日に公開した Oura の記事 が、ちょうどその例になりました。指にはめて睡眠や心拍を測る、スマートリングの会社です。Oura は9月3日に S-1 を出しました。公募価格も株数も、空欄のままです。

それでも、この書類にはこう書いてあります。直近9か月、2026年6月末までの売上は12億1,450万ドルで、前年同期比74%増。純利益も6,080万ドルの黒字です。

ところが同じ9か月に、自社の株の買い戻しに11億7,290万ドルを使っています。売上の96.6%にあたります。その大半は、上場前の投資家が持っていた優先株の買い戻しです。

会社が優先株を買い戻すとき、支払った額が帳簿に載っている額を上回ると、その差額は会計のうえで優先株主への配当とみなされます。その額が9億8,500万ドル。これを差し引いた結果が、普通株主に帰属する9億2,430万ドルの赤字です。上場前の株式数(加重平均1,032万株)で割ると、1株あたり89.53ドルの赤字になります。

黒字と赤字が、同じ1つの書類に、どちらも正しく載っています。この落差は、値段が決まる前から読めました。

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答えが出ている側

スコアボードの上のほうには、もう答えが出た会社が並んでいます。私たちが解説した会社のうち、すでに上場した11社です。「上場した日の終値で1,000ドル買っていたら、いまいくらか」の表で、9月4日の終値で更新しています。

11社を全部足すと、1万1,000ドルが1万1,446ドルになっています。それぞれの上場日に同じ額を S&P500 に入れていたら、1万1,687ドルでした。

この表は「いくらになったか」しか言いません。なぜそうなったかは、そこには書いていません。11社という数はそもそも少なく、上場からの日数もばらばらです。私たちはこの表から、どんな会社が上がるとも下がるとも言いません。

値段は、最後に来る

この1週間は、答えが出た週ではなく、書類が出た週でした。

6社が値段の欄を空けたまま並んでいて、そのうち3社が書類を出しています。値段は、この行列のいちばん最後に来ます。

値段が決まらなくても、読めることはあります。Oura の1株89.53ドルの赤字は、9月3日の時点で読めました。

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